戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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章末 releaseuse

「いやーまさか大和なんて伝説の艦が建造されていたとは!さすがは英雄殿ですよ!」

「いや、大和は…ドロップなんだ

南方棲戦姫を倒した時にドロップした、俺にとっては未知の艦ではなかったが、実際に顔を合わせたのはアレが初めてだったな」

 

「そうですか、南方海域か…

自分も探したら、ドロップで出たりするんですかね」

 

「するかどうか、結局は運です

自分の行いを信じるほかにないでしょう」

 

ハイテンションな大佐に話しかけられ、助手席の俺が応えていると

……なんだ…この気配は

 

「………………」

 

熊野が凄まじい気配を発していた

 

「…そういえば、大和と矢矧って、容姿や性格は似ていますよね」

「ん…そうですね、大和が姉、矢矧が妹と言われれば信じるかもしれない」

 

笑いながら現実逃避をしていると

すぐに鎮守府についてしまった

 

「…あ、次の角を右です」

「はーい」

 

 

「お疲れ様でした、ありがとうございました」

「いえ、こちらこそ、とても有意義な時間を過ごせました!」

 

いい笑顔で顔が輝いている川村大佐

そして

 

「…………」

 

そんな彼を視線で殺せそうな圧を放つ熊野

 

「吹雪ちゃん、わたくしってそんなに地味なのでしょうか?」

「ぇっ…?」

 

意味不明顔になっている吹雪と

真剣な顔の熊野

 

隣の席であった二人は、

どうも悲しい談義を始めたらしい

 

「そ、そんなことないと思います!熊野さんはとっても綺麗で大人っぽいです

私みたいな子供より、よっぽど美人さんですよ!」

 

「…そんなことを言っても無駄よ?

だって………」

 

「提督が神巫大佐を独占しちゃっていますわーっ!」

 

熊野の悲しき叫びが響いた

 

「………はぁ」

 

あ、アハハ…などと苦笑いしている川村大佐の顔を見て、それから大体何があるかを想像して、あまりにも不憫になったため、俺は

熊野の方に向かった

 

「さて、熊野さん

何か俺を見ていたようだけれど、どうかしたのかい?」

 

あえてゆっくりと回答を待ち

そして、帰ってきた答えは

 

「はい…わたくし、実は…先輩ですのよ?」

「え?」

 

「正確には1年先に卒業したので、卒業年に限っては1年、入学から数えれば2年前の先達、ということになりますわね」

 

「……そんで、その先輩がなんで俺のことなんて知ってるんですか?」

「それは…入学時から卒業時まで、在籍していた全ての関係者の名前や年齢、誕生日、好きなものと言った一般的なプロフィールを確保しているからですわ

私を基準に前後2年、提督科と艦娘科に限っては3年間の在籍者は教員や途中リタイア者を含めた全員を覚えていますの」

 

「………はぁ」

 

「もう、なんですのその返事は

気が抜けていますわ!」

「いや、そうじゃなくて…驚いているんですよ、まさかそんなすごいことをしているなんて思っていなかったので」

 

「…まぁ、かなり頑張ってはいましたわ、それでも艤装の適合後にすべてをリストアップした表を見て、ようやく記憶の大半を消失している事実に気がつくくらいには記憶を塗り替えられてしまいましたけれど」

「そうですか…」

 

「ですから、わたくしのいた代の後輩にあたる貴方の活躍についてはかなり気にかけていました

提督を更迭した、なんて見たときには驚きましたわ」

 

「そりゃそうですよ…前代未聞だ、なんて何度も言われて愚痴られた挙句に隼鷹をくっつけられて派遣ですからね?」

 

と、そんな感じで苦労話で盛り上がったりしているうちに、夜が開け始めてしまい

その光に気づいた川村大佐と熊野は、そろそろ帰るということになって

 

「…そうだな、今からなら…

川村大佐、熊野先輩、少し上がっていってください」

「えっ?…でも」「いいですって、すぐに済みます、それにせっかく送ってもらったんですから、本当なら朝食の用意したいくらいですよ」

 

多少気乗りのしない様子の川村提督を譲歩(フットインザドア)で引き留め

 

「…そこまで言われるのなら…」

「もう…熊野か『れっか』で良いですのに」

 

「流石にれっかさんとは呼べないでしょう…」「提督は黙ってくださいます?」「ハア…」

 

二人を招いて、鎮守府の屋上に出る

以前は海側にいた敵艦隊の狙撃や観測に使っていたのだが…

 

「さぁ、あちらを」

なぜか付いてきた前日の昼勤だった艦娘や、会に参加した艦娘達と共に、屋上で見た光景は

 

海面から顔を出す太陽と

その光を並に反射して輝く海面

雲の流れる薄水色に晴れた空

 

「見慣れたものかと思いますが

屋上から見るとやはり違いますから」

 

「……綺麗……」

「………………」

 

見惚れたような艦娘達と、見えないように隠しながら、それでも拳を握る川村提督

 

「…僕たちの、守るべき海…」

「そう、我々が勝利を誓う、『暁の水平線』です」

 

「………そう、ですね…

ありがとう、ございます、いいものを見せてもらいました…やはり、執務室に篭ってばかりでは守るべき物を見失ってしまう

僕はもう帰らなくては」

 

「…わたくしも、お暇しますわ」

「そうですか、では

改めまして、ありがとうございました」

 

俺は深々と頭を下げて、

それから遠ざかる二人を見送った

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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