戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

470 / 649
深刻な傷

「…川内、天龍、加賀さん、少し良いか?」

「うん、分かってる」

「………」

「はい」

 

3人を呼びつけて、執務室に移動する

そして、天龍の手を取る

 

「提督、お前…やっぱりかよ」

「うん、魂を再構成されたよ、崩壊していた欠片をみんなの記憶と思考で繋いだんだってさ…でもその過程でリンクが全部切れてる…だから」

 

そこに、加賀さんが割り込んでくる

 

「今の提督は、『提督』としての能力が欠落している…そういうことですね?」

「うん、つまりはそういうことだ、俺からの魂のリンクが切れてしまっているせいで、俺の艦娘達は『心柱』の恩恵を一切使えない、つまりもう俺は『提督』足る器じゃ無い」

 

「お前!そんなこと言うなよ!

お前は…オレ達の…提督だろ!」

 

天龍の怒声が言葉を遮る

しかし、俺は強引に言葉を続ける

 

「もう引退どき、だよ…俺が心柱の力、『縁』を使えなくなった以上、もう俺は艦娘の『指揮』ができない、提督としての資格を失ったんだ

妖精を見ることはできるが、それだけじゃ何もできないだろ?」

「だからって!お前っ!」

 

ぐっ!と襟首を掴まれる

「天龍、止しなさい」

 

「うるさい!このバカの目を覚まさせてやるってんだ!縁が切れた程度でオレ達が簡単に沈む訳ねぇだろうが!この」「そこまでよ」

 

ヒートアップする天龍の言葉を遮り、加賀さんが天龍の手を払っていた

「天龍、熱くなりすぎるのはあなたの悪い癖ね、早急に直しなさい」

「なっ…加賀!お前はなんとも思わねえのかよ!このままじゃ提督が「私だって!」

 

「私だって…提督が退役するのは嫌よ…でも、それが提督にとって最善で

提督がそれを選択するのなら

私はそれを妨げることはできない!」

 

「………加賀さん、天龍…」

「提督、私も加賀さんと同じ意見、提督に無理をして欲しく無いから

私は提督を止めない、でもさ

私たちのこと、忘れないでくれると、嬉しいな」

 

真っ直ぐに見つめられてたじろぐ俺に、変わらぬ笑顔を見せる川内

 

「ねっ?」

「……お、おう…」

「あ、でも!」

 

「なんだ?」

突然の声に聞き返した俺は、きっとずいぶんと間抜け面だったのだろう

 

「提督が退役したら、私も解体して?

そしたらずっと一緒にいられるでしょ」

 

「……お前な、改二まで発現した艦娘がそう簡単に退役なんて出来ると思うなよ

改二艤装は数が少ないから、その艤装を研究させろって言うような輩が出てくるだろうし、『自称 艤装研究家』や『自称 識者』さんが溢れる

それにお前の体ごと検体にしたいって言い出して『川内のホルマリン漬け』が出来るだけだぞ」

 

残酷だが、これが真実、それに川内、天龍、加賀はそれだけでは無く過剰適合(オーバードーズ)の艦娘であり、解体には死が伴う

 

実質的に解体は不可能なのだ

流石にこれはうかつに言えないが

 

「というわけで、お前達は全員生涯現役、頑張っておくれ」「じゃあ死んだら提督のお嫁さんにして!」

 

「………はぁ?」

 

流石に謎すぎる川内に問いを返すと

「だって生涯現役だったら結婚するには死ぬしか無いじゃん」

 

「………?」

正気を疑わざるを得ない発言が飛び出してきた

 

「お前、そんな事」「だって提督と一緒じゃなきゃ居る意味ないじゃん」

あっけらかんと言い放たれた一言に、その場にいた全員が凍りついた

 

「ん?私なんか変なこと言った?

……おーい?」

 

俺の目の前で手を振る川内

その姿を見てようやく正気に戻る

 

「いえ、その…川内…貴女がそんなに思い詰めているなんて、思いもしなかったわ…」

「お、おう……」

「俺もそう思った」

 

まさか川内が自殺なんて言い出すとは思っていなかった俺達は一瞬混乱しながらも

大きく取り乱すような事はできないため、即座に返事をして

 

「え?なんか引かれてる?…私は死んでもホラ、そこらへんの川内と体取り換えれば良いし、そしたら退役もできるかなって」

「いやお前な…」

 

今度は全員であきれ返った

 

「姉さんもやってた事だけどさ…

ボディ交換(それ)、人格消される側だっているんだからそんな軽々にやるなよ

それに魂抜けた抜け殻とかすごい残念な代物が出来上がっちまうんだぞ?」

 

「そうよ、それに私たちはあくまで『艦』であって、『娘』としての部分からは独立している要素なのだから、本来『提督』に固執しすぎるのはよくないわ」

「艦魂側に依存する過剰適合は結局、魂だけを移しても今度は移した先の個体が過剰適合になるだけ、オレ達自身の魂は人間にはなれないからな」

 

「そっか…うん、じゃあ提督

退役したら、(川内)を一人連れて行って

そこからずっと見ているから

ずっとずっと後になって、提督がおじいちゃんになるまでこの世界にいたら

最後に死ぬまで看取らせて」

「おい川内?」

「それが私のお願い、提督とずっと一緒にいる事」

 

きゅっ、と俺の服の裾を掴み

こちらを見上げてくる川内

定番のポーズだが、非常によく効く、洗練されたポーズでもある

 

「何度も言っている事だよ

ずっと前から、さ

私は提督に愛されなくっても良い、提督に理解されなくても、なんら想われなくても

私にとっては、提督がいるだけで幸せだから」

 

そう言って何処かに去っていく川内

 

「待てっておい川内!?」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。