「川内〜?」「!」
バサッ!という大きな音が聞こえた医務室、に入ろうとすると
挙動不審な様子の里見君が出てきた
「中に川内いない?ちょっと話してたら逃げられちゃったんだけどさ」
「えっと…中に誰もいませんよ?」
「いる反応だなそれ、不知火」
「承知しました」
唐突すぎる某DAYSのセリフを喰らった俺は、そのまま里見君をスルーして
不知火に足止めを命じて医務室に入り
「わぁっちょっと待ってくださいよ、体調不良者だって」「いるんなら居ると言うべきだったな」
「ここは通せません」
語るに落ちるとはこのことか
とがっくりしている里見君を尻目に
俺は医務室に入るのだった
「川内」
「………」
ベッドの上で
布団を被っている川内だが、やはり子供だな、わかりやすい隠れ方だ
「おい川内」
「…………」
「今出てくるなら許してやろう
だが出てこない場合……」
ゆっくりと脅してみても全く反応がないことを不審に思った俺は
行動に移ることにした
具体的には、ベットに足音を立てずに近寄って、そっと手を伸ばし
「よっと!」
ぱっと掛け布団を引き剥がした
そして
「……ダミー、か」
その中にいたのは、本当に寝ていた神通
川内と背格好が近いから、代わりに利用されたのか
「…」
「神通、体調不良か何かかね」
寝ている神通を起こさないように
そっと里見君に聞くと
「彼女は体が不安定でして…提督には秘密にしてくれ、と良く言われていたのですが
どうもバレてしまいましたね
神通さんには秘密でお願いしますが
深海棲艦からドロップを挟まずに直接艦娘になった彼女は、未だに深海棲艦との縁が途切れていないのです、そのせいで深海側に意識を引かれるらしく
定期的にメンタルカウンセリングを行っていたんです
そこへきて提督の魂との縁が途切れた、そのせいで彼女を『艦娘』たらしめていたものが失われてしまい、そして彼女は、自らを眠りに落とした
深海側に行かないために」
「…物語調なのが妙に腹立つなそれ
つまりアレか?提督の魂に縁を繋げてやれば戻ってきて起きるけど、そこまではずっと寝てる白雪姫でOK?」
「どちらかというと親指姫では?
まぁそう言うことですね
予告なく魂の縁を切ったりするからですよ提督、隠してはいても神通さん本人が突然いなくなったら流石に怪しまれてしまいますし
どうにかして誤魔化さなきゃいけない
どうしてくれるんですか全く」
憮然とした表情の里見君を追って
不知火と一緒に医務室の外に出る
……川内が神通のことを知っているのかは微妙なところだが、まぁまず間違いなく付近にはいたのだろう、わざわざ頭までかぶせる意味は無いし、自分で動けない昏睡中の神通にそんなとかをしていたら窒息してしまう
「…それも考えないといけないな」
さて、川内はどこに行ったのやら
「…鎮守府回りかな…よし」
とりあえず虱潰しに探し回る事にした
距離を稼ぐために一目散に逃げた後は
やはり何処かに隠れるのが一般的だ
近場であっても障害物の多い場所が望ましい
そもそも人がいると思われないような場所であるなら最適だ
あるとすれば
通信機器のある『放送室』
最近作られたばかりの『体育館』
そして意表を突いての『執務室』
資材貯蔵庫は微妙だが、工廠と資料室は無いと思える、そして俺が入ることが出来ない入渠用ドックが大穴と言ったところか?
「じゃあ…そうだな、不知火
14:30に執務室で集合、俺はまず放送室と各準備室を調べる、不知火は体育館とドックを頼む」
「了解しました、ご武運を」
候補地のどこに
川内がいても見つけられるように捜索箇所を分配して、一旦別れる
もちろん、それで合流に苦労するなんてことの無いように、集合時間と集合場所を決めておく
「んで、俺の方は空振りだったんだが
不知火はどうか?」
「私も空振りとなってしまいました」
予定時間2分前に執務室に来た俺に、予定時間きっちりに入ってきた不知火が応える
「…そうか」
「はい、申し訳ありません」
「いや、謝るようなことでは無いよ
川内が隠れたのが原因なんだし、そもそも休暇中に付き合わせているのはこちらだ」
「…そう言うもの、なのですか?」
「あぁ、そう言うものだよ」
あまりにも自分に無頓着な不知火に
逆に心配を覚えながらも応えて
「…じゃあありがとう、解散だ
間宮券をあげよう…みんなには内緒だぞ?」
そっとその手にチケットを握らせる
とはいえ、この時刻は少し混み合う場所でもあるし、時間をずらした方が確実かもしれないが
「…そうだな、俺の方も、少しアテを使うか…」
「ありがとうございます」
「こちらこそありがとう」
軽く手を振って話の終わりを示して
執務室に席に座って
少し考え込む
神通が当てにならないなら
川内を探すのは困難だ、気配感知能力の高い艦娘の中でも神通は群を抜いていた
その隠形看破を使えなくなったというと
…今度は油断を狙うか
俺はそこまで考えて
今さっき執務室を出て行った不知火を追った
600話記念番外編は
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