戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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未来を想う

「司令官、艦隊を集合しました」

 

16:00、執務室にて

陽炎型の陽炎、不知火、いつのまにか増えていた黒潮、なぜか居る磯風(魂なし)

の四人が集まってくれた

 

「…うん、よくきてくれたね(震え声)」

 

「何か御用でもありますのん?」

「いや、特に出撃とかじゃないよ

とりあえず一つ、頼みたいことがあるんだ」

 

黒潮(多分妖精が建造したのだろう)の方を見て答えると、さらに質問が返ってきた

 

「まず、最初に一つ前提とするよ

『俺はもう提督を引退するつもり』だ」

 

《!》

 

磯風以外の全員が驚愕の表情になる

今は11月、たしかに引退というには中途半端な季節だし、新任の提督も引継ぎやらで忙しくなってしまうだろう

 

「だから、次に来る新任の提督を補佐する役割を、君たちに頼みたい

実務面は大淀と長門が、戦略面では大和や扶桑さんが、それぞれ支えてくれるはずだから、君たちには生活面でのサポートを頼む」

 

「了解しました」

「不知火!」

 

陽炎が珍しく声を荒げた

「どういうつもりなの、司令!

急に引退って、おかしいでしょう!?」

 

「そうだな、俺だってポンと居なくなりたいわけじゃない、しっかりと次に引き継いで、俺のメソッドを残していきたいところだよ」

「そうじゃない!司令がいなくなったりしたらこの鎮守府は機能不全どころじゃないわ!」

 

「だからこそ、早急に新任の提督を」「だから!」

 

陽炎の怒声が俺の言葉を遮る

「神巫さんがいなくなるなんておかしいって言ってるのよ!」

 

「……とは言ってもだな」

一つ、息を吐く

 

「俺はパーティの時に、深海棲艦による襲撃を受け、その際に魂にダメージを受けている

魂が損傷しているせいで、いままで使えていた縁が途切れてしまった

この意味は、わかるな?」

 

陽炎の頭にそっと手を置いて

ゆっくりと撫でる

 

「だから、俺はもう提督でいられない

これ以上居座っていたら、お前たちを危険に晒してしまう、それだけは

避けなくてはならない

俺が提督でいる限り、この問題は解決できない…だから」

 

「……………」

 

「俺は、提督を辞める」

 

その一言が全員に聞こえたことを確認して、俺は再び口を開いた

 

「とはいえ、すぐに居なくなるわけじゃない、築いてきた関係は引き継げないからな

信頼と安心の艤装技師に戻るだけだよ」

 

「……なら!」

「ダメだ、提督の座に俺がいるわけにはいかない」

 

「じゃあ、司令はん?

司令はんは提督をやめたら、どこに行くつもりなん?」

 

「…」

 

どうも鋭い、黒潮は勘がいいようだ

 

「鎮守府からは、離れるだろうな

そもそも、提督が技師に変わったからと言って、提督に繋がる縁がすぐに消えるわけでもなければ、接続先をポンと変えられるわけでもない

俺が鎮守府に居っぱなしでは

次の提督に縁を繋げられないだろう」

 

やんわりと、しかし確実に

俺はこの鎮守府を離れることを宣言する

 

「…残念です」

 

「不知火までそういうのか?

お前はそういうことは考えないと思っていたんだがな…」

「私にも感情くらいはあります」

 

軽口を叩いても否定されてしまう

 

「そうか…うん、とりあえず、俺の言いたいことはこれで終わりだ、みんなは何かある?」

 

磯風は死を奪われた魂のない人形状態なので、当然話すことなどない様だが

それ以外の3人はそれぞれ何か不満そうだ

 

「…司令、本当にいなくなるの?」

「おう、それは予定だが、すでに大本営に打診も出している」

 

「解体して」

「………は?」

 

「私を、解体してください」

 

「………ちょっと待て、俺言ったよな?俺がいなくなった後の新提督のサポートを頼むって!陽炎まで解体したらその意味がないじゃないか!」

「だって…私、神巫提督以外の人なんて…司令官って呼べないわよ!」

 

「だから…なんでこの子たちはみんなそう言うのかなぁ〜はぁ……」

 

盛大にため息を吐く俺に、つめたーい視線を向けてくる不知火と黒潮

 

「…いいか?陽炎」「嫌」

 

にべもない返事

 

「不知火、お前は了承してくれるな?」

「はい、御命令とあらば」

 

「よし、じゃあ黒潮は?」

「……ウチとしてもホントは嫌やけど、それ、嫌って言っても仕方ないんやろ?」

 

「まぁ、そうなるな」

「なら受けたる、司令はんが選んだ人なら、そうそう悪いことにはならないって、信じとるからな?」

 

「……おう」

 

プレッシャーが凄まじい

 

「とりあえず、陽炎…」「……」

 

「頼むから分かってくれ、それか何か要求でもいいから対価で納得してくれ」

「じゃあ提督続けて」

「それはダメなんだって、何回同じことを言わせるんだよ」

 

俺が個別に説明しているから行けないのだが、とりあえず同じ説明ばかりを繰り返しているのは辛い

 

「何か別の要望にしてくれないかな…」

 

「わかった、じゃあ…私と…うぅ…」

「…なんだ?」

 

「けっ…けっ……何でもない!」

 

「よし、ありがとう」

「えっ?あっ、そう言う意味じゃないから!」

 

陽炎には悪いが強引に話を打ち切って

とりあえずの収束を見た俺は

一旦間宮に赴き

 

「ちょっと早いけど、夕食を食べに来たよ、間宮さん」

「提督っ!?どうしたんですかこんなに早く」

 

「いつもは時間ギリギリに来ていたからね、たまには、と言うやつだよ

暇ができたから」

 

間宮さんに微笑みかけると

間宮さんは特に焦ったりはせず、粛々と食事を用意してくれた

 

「はい、今日は提督の好きな炒飯ですよ、ベーコン入りのペッパーを効かせたスパイシーな炒飯ですから、辛すぎないと良いのですけど」

「いや、間宮さんの事だし

そうはならないと信じているよ」

 

炒飯、雲呑(ワンタン)スープ

人参、キャベツ、大根などの野菜スティック、全体的にお手軽な感じの食べやすいメニューだった

 

明日はなんだろう

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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