陽炎達を納得させたあと、
間宮にて早めの夕食を取り
そして
「川内、那珂」
「ん?」「なぁに?」
二人に声をかけた
「神通のことについて、知っているか?」
「神通?」「神通ちゃん?」
二人はそっくりなモーションで首を傾げる
その姿に姉妹なのを実感しながら
ひとまず思考を集中する
「ここ二日、神通がどうも見当たらないんだ、執務室の手伝いに来てくれると言っていたはずだったんだが…」
実際は寝込んでいることを知っているのだが、やはり下手にそれを言うより
こちらで揺さぶった方が良いと判断した
「神通ねぇ…そういえば、医務室で寝てたよ?」
「そうか…だが、さすがに2日間ずっと寝ていると言うことはないだろう?
その間の行動については分かるか?
あの子は鎮守府の中でも割合大きい仕事をしていた艦娘だから、急にいなくなると困るのだが」
「そうだねぇ、うん
提督なら、話せるかな」
「なに?どう言うこと?川内ちゃん」
真剣なトーンになった川内に視線を向ける那珂、こちらの予想通り、川内は知っていて
那珂は知らないと考えるべきか
「提督、那珂、場所を変えるよ
流石にここは良くない」
「了解、執務室に行こう、邪魔が入ることもあまりないからな」
「えっえっ?だからどう言うこと?」
真剣な顔の俺と川内に置いていかれて混乱する那珂を尻目に、川内を連れて執務室に向かう
「…んで、どう言うことなんだ?」
「実はね、提督……」
そこから先は、同じような話があって
俺の魂が不完全な状態なために縁のリンクが回復できないという結論に至った
まぁそれは、結構前から出ていた結論なので、それはそれなのだが
「…でもさ、提督…寝たままでも
幸せではあると思うんだ」
「どう言うことだ?」
「だから寝たままでも、提督がいて、海が平和なら、それで私たちはずっと幸せで居られる
出撃できなくっても、夜戦できなくても、もう艤装がつけられなくなっても
海に出なくなっても……私たちは『護国の為の存在』なんだから、敵と戦うのは本分
でも『平和であって欲しい』
そんな願いから作られた私たちは
本質的には戦う事を否定するの」
どこか遠くを見ているような瞳
それはかつて、俺に向けられた目で
そしてどことなく寒々しい色だった
「だから、戦う事をやめた神通は幸せだと?」
「違うよ、でも…あの子はもう
眠っていいの」
川内の声は、涙まじりに
「あの子はね、ずっと酷い目に遭ってきたの…第一次深海大戦の戦中に建造されて
それ以来ひっきりなしに前線に追い立てられて、仲間たちが次々に轟沈して行く
弾薬と燃料で一杯の手じゃ、誰かのために伸ばすことはできない
砲を抱えて、魚雷を背負って
同じような状態の仲間が次々に爆発して、轟沈して行く
ただ、見ていることしかできない
…それなのに、あの子は全部の死を背負って、見殺しにしたと言い張っていた
当然、あの子は疎まれて、最後は左遷先の鎮守府で暴行、虐待と無謀な出撃で轟沈」
さらに川内は声を上げる
「沈んだ後には深海棲艦になって
それでも戦って…ずっとずっと
傷つき続けたの」
神通の艦娘という括り全体で見ても極めて高いスペックは、やはり出自が『古き艦娘』であることに由来しているらしい
「だから、あの子は…もう
終わって良いはずよ」
「…………………」
沈黙する二人、そして
「だから、もう、眠らせてあげて」
「…それを俺に言って、なんになる」
「そんなっ!」
「俺にはどうしようもない事だ
それに…神通の幸福を、お前が決めるな」
物も言わせぬ勢いで言い切って
俺は川内に問う
「お前には神通の心がわかるのか?
お前は感情を他者と共有できるのか?
お前は神通の経験を知っているのか?
俺にはそんな事はできない、
それに、さ…」
川内に睨み付けられるが、
そんなことに今更感慨はない
「そんなポンポン挙げられるような辛い体験してきたんなら、もっと幸せになって然るべきだろ?」
「提督っ!」
川内の声色が変わる
その直後
「妖精、居るんだろ? 出てこい」
(はーい)
(なんか最近つめたーい)
(すこんぶー)
隠れていたらしい妖精たちが出てくるのを眺めながら、金平糖(常備品)を与えて
「工廠にいる開発屋と明石を連れてこい、いいな?」
(了解しました!)
(はーい!)
(わっかりましたーっ!)
(すこんぶ……)
ちょっと残念そうな声もあるが、概ね同意に至ったらしいので、メモ用紙を渡した妖精たちを見送り
十分後、息を切らせて駆けてきた明石と数人の妖精を執務室に迎えた
「…ぶっちゃけ言って、艦娘の損傷について君たち以上に詳しい人物はいない
なので、君たちに頼ることにしたが
…寝込んでいる神通、これを目覚めさせる手段はあるか?」
その事情を知っていた妖精に聞くと、なにやら明石と相談を始めたようだ
「…わかりました
提督、私から代表してお答えします
まず、神通さんを目覚めさせるためには魂の接続が必要です」
「うん」
「しかし、提督の魂は現在閉塞的な状況にあり、他者との
なので」
実質不可能、ということなのだろう
「提督が直接、神通さんの魂にダイブして、その閉じこもっている魂を引き摺り出す事なら可能です」
「おいっ!?」
それじゃあ瑞鶴の時と変わらないじゃないか!?と言おうとするものの
ロクに声が出ず、最初の一言で止まってしまう、しかしこれだけは問わねばならない
「俺の魂は粉々になった破片の寄せ集めをさらに粉砕してテープに貼り付けたような有様なんだが?」
(そこでこれですよ!)
要請が出してきたのは
いつぞやのベルト
(聖剣カンムスドライバーです!)
「名前変えるなっ!」
以前出てきた時とは名前が違うソレを自慢げに出してきた妖精にツッコミを入れる
こいつそのうちベルトさんとか呼び始めるんじゃないか…?
(バージョンが上がったので、名前もそれに合わせて変わっています!)
(使い方はまた次回ですね〜)
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しぐ……しぐ……