「死ネ…バカドモガァァッ!」
対空攻撃を繰り返していた軽巡が
突如叫び、黄色のオーラを身に纏い
-鎧は此処にあり、心は彼方にあり
全てを呪い、全てを喰らえ-
歌が始まる
-失われる宝なく、失われる命なく
それは全てを受け入れる全ての母-
-秩序の破壊と生命の誕生
既存の世界を転換し、新たな世界の幕を開ける-
歌が続いていく
理解できるはずのない言語
だが、その歌は確かに
その場にいた全員に理解されていた
「扶桑!艤装は使えるか!?」
「はいっ!」
「あのツ級をブチ抜けっ!」
「了解しました!」
-今、輝きは還る時
我らが母なる海を讃えよ-
どこから聞こえているのかもわからない
「主砲、副砲、撃てぇぇっ!」
砲声にかき消され、コーラスが中断される
その後には…
黄色のオーラを身に纏い
体の半分以上を艤装に飲み込まれな
歪な姿のツ級
軽巡半鬼が立っていた
「アァ…中断カ…バカメ
ソンナ事デハ、私ハ止ラレナイ!」
海の呪詛をより深めたその色は
漆黒と純白のコントラストを示し
細い腕には黒金の鎧が、
半身を覆う艤装には巨大な砲が
それぞれ増設されていた
「クソ…まずいぞ、どうする…」
今の鎮守府の艦娘達は大幅に弱体化している、たとえ軽巡級の半成とはいえど
鬼級に対抗できるような戦力は希少だ
「…仕方ない、大和、動けるか?」
敵襲の通達によって即応体制をとっている残りの艦娘達の中で、最強の戦艦を呼び出す
〈はい、即応体制は万全です
しかし、私の戦闘能力は大きく落ち込んでいます、このままの状態では勝てる敵とは思えませんが〉
「砲撃だけで構わない、大和の主砲は撃てるな?」
〈はい、一砲塔につき3発
合計12発まで、発射は可能です〉
「なら海に出てくれ
主砲の砲撃は外せない、弾着修正の余裕はない、一発で決めてもらう
目標は軽巡級未確認艦、使用砲弾は徹甲弾、タイミングは自由とする」
宣言すると同時に、
大和の出撃がコールされる
「大和、出撃します」
「頼んだ…扶桑さんも待機をお願いします、狙撃はできますか?」
「射程はおよそ1.5キロメートルが限界となってしまいますが、射撃自体は可能です
試製46センチ単装砲ならば、一撃で当てることが可能であると思います」
「了解、ならそれで頼む、あの面倒そうな未確認艦を撃破するために
力を貸してくれ」
戦艦の二隻を出し、
鬼を撃破するための作戦を考える
現状のこれらは、数によるゴリ押しで押し込むという強引な行動に過ぎない
もはや策とすら呼べない何かだが
有効性自体はあるのだからやるだけだ
「…行けるか…大淀、敵の武装と性能は分かるか?」
「はい!先程基地航空隊の彩雲が撮影した敵の映像から、敵艦種および装備が判明しました、これより情報を出します!」
大淀は鬼気迫る勢いで情報を打ち込み
ワープロから凄まじいタイプ音が響く
「これです!敵旗艦は戦艦ル級
フラグシップモデルです、装備は16インチ三連装砲、12.5インチ副連装砲、16インチ三連装砲、深海レーダーと判断!」
「りょーかい…こりゃ連中だけじゃ厳しいかもな」
絶対強い戦艦級のフラグシップ
全く、奇襲に使うのなら最初から最大戦力をぶつけて一気に壊滅させるのは道理だが
まさか鬼級に近いステータスを有する2隻のル級と艤装を暴走させたツ級
なんて化け物を有する艦隊で強引に攻めてくるなんて、瑞鶴の後にこの海域の主になった深海棲艦は随分と強引な手が好みなようだ
〈…よし、大和、狙撃配置完了〉
〈扶桑、狙撃位置につきました〉
「よし…射撃は現場の判断で行ってくれ」
〈〈了解〉〉
二人のスナイパーからの返事を聞き流し
俺は戦場の様子に集中した
状況はまだ、
開幕航空戦が終わったばかりだ
蒼羅side out
羽美side in
「基地航空隊は撤退、帰還してください」
回収、撤退指示を出し
私は息をつく
空母は特に、人間への艤装適合率が高くなりやすい艦種であり、空母の艦娘は多い
ピーキーな艦である島風のような艦の場合は、艤装は建造できても適合できる人がいなくて置物になってしまうケースもある
「でも…これは」
提督不在でのパフォーマンス低下
それは覚悟していたはずだった
しかし、その振れ幅は明らかに予測を大きく超えていた
「まさか艤装を纏っただけで身体能力が低下するなんて、予想外だわ…」
空母の艦娘は戦艦達のような砲戦艦が有する
戦況を見極める目と、多数の艦載機達を指揮し、複数の機体を操作する腕を身につける
だけれど、今の私のこの状態では
艦載機の発艦、操作すらも満足にはできないだらう
「我が弟ながら、その洞察力には脱帽
と言ったところかしら」
きっと、そらは私の…いや
『加賀』の不調に気づいた上で
発着艦の操作を必要としない基地航空隊にまわしたのだろう
素直にすごいとしか言いようがないわね
「…提督不在でも十分に戦える
赤城さん達は凄いわね…私も、追いつかなくては」
黒杉時代の鎮守府に在籍していた艦娘達は、ほとんど心柱による強化を受けない状態での戦闘に慣れていた、赤城さん達もそれに倣った訓練を
『提督不在での戦闘訓練』を積んでいたのでしょう、おそらく、自主的に
「…はぁ…」
非戦闘型である彩雲4機を除いた陸攻隊は十分に動かすことができた
なら、彩雲に運用を集中すれば
「…発艦…開始!」
彩雲を装備して、矢に変えて
弓に番え、海の彼方へと射る
普段の稽古や実践と何一つ変わらないその行為が、しかし重苦しく
同時にまるで初めて行うかのようにぎこちない
「…こんなことでは…っ!」
甲板を離れてなお、高度を取れずにフラフラしている彩雲を見つめて
直接操作を行う
「やはりこれならば、十分に扱えますね」
4機の彩雲は
それぞれ別の方向へと飛び立った
600話記念番外編は
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テンプレ転生者(ヘイト)
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……