戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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トゥルー・トゥルース

「旗艦がやられたようですね」

 

「龍田…何処行ったんだ…ん!」

甲板と弓を赤城に託して水中へ潜り、轟沈してしまっているかもしれない龍田を探す

 

一応無線やらは防水であるので、心配はいらないのだが、水中では使えないため、赤城の元に残しておいた

 

「………」

 

水上を先に探して、それから水中に目をやるよりは海底を先に探してサルベージの確率を上げる、俺の経験上、深海棲艦が轟沈させた艦娘は数時間〜数十分程度は水中で生存できるが、その回収不能な状態になると死亡、深化する

 

なので先に海底を探すわけだが

…いない…見つからないな

 

素潜りではダメか

潜水艦に救難を要請するか?

戦場を先に片付けて、それから潜水艦を出そう

 

そう決めてから、約1分間

水中で龍田らしき影が見えはしないかと探したあと、息切れを起こし

 

「…!」

 

水面に浮上して、大きく息を吸い

そこにいた吹雪に手を貸してもらって、水上へ上がる

 

ちなみに、角度的な問題でスカートは中身がご開帳されていたが、敢えてそれには気付かないフリをしておいた

 

いつだって正直ものになれればよいのだが、そうしないほうが良い時もある

俺にとってそれは今だ

 

「…一旦、帰還するぞ

蒼龍達はいまだ通信不通、護衛していたはずの龍田の槍だけを所持していた敵旗艦から考えて、最悪のケースがあり得る」

 

「!司令官、何があったんですか!?

それに私たち、その…弱くなってて!」

 

「うん、仕方ないな、もう限界が来ているから…この戦いが終わったら、その話をまとめて説明する、今は急いで鎮守府に向かおう

頼むよ、吹雪」

「はい!お任せください、司令官!」

 

了解を取ったあと、全力で鎮守府へと戻り、俺は真っ先に追加の出撃命令を出した

 

「長門、神通、川内

及び明石、神風、伊58、以上六隻

第三艦隊として出撃後、残敵の殲滅とMIA艦の捜索を並行して行うように」

 

〈了解!〉

 

出撃して行った第三艦隊を見送りつつ

俺は戦闘中の記録を漁る

 

移動した場所は分かっている、敵方の位置やおおよその戦力も把握できている

なら龍田や蒼龍がやられたとして

その場所は特定できるはずだ

 

「…どこだ……」

 

しかし、推定範囲内にそれらしき姿や影、装甲の破片の類はそれらを見つけることはできなかった

 

つまり沈んでいない…?

だとしたらなぜ龍田を沈めたような口振りをしていたのだろうか?

俺に対するブラフ?

 

動揺を誘おうとしただけの虚偽だというのはあまりにも薄っぺらい理由だし

なにより薙刀を奪われた龍田がそれを取り返そうともせずにどこかに長時間漂流しているとは思えない

 

万一、敵を見失った時でも

龍田は冷静に行動できるタイプの人物だし、連絡の一つくらい入れるはずだそもそも艦隊を離れるのならば連絡も信号もなく突然の行動、というのは不自然すぎる

 

よって、遠距離に放逐された可能性と

本当に沈められた可能性、どちらも否定材料は十分に揃った

 

のだが、肝心の『反証のための結果』が、つまりは龍田本人の所在がまるで掴めない

 

「どこだ…」

 

海図と睨み合いながら

そう呟くと、大淀が俺の目の前で手を振る

 

「提督、ちゃんと見えてますか?

集中するのはいいですけど、しすぎても大切な事を見落としてしまいますよ?

まず、原因の方から考えましょう

私も一緒に頑張りますから!」

 

ぐっと腕を曲げるそのポーズが

どれほど頼りになるのかは不明だが、ひとまずは大淀の言う通りだろう

考え込みすぎて目の前のことを見落とす、というのは戦略家によくある失敗なのだから

 

「…よし」

 

まずは原因から整理しよう

 

襲撃を受けたところからだ

 

まずはこれだろう…突然にすぎる

直前まで哨戒艦娘が居たし、無人観測所の機器だって動作している

警戒網を抜けてきた、というにはあまりにも手際がいい

 

「…まさか…!」

 

俺の頭に閃いたのは

敵がテレポーターを使ってきた可能性である

 

敵がテレポーターを使ったのならば

移動距離が遠すぎること、出現が唐突であったこと、両面が説明できる

 

「…それに」

 

龍田達の連絡が途絶したのは

ポータルの向こう、つまり深海棲艦の巣である海域側のほうに、飲み込まれたから

 

こう考えるならば、矛盾はない

つまり、無人観測所に観測されなかったのは、そもそも周囲を通過していないからであり、監視網をすり抜けたのは、文字通りの転移を使ったからだ

 

…こう考えると俺の独創的すぎる発想はだいぶサイコパスじみているが、

一応筋は通っているようにも思える

 

〈長門、単独で悪いが指定する海域に向かってくれ〉

〈了解した、今度は何をするつもりだ?)

 

「知れたことを…長門の実力ってやつのこと

その解放さ」

「…ほう、それはそれは

胸が躍るな…だが、今の私は責任者

そう簡単に前に立つわけには行かないからな」

 

苦笑する長門に、最後の指示を繰り返す

 

「残敵を、殲滅しろ」

 

「了解したとも」

 

数匹固まっていたイ級を爆破し

ツ級を突き倒す

 

爆煙の中に、人影が立った

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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