「金剛!」
無線のジャミングが強まり、通信の途絶する瞬間、その声は届いてきた
「長門もまだ戦っている
金剛には応急修理女神を乗せた、これなら…!
通常海域に出撃中の第一から第三艦隊、全員に告ぐ、通常海域の敵は一掃された
鎮守府への帰投を許可する」
無線を広域開放通信にして
第一〜第三艦隊を回収する
第三艦隊については艤装の都合上、すぐに帰投とはいかないが
それでも帰投許可を出しておく
「…突然の敵襲、テレポーターによる急襲電撃戦、おそらくは座標だけを目印にした標なしのポータルだろうが、ジャストの位置に出現していたら終わっていた」
事実蒼龍艦隊は壊滅している
回収に長門と金剛という、鎮守府最強クラスの二人が向かっているが
逆にいえば二人だけなのだ
押し潰されてしまう可能性は否めない
彼女たちだって、かつてのように一騎当千ではないのだから
「…クソ、終わった事でいちいち悩むな!」
「提督?」
「!?…大淀か、なんでもない
ただ心配になっただけだ、本当にこれで良いのか、とね…いかんよな
司令官が迷っているなんて
部下に動揺が伝わってしまう」
帽子越しに頭をガリガリとかきながら言うと、大淀はそれを否定してきた
「提督、提督だって人間なのですから、迷う事、失敗する事、動揺する事もあるでしょう
司令官が動揺してはいけないというのは、単なる精神論での話しです
司令官だからこそ、多数の選択肢の中から最適解を選ぶために迷い、考えて悩み
時に失敗しながらも最終的には最良の結果を掴む、提督はそういうお人だと
私は思っています」
「……大淀……」
「それはそれとして!」
突然の声に、慌てて背筋を伸ばす
「提督は自信がなさすぎます
これまでいくつもの戦いを乗り越えてきた歴戦の提督の判断を、自分で信頼せずにどうするというのですか!」
「……」
「自分で選んだ、自分が選んだ
それに失敗があったとしてもその失敗を埋めるだけの策を考えている
その状況でなお怯えるなんて、提督らしくもありません!」
「………………」
大淀の熱弁は止まらない
「提督が選んだ策に、金剛さんも長門さんも、納得した上で乗っているんです
だから提督は思うがままに進んでください、その先に最高の景色があると信じて!
みんなはそう信じているんですから!」
そこでようやく息が切れたのか
大淀の言葉が止まる
「…すまない、このような時に
俺が迷ってるせいで、迷惑をかけたな
もう、迷いはない」
俺は息を一つ、吐き
思考を切り替えて大淀に指示を送る
「大淀、一応だが鎮守府外や大本営への連絡を試してくれ、まずつながらないとは思うが」
「…はい」
「それと、悪いが北上と大井を呼び出してくれ、あの二人の力を借りる」
「お二人共ですか?」
「あぁ、二人ともだ…最悪の場合、単独戦力として動ける北上の力が必要になるかもしれない」
「わかりました」
大淀が連絡を掛けるところを見ながら
俺は策を立てる
さらに戦力が必要な可能性も考えて、改二の圧倒的制圧能力を使えないという現状を考えて
「…どうするか…」
現状、
蒼龍・速吸・龍田がいて
長門強化体・金剛強化体がその救出に向かった
戦力としては大多数を送り込むよりも精鋭を投入する方が良いはずだから
この状況は間違ってはいない
しかし状況を見ることも、通信を繋ぐこともできない状態に陥っているため
向こうの状況は不明
彩雲は落とされてしまい、当分は再使用できない
姉さんの方にかかる負荷も尋常ではないと思うし、ここで無理に彩雲を再使用して
また落とされたら目も当てられない
俺のできることはまず、周囲の鎮守府から高練度の艦娘を派遣してもらうことと
長門強化体・金剛強化体が皆を回収した後に備えて一切攻撃の用意をすることだ
「北上、呼ばれてきたよー」
「大井、入ります」
ノックの後の二人の声に意識を現実へと戻して、新しい指示を送る
「…よし、北上は指定位置まで行ったら海上待機、大井は…湾の中に隠れていてくれ
敵が飛び出してくるかもしれないから、撃ち漏らしの対処、北上の後詰を頼む
あと、大井の艤装にも小規模改造を行うから、大井は念入りに状態を確認してくれよ?」
「わかりました」
「りょーかーい」
やる気の見えない北上の返事と、少々イラついているように聞こえる大井の返事
それぞれを聞いて
「よし、んじゃあちょっと行くか」
俺は二人を伴って、再び工廠へと向かった
600話記念番外編は
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しぐ……しぐ……