「…蒼龍達は全身の切り傷と撃墜のフィードバック、それに出血多量で意識不明、速吸は左腕が完全にオシャカで、目・脳神経に過負荷と損傷がある、
龍田は一番軽傷で済んでいるようだけど
それでも四肢の内、無事なのは左腕だけで他は全部骨折と…肋骨が肺に刺さっていて、肺が片方破損
控えめに言って瀕死の重体ですね」
「……皆…」
敵を一掃した後、帰還した金剛と長門が抱えていた三人を回収し、飛び出してきた深海棲艦連中は
とりあえずポータルの向こうとは均衡が取れてきたらしい、敵が出てくることはなくなった
とはいえ、おそらくこれは誘いだろう
調子に乗って戦力を差し向ければ三人と同じようになるだけだ
「幸いにも、高速修復剤がありますし
外傷で済んでいる龍田はすぐに復帰できると思います…ただ…残念ながら
速吸の復帰はいつになるか…わかりません」
「…そうか…」
「はい、彼女の場合、脳に過剰な負荷がかかった状態ですし、神経系の修復というのは非常に繊細です、ましてや脳の損傷ともなれば
…復帰は、できない可能性もあります」
やっと静寂の戻った鎮守府で
里見くんから告げられた言葉
それはあまりにも厳しく、そして俺自身の選択が招いた現実だった
「…速吸に、高速修復材は使えないのか?」
「使っても良いんですが、その…高速修復剤による修復は、なんというか皮膚や筋肉、骨格といった外傷の修復に特化していて、体内器官や神経系への干渉はどちらかというと苦手なんですよ…なので」
「うまく修復されてくれない…と?」
「その可能性はあります、それどころか不完全に修復されてそのまま古傷のように治らなくなってしまう可能性もある」
「知られていなかった仕様なんだが?」
「そりゃそうでしょう、いくら大佐でも、知るべき情報、知るべきでない情報がありますし…艦娘にとっても『どんな傷を受けても治せる』という保証が消失するのは恐怖を伴いますからね
情報統制だって、みっちり仕込んでるでしょうさ」
今までの印象ではたしかに
艦娘がダメージを負う場合はほとんど外傷だったし、使用すればどんな傷でもすぐに治る
というイメージが強かった
それに内臓損傷レベルでなら修復ができる、というのがその印象に拍車をかけていた原因だろう
そして、残念ながら神経系のダメージが残るレベルの外傷を負っているとなると
それはもう轟沈か艤装完全破壊の状態であり、死亡している場合が殆どであろう
「…速吸…」
そっと
無事な右手に触れて…その手を握る
「今は通常の治療と入渠で傷を塞いで、状態を安定させることが先決です
ただ…流石にこのままの状態では入渠はできないので、まずは通常の治療を行います
脳外科についてはちょっと専門外なので、事態が落ち着くまでは経過を見る必要があります、その後は専門家を
「わかった…今までのようにポンと治ってはくれないケース…これは厄介だな…」
以前の神通、今回の速吸
昏睡する艦娘がこうも連続で出てきてしまっては、入渠すれば例え腕がなくなっても簡単に修復できる、入渠すればどんな状態だろうと治せる
という謳い文句が…艦娘が殆ど全員、実体験を以て信じ込んでいるその嘘が
見抜かれてしまう可能性がある
今はまだなんとかなっていても
時期に感の良い艦娘達は気づいてしまう
そうなった時のために備えなければならない
「…いや、まずは…」
まずは三人の状態回復
艤装の修復を急がねばならない
「…俺が修理する、妖精…行けるな?」
(はい!もちろんです!)
(こんぺいとう…なんて食ってる場合じゃねえ!蒼龍のおっぱいが危ないんだ!おれはやるぜ!)
(例え資材が一つもなくても、この子達は治せるはずです!私に、修理要員の資格があるから!)
(修理したつもりで、壊したりしないでね?)
好き勝手に騒ぎながら出てくる妖精達を引き連れて、俺はすぐさまに工廠へとって返す
「翔鶴、明石、夕張を借りる
艤装技師として働くのに申し分ない実力者だからな…里見くん、秘書艦の大淀と指揮を預ける」
「わかりました…では漣さん、朝潮さん、夕雲さんの三人を呼んでください
その三人は医務業について、多少の仕込みを行っていますから、助手として使わせてもらいます」
「は、はい!
では私は指揮に集中しますので、執務室に戻ります」
ここに分担はなされ
艤装修復、改造に俺+翔鶴+明石+夕張
治療に里見くん+漣+朝潮+夕雲
戦術指揮は大淀+秘書妖精+神通+大和
とそれぞれに役割を定めた
「よし…行くぞ!」
600話記念番外編は
-
過去編軍学校
-
過去編深海勢
-
裏山とかの話を
-
テンプレ転生者(ヘイト)
-
ストーリーを進めよう
-
戦争が終わった後の話を!
-
しぐ……しぐ……