戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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淀色

「ポータル、消滅します!」

 

「ポータルの消滅を確認、これで我々の勝利であります!」

 

霞ちゃんとあきつ丸さんの最後の声と共に、煌々と白い光を撒き散らしていた向こうの見えない空間、『転移ポータル』が消滅する

 

「……これで……終わりですね」

 

ようやくの戦闘終了

それは指揮の負担がなくなった事と、同時に鎮守府内に攻撃を受ける心配が消えた事を意味する

 

「総員、帰投!」

 

《了解》

 

一声を上げて、艦娘の皆さんを引き上げさせる……一応警戒のために

駆逐艦の子日ちゃん、吹雪ちゃん、叢雲ちゃんに残ってもらい

 

そのほかは順次帰ってきてもらう

 

「……お疲れ様でした」

「……お疲れ様でした」

 

私と共に指揮を担当してくれた

大和さんと神通さんの言葉に返事をして、執務室の端に置いてあるコーヒーセットに手を伸ばす

 

「久しぶりですが、コーヒーはどうですか?」

「私は、いりません……部屋に戻ります」

「じゃあ私は頂きます」

 

神通さんは部屋に戻り、大和さんは残るらしいので、とりあえず用意するコーヒーカップは2つ……いえ、3つですね

 

「なぜ3人前を?」

「ふふっ…もうじき分かります」

 

尋ねてきた大和さんに笑顔で返して

お湯を沸かし、コーヒーを淹れる

 

お湯の温度もちょうど良い頃となって

執務室の扉を開けたのは

 

「すまない大淀、慣れない事をさせた」

 

予測の通りに提督でした

 

「お疲れ様でした、提督

これからお休みですか?」

 

「あぁ、蒼龍達も危険な状態は脱した、ここからは通常と同じ治療方法……つまり、入渠になる

それに、大淀のおかげで敵もポータルを消してくれたようだから、しばらくは余裕もあるはずだ」

 

「ですね、私もちょうど今、コーヒーを飲むところなので、提督もどうぞ」

 

大和さんが驚きの表情でこちらを見つめるなか、三つのコーヒーカップを見て

提督も、少し頬を緩める

 

「予測していたのか、大淀

『俺が仕事を終えたらまず執務室に来る』と?」

 

「いいえ?それは違いますよ

提督なら必ず、『出撃した艦娘達一人一人の状態を確認した上で労ってから執務室に来る』と思っていました」

「予測の通りだ……全く、脱帽だよ」

 

「うふふっ……それなら嬉しいです、私が提督の思考に近づいている証拠ですから」

 

提督が置いた帽子を手にして

軽く微笑む

流石に被りはしないけれど、持っている事くらいは今の私にも出来るのかしら?

 

「すごいですね、二人とも

大淀さんは提督の動きを完璧に予測して、提督さんは凄い速さで艦娘みんなの状態を確認してきた、なんて」

 

「いや、それは違う」

 

大和さんの言葉に、提督が答える

「凄いのは俺ではない、修理を手伝ってくれた明石、妖精の指揮に携わった翔鶴、装備品の修理や新部品の製造をやってくれた夕張

皆を牽引する二人目の提督として陰ながら支えてくれる里見くん、

医務官としての活動を学んだ漣、夕雲、朝潮、それに指揮をやってくれた神通、秘書妖精…それに大和、大淀、君たちだ

君たちの力がなければ、俺は何も為せずにただ腐るだけの人間だよ」

 

提督の手が私の持つ帽子に触れる

 

「この帽子は、俺一人では重すぎる

皆んながいて初めて被ることができる帽子だ、俺は皆の力に頼らざるを得ない

無論、一人でやるべき事もあるが、協力できるところには協力してもらう

現に、俺一人では戦闘、指揮と修理、治療を両立できなかったが、鎮守府全体として取り組んだ結果、こうして全てを終えることができた」

 

そっと私の手から帽子を取って

再び頭にかぶった提督は

そのまま私に背を向ける

 

「俺が言える言葉ではないが、俺はみんなに感謝しているんだ

提督として着任した直後の俺は……いや、割と最近まで、かな?

俺自身の事しか見ていなかったから

みんなの事を信じきれなかった

こうして普通の提督のように、みんなに託すしか無くなったからこそ、見ることが出来る景色がある」

 

日が暮れた、暗い海に目を向けて

正面に片手を伸ばす

 

「『俺が』守るんじゃない

『俺達が』この海を、この国を守る

その意味を、教えてくれてありがとう」

 

「「提督……」」

 

胸がいっぱいになって

思わずカップを落としかける私と、すでに目に涙が滲んでいる大和さん

 

「なんてな、どうも俺に重い話は似合わないらしい!だから俺は直接は言わないぜ!」

 

急に振り返った提督は

笑顔でそんな事を言い出した

 

「提督っ!」

「感動を返してください……」

 

「え?なに?!ちょっなんでコーヒーを片手に!?ねぇ湯気!それめっちゃ湯気たってる!めっちゃ熱いやつじゃんそれ!?」

 

「さぁどうぞ提督……今の感動を台無しにされた私たちの気持ちでも味わうといいです!」

「え?ブラックかな!?」

「当然ですが!」

 

この後、提督は本当に熱いブラックコーヒーを一気飲みして舌を火傷しそうになる

 

ような事はなく、普通に飲んで美味しいと言ってくれた

 

嬉しいけど、なんだか不満です

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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