戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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喧騒2

「というわけでやってまいりました、クリスマスパーティー!……の仕込み」

 

とりあえず全員に封筒を届けたあと

 

俺は本棟一階、食堂に来ていた

 

「提督、よろしくお願いしますね?」

「おう……しかし、料理って、俺自身がやるのは久しぶりだなぁ」

 

あまり手の込んだものは作れないので、主にサポートになるが

間宮さん、鳳翔さん、大和の三人と一緒に、俺は厨房に立っていた

 

「……今日はクリスマスらしく、洋食で揃えているんですが……提督、揚げ物は出来ますか?」

「やめといたほうがいいだろうな、俺油の温度管理とかまともにやった経験があんまりないから」

 

「じゃあそうですね…下ごしらえの方に回ってもらったほうがいいかもしれません」

 

ということで、俺は下拵えのほうに行っていて、それが終わったので角切りベーコンとフライドポテトを炒め、キャベツを細かく千切りにし……といった

低難易度な料理の補佐に回っていた

 

「ローストビーフあがりました!」

「すみません手羽元の漬けこみってもう終わっていますか?」

 

「ローストビーフはこっちに、あと手羽元は……冷蔵庫の下から三番目の野菜室、右側のほうに入ってます、漬け込みは…二時間分くらいです

あと醤油のストックが怪しいんでちょっと倉のほうに行きます」

 

「了解しました!

あ、私煮込みに入るのでちょっと手が離せなくなります!」

「はーい!」

 

喧騒……というにはあまりにも事務的で、決めて厳密なスケジュール管理を要する料理と、そのための声かけが飛び交う戦場と化した厨房からいち早く離脱した俺は、そのまま調味料関係の品が置いてある食品倉庫のほうに来ていた

 

「普段から間宮さんが整理していてくれるおかげか、探しやすくて良かったよ」

 

醤油のボトルと、ついでに不足しかけていた料理用酒とウスターソースを持って

厨房の方に戻る

 

「提督、何やってるんですか!

はやくターキー焼いてください!」

「おマジ!?もう!?」

 

なにやら修羅場が起こっていたらしい

 

香ばしい匂いを漂わせる醤油と

摺ったゴマに熱を通した上で七面鳥の肉を投入、事前の漬け込みで十分に味を染み込ませた肉は熱を通す中でさらに肉汁と共に味を濃縮させていく

 

「……よぉーし」

 

火の通りを確認しながら

時計の表示時間をチラ見し

 

「お、もうちょいか」

 

そろそろ食いしん坊達がやってくる時間だ

夕食時になるとただでさえ食堂は戦場

そこにさらにクリスマスパーティーともなれば、さすがに間宮さん達だけでは手が足りなくなる

 

俺まで駆り出されるとは思っていなかったがな!

 

「まーみやさん!今日の献立なぁーにっぽい?」

 

特徴的なセリフを聞いてすぐに、夕立がこちらに顔を出してくる

 

「悪かったな、間宮さんじゃなくて

今日はクリスマスパーティーだから、献立は固定だがその分質を上げてあるぞ

さぁ食え、主に野菜」

 

「いやっぽーい!お肉っぽーい!」

 

「やっぱり肉好きなのかお前

まぁ肉食うのはいいけど、ちゃんと野菜も食べろよ?」

「フライドポテトなら食べるっぽい!」

 

「ポテトサラダ追加で一人前」

「きゃーっ!」

 

こんな風に子供らを捌いていると

飯の時間は早々に終わり、腹が満ちた子から席を離れ始める

 

時刻は19:30頃

ちょうど良い程度の頃合いだ

 

「みんな食べ終わったかー?……」

 

《はーい!》

 

みんなの返事が聞こえる

概ね満足してくれているようだな

 

「よし、それじゃあ今から、クリスマス会イベントを開始する!」

 

司会を俺、サブマスターを鳳翔さんが行い、明石、龍驤、鈴谷、翔鶴の協力を得て

(無論事前に要請していた)

 

ゲームを進行する

 

「7のフォーカードなのです!」

「ハートA.ダイヤA.スペードA.ダイヤK.クラブK、フルハウスよ!」

 

五十鈴が大人気なく電を圧倒し

 

「ビンゴ、また揃ったね」

「不幸だわ……」

 

響が山城を涙目にまで追い込み

 

「スペード10.J.Q K.Aロイヤルストレートフラッシュ!これで決まりよ!」

「ジョーカーと8のファイブオブアカインド、チッ……せっかくいい役だったのに……」

 

陽炎は摩耶を叩きのめしていた

 

「提督さん、シャッフルはっやーい!」

「暇とテーブルさえ有ればよくやってたからな、こんな曲芸カットもできるぜー?」

 

空中でカッコいいシャッフル

(ヒンズーシャッフルというらしい)

をやってみせると、島風はとても喜んでくれた

 

スマートに行くと格好良く見えるが

失敗すると果てしなくダサいので、よくよく練習する必要があるこのシャッフル、褒めてくれるとすごく嬉しくなる

 

「さぁどうぞ、レディ」

「それじゃあ…」

 

「「speed(スピード)!」」

 

互いに対面の席に座ったサラトガと島風が、ハート+ダイアとスペード+クラブで均等に割り振られた二つの山札に手を伸ばし

 

その一枚をめくると同時に叩きつけるようにテーブルに出し、出されたカードはハートQとスペード4

手元にあったカードの中からそれらに繋がるカードを重ねて

その直後に手札の補充、さらに重ねていく

 

っていうか本当に早いな二人とも

 

「あ、てーとくー!ルーレットとかビリヤードの台ってあるー?」

 

「あ?ビリヤード!?ねぇよそんな台、ここはクラブでもバーでもカジノでもなく鎮守府なんだから、台なんて置けるわけないだろうが」

 

悪ノリでも始めたのか、鈴谷が彼方からとんでもない要求をしてきたので

はっきりとNoを叩きつける

 

「提督、ダーツをやろう」

「ダーツ?……確かアレなら、ウチの空母のために的は買ってた筈だ

取ってくるよ」

 

時雨が裾をくいくい引っ張って

上目遣いでこちらを見つめてきたのを見返して、そっと食堂を出る

 

「結局弓道とダーツって特に共通点ないし、あんまり使われなかったんだよなぁ……」

 

むしろ空母よりも軽巡の魚雷投擲のほうの的に使われてたくらいだし

 


 

「サラトガさんはっやーい!」

「ふふっ、シマカゼも、とっても早かったわ!腕のリーチが勝敗を決めたわね」

 

「隼鷹、またあなたは!」「今日は良いんだよ今日は!提督だってそう言ってた!祝日とかの時なら飲んでいいって!」

 

飛鷹に迫られる隼鷹は必死であった

 

「それはそれとして何本目よ!」

「……これはまだ2本目だって!」

 

「そう?じゃあその三本ほど転がってる空ビンはなんなのかしら?」

「それは……その……えっと……」

 

「やっぱりもうやめたほうがいいわ、というか没収よ!」

「そんなぁぁぁっ!」

 

 


 

「ヘイ提督ー!……あれ?」

「提督はさっき倉庫のほうに行ったよ?金剛さん」

「really?なら追いかけるだけネ!」

 

「待っていたほうがいいんじゃないかな……」

 


 

「あのクズ提督はなんで自腹なんて切るのかしら……本当に心配……なんてしてないんだから!あんなクズのする事いちいち考えてたら日が暮れるわよ!」

 

「かすみちゃん、落ち着くのです」

 


 

「ビールもうないクマ?」

「球磨姉さんが飲んでると違法にしか見えないんだよなぁ……」

「なんか言ったクマ?」

「いえなにも」

 


 

「くーまーのっ!なにシケてんのさ!

せっかくのクリスマスなんだから、もっと派手に行こうよ!」

「でもこの格好は派手すぎますわ!もっとお淑やかなデザインにはなりませんの!?」

「なーらないって!ほら行くよ

提督悩殺するんでしょっ!」

 

「しませんわーっ!」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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