戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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鶴の

「あんだけ騒いだんだし、現在時刻は22:30……みんな寝てるな」

 

現在俺は

(駆逐艦寮のなかでも仕掛け人である親潮の手引きで)駆逐艦寮に潜入していた

 

窓を開けっぱなしで寝ているような子はいないだろうと思って普通に入っているが、絵面だけみればただの犯罪者である

 

(煙突はないし、窓も空いてないから仕方ないけどな?)

 

「……さて」

 

足音もなく、各々の眠る部屋に潜入していく

 

『サンタさんからのプレゼント』

個々人の要望を反映した、正真正銘の贈り物(プレゼント)

 

「朝潮は……」

 

『司令官と過ごせる時間』だったから、とりあえず外出届と俺の腕時計を枕元に置いていく

 

暁は……すまない、元の艤装は流石にプレゼントできないんだが、代用の新品で勘弁してくれ

 

響はウイスキーな?

モノは隼鷹に選んでもらったから、ハズレはないと思うが

そもそもこの外見年齢の少女が

ウイスキーのボトルを抱えているのは流石に目に余ると思う

 

初春はカタログを観ながら椿の髪飾りが欲しいと言っていたので、用意している

 

白露は『一番』としか言ってくれなかったので残念ながら具体的なものは贈れず

金のメダル(流石に大きいモノではなく、コインのようなモノ)となった

 

時雨は……『提督』だそうなので、俺の古い私服(無論、洗濯済み)を置いておく

 

やや嗅覚に鋭敏なところがある時雨だが、流石に洗濯済みの服からは体臭などするまい

 

「えっと……」

 

秋雲はわかりやすく液タブと言ってくれたので、探し出して買った

深海棲艦出現以後、半導体事業は弱ってしまったから、少々電子機器の値は上がっているが、概ね転移前の世界と同じくらいの額で買えた

 

「不知火は……」

要望は『特になし』だからな

形に残らない菓子にした

 

選んだのは俺だが、不知火が好きな菓子を重点的に入れたプレゼントボックスだ

流石に受け入れがたいということはないだろう

 

「夕雲はマフラー、巻雲は手袋

各々の欲しいものが被らなくて良かったな」

 

駆逐艦達にプレゼントを届けた後は

軽巡艦寮に行って川内に鍵を開けてもらい

 

「お、部屋かたついてるじゃーん」

 

今度は軽巡の部屋を回っていた

 

どうやら阿賀野は片付けた後にもう一度荒らすような真似はしなかったらしい

それとも短期間過ぎて荒れ方が表面化していないだけなのか

 

二人のプレゼントはそれぞれ

『64GBのメモリーカード』(阿賀野)『デジタルカメラ』(矢矧)

 

おそらくゲーム機のために使うのだろう阿賀野と、珍しくカメラという具体的なアイテムを欲しがっていた矢矧、それぞれにお望みの品を置いていく

 

「さて……」

 

球磨と多摩はそれぞれ新しいパジャマだそうなので、そこについては大和にご協力を願って用意してもらった

 

北上と大井は『大井っち』『北上さん』とそれぞれ見事に噛み合ったので

二人に良く似た人形を作ってある

気分的には大井っち/北上さんと一緒にいられるはずだ

 

「いや多分ふざけて言ってるんだろうけどな」

 

生憎、プレゼントに返品は効かないのだ

 

木曾は『新型の魚雷』だそうで

朝に工廠に来るように書いたメッセージカードを置いた

 

「…さて」

 

川内は『夜戦したい』であり、夜に確実に起きているため、あえてプレゼントはない

 

という名目で同行してもらっている

夜にまで起きているような悪い子にはサンタからのプレゼントはないのだ

 

「同室の神通は……」

『穏やかな時間』がプレゼントであるため、夜に川内が騒いでいないというこの時間こそが彼女へのプレゼントだ

 

那珂については『自分のライブに提督が来てくれれば嬉しい』と言っていたのだが

コロナもあって頻繁に外出することはできないため、残念ながら自粛となった

その代わりに、鋼材+強化鉛ガラスで作られたシルバーのペンダントを贈る

 

素材は買ったが、俺の手製であるので

デザインセンスはウケないかもしれん

 

あとは……

他の子達にもそれぞれ代品なり、お望みの品なりを送って行き

重巡寮は鈴谷の力を借りてアイテムをばらまいて

 

ついにたどり着いた

戦艦寮

 

大和は……『提督の身の安全』とか言ってごまかされてしまったので

俺が技師時代に使っていたタグを贈る

 

もう使わないモノだから構わないし、いざとなったら紛失届があるのだ

 

ビスマルクはぬいぐるみだが、微妙に起きている可能性があるので

部屋の外から様子を伺う

 

「……」

 

起きている

確実に起きている

 

どころかサンタが提督であることを証明しようとか言っている

 

「ビスマルク……」

残念だったな、いい奴だったが

そういう奴ほどにすぐに死ぬんだ

 

ということで奴のクリスマスプレゼントはなし!

 

いや、執務室の置物にしてやろう

 

「金剛は間違いなく起きているだろうが……リスキーだな」

 

比叡榛名霧島の姉妹達は寝ているだろう

そもそも榛名には『しっかり寝ておけ』と伝えている

 

良い子の榛名なら寝ているだろう

比叡はそれに反発して起きている可能性もあるか

 

霧島はまぁ寝ているだろう

アイツはサンタの正体について知っている様子だし

 

「まぁみんなプレゼント自体はまともだったがな……」

 

霧島は今度危険物取扱の免許に挑戦するらしく、教本を安く手に入れたいと言っていた

比叡はCDプレーヤーだそうだ

 

一方金剛はというと

 

『テートクの子供デース!』

ここまで直截的かつ贈り難いプレゼントがあるだろうか?

 

ちなみに榛名も同じだった

 

なのでこの二人にはプレゼントはなし

……というのはかわいそうなので

金剛には新しい髪留めのリボン

榛名には控えめながらしっかりした作りのネックレス(こちらは市販品)をプレゼントだ

 

リボンの方は完全に私服用だが

ネックレスの方は艤装同様、鋼材のエネルギーを込めてあるので、僅かながら装甲としても機能する

と言っても質量が小さ過ぎて改修値にもならないだろうがな

 

「長門は『陸奥を建造して欲しい』だったけど……」

 

流石にそれはできなかった

というか戦艦に挑めるほどの資材は容易には確保できないため、数回分程度は回してみたが、結局出てくれなかったのだ

 

というわけで長門プレゼントはシンプルに艤装の強化改修

 

「扶桑は……」

 

以前に欲しいと言っていた新しい主砲は自前で確保してきたから、新しく欲しいものを聞いたのだが

 

『提督が選んでくれればなんでも』としか答えてくれなかった

 

というわけで、山城に聞いてみたのだが……残念ながら、聞き出してくれたりはせず

どころか自分の欲しいものも教えてはくれず

空振りに終わってしまった

 

「というわけで」

 

二人に用意したのは

『お揃いの開運のお守り』

 

普段から散々と不幸に襲われる彼女たちにならこれも有効であろう

 

「最後か……」

 

戦艦寮を回り終えて

俺はあえて最後に回していた空母寮へ赴く

 

水母、軽空母、正規空母が混在する寮だが、今更に迷いはしない

 

「千歳〜……起きてるか〜……?」

 

コンコン、と正面の扉を軽くノックすると、扉が音もなく開く

 

「提督、お待ちしておりました」

「すまない、待たせてしまったな」

 

そこにいたのは千歳と千代田の二人

「あれ?千代田」

「なに?私がいちゃ不満ですか?」

 

「いや別にいいけど……まぁいいや

とりあえず、みんなのところを回るよ」

 

「了解しました」「……りょーかい」

 

千代田はやや不満そうだが構うまい

もともと予定していた協力者は千歳、それに千代田がついてきたに過ぎないのだから

 

「さて、とりあえず二航戦からだね」

 

だいぶ昔からいたらしい蒼龍は部屋が一階の手前の方にあるため、通用の利便性が高い

というか一番最初の階段の前にあるので、絶対に前を通る部屋である

 

「……よし……」

 

スニークして通り抜け

蒼龍の枕元には『新しい置時計』を

飛龍の枕元には『ノートパソコン』を

置いていく

 

「どーぞ……」

 

そっと二人の間を通り抜けて

静かに廊下に戻り

そのまま次の部屋に

 

軽母の龍驤が欲しいのは『サイズ(なにとは言わない)』らしいのだが

流石にそれは用意が効かない

 

パッド……というのは一瞬考えたが

冗談でもそれはいけない

 

なので、俺が用意したのは

もう一つの龍驤の悩みであった不眠問題を解決するためのアイマスク&耳栓である

鎮守府の中でも耳が良い龍驤は

通信だけでなく他の艦娘の声や機関の音まで聞き取っているらしく

うるさくて眠れない、ということがあるらしいのでそれを解決することで代わりにしてみよう

というわけだ

 

「鳳翔さんは……なし」

 

どうせ受け取ってはくれないし

そもそも欲しいものも答えてくれなかった

 

「千歳が欲しいのは酒で、隼鷹も酒

千代田は『千歳』

飛鷹は……弓形のカタパルト」

 

なぜか陰陽スタイルの飛鷹は弓道スタイル用の弓を欲しがっていたので

翔鶴型の弓を複製したものをプレゼントする

 

一航戦の使う弓より小さく、二航戦より軽くて引きやすいモデルなので、飛鷹にも使いやすいはずだ

 

「えっと……」

流石に千歳はプレゼントできないので

千歳とお揃いの服(制服艤装ではない)で我慢してもらう

 

「すまない、俺にはこれくらいしか用意できなかった」

 

「いや良いんだけど……むしろ

どうやって用意したの?」

「鳳翔さんがいるだろう?」

「あっ……」

 

何かを察したような目になった千代田は

それでも千歳の制服を抱きしめる

 

「間違えることはないと思うけど、それには犠牲装甲の機能は無いから

それ着て出撃するなよ?」

「それくらい分かってるわよ」

 

むすっとした表情になる千代田と

『あらあらうふふ』の表情をする千歳

 

姉として妹が自分を過剰に意識しているのは多少気にしているようだが

それでも微笑ましいと思うのだろう

 

「なに?」

「いや別に?……行くぞ、後は一航戦と五航戦だ」

 

一階の奥である一航戦の部屋

二階の奥にある五航戦の部屋

 

どちらに行くのも気が重いが

とにかく行かねば話が始まらない

 

「失礼しまーす」

 

こっそりと呟いて、扉を開ける

その瞬間

 

赤城さんも姉さんも、

起きていることを直感し

もう諦めて大人しく普通に入る

 

「どうも、お二人のためのサンタです」

「ちょ!提督っ!?」

 

千代田が焦っているようだが

「もうばれてるよ、今更だ」

 

結局、ネタバレの済んだ手品ほどつまらないものはないのだから、それならば

書き割りの方がマシだろう

 

「私のプレゼントはたしか……」

「はいこれ、赤城さんに」

 

加賀さんとお揃いのリボンが欲しい、と言っていたので、市販品を手に入れている

同じものなのだが、入手時期が違うためか微妙に色が違うのは残念だ

 

「ありがとうございます、提督」

「あら、それは……」

「はい、加賀さんとお揃いのリボンです、私、これが前から欲しかったので」

 

「そう、欲しいのなら言ってくれれば私のものをあげたのですが」

「それでは意味がありません、私が欲しかったのは『同じもの』ではなく、『お揃いのもの』ですから」

 

輝かんばかりの笑顔を見せる赤城さんに、若干気圧される姉さん

そしてなぜかこちらを見て

 

「私のプレゼントをください、早く」

「そんなに焦らなくてもプレゼントは逃げないぜ?」

 

若干早口になっているのを指して笑いながら、同じ包装を持つプレゼントの箱を渡す

 

 

「……はい、どうぞ」

 

加賀さんには赤城さんに渡した青いリボンと対になる、赤いリボンを

 

青いリボン2つでお揃いであると同時に、色違いでもつけられる、なんなら互いに交換してお互いのイメージカラーに合わせることもできるという訳だ

 

このまで二人の息が揃ったプレゼントを贈るのは他にないだろうな

 

「……どうでしょう?」

「とても似合っていると思います、加賀さんが赤で私が青、というのも珍しいですが

それもまた、一興というものですね」

 

「そう、なら良いのだけれど」

 

独特のリズムを伴う一航戦トークが始まったようなので、俺たちは速やかに撤退した

 

「最後は……五航戦か」

 

あの蠢く袋はなんだったのかもわからないし、それを用意した動機もまた理解し難いので

うかつに近づきたくないのだが

 

したかないだろう

翔鶴もまた、プレゼントを渡すべき子共なのだから

 

起きてるかな…?

 

「…………」

いない、

 

部屋に居ない?

 

どういうことだ?

 

「翔鶴が部屋に居ない、最後のターゲットだったのに」

「翔鶴さんが、ですか?」

 

部屋の中を見てもその中には誰もいない

なんの音もしない

 

「探すぞ!深夜に外出は原則不可能だが

脱走なら可能だ、なにせ守衛もいないからな!」

 

イメージの中では翔鶴がクリスマスイベントに乗じて鎮守府を出て行く絵が展開される

そしてそれは、俺がなんとしても避けなくてはならない、艦娘による造反そのものであり

『提督の管理外に溢れた艦娘』という世にも恐ろしい存在の誕生を意味していた

 

空母寮の中を走り抜けて

本棟に戻り、妖精を招集する

 

夜も遅いが、哨戒・監視担当だった数人の妖精と、遅くまで起きていた秘書妖精たちが現れる

 

「たった今、翔鶴が自分の部屋に居ないという重大インシデントを確認した

外出届の受理は行われておらず

他の空母の居室にも、空室にもいない」

 

(脱走の可能性がありますな!)

(翔鶴ねえさまはそんなことしません!)

(とりあえず全部の寮の全部の部屋を暴くのです)

(我々が駆逐・潜水・軽巡・重巡・戦艦・空母の各寮をそれぞれ担当します

提督は鎮守府の本棟をお願いします)

 

「了解した、駆逐艦寮は千代田、軽巡寮は千歳を、空母寮は姉さんたちにサポートに回ってもらう

俺は……いいや、一人でやる」

(秘書妖精として、お供します)

 

最低限の二人1組で行動する事にして

妖精+艦娘 妖精+妖精 提督+妖精

という三種類の組み合わせで動き始める

 

「全員、無線は持ったな?行くぞ!」

 

艦娘たちの寮に回っている可能性は低いが、逆に灯台下暗しを狙っている可能性もある

翔鶴がどこへいったのかは知らないが

とにかく探さなくてはならない

 

「まずは執務室に行って、放送室、医務室、可能性が高い場所から順に潰すぞ!」

(了解です、飛びますよ!)

 

肩に乗せた秘書妖精が飛翔し

その背に透き通る羽が展開

そのまま俺以上のスピードでカッ飛んでいった

 

「執務室……と……やっぱりいないか」

 

執務室はいないようだが、次は

 

(放送室もいませんね)

秘書妖精曰く、放送室にも見当たらなかったらしい

 

「わかった、俺は医務室に向かう

お前は多目的室に」

(はい!)

 

妖精が飛び去ったあと、俺は念のために私室を見に行って

 

「…………おい」

 

自分でも驚くほど底冷えした声を放った

 

「なぜ部屋に居なかった?」

「メリークリスマスです……へ?」

 

そこに居たのは、ゴソゴソと蠢く袋を側にこちらに微笑みかける翔鶴

 

「流石に俺もこれは怒るぞ

……全員集合、場所は俺の私室、翔鶴発見」

 

「へ?」

「あのね、夜中に自分の部屋に居てくれないと、脱走と間違われるよ?」

 

「わ、脱走ですか!?誰が!?」「お前だよ!」

 

ちょっと混乱している翔鶴に現実を叩きつけて、ひとまず翔鶴の手を取る

 

「確保……ちょっと待ってろ」

 

「わぁ提督!まずはこれを見てくださいっ!」

「?」

 

翔鶴は自分の横でゴソゴソしていた袋を抱えて、その中身を解放する

 

「……んー!ん〜っ!!」

 

そのなかから出てきたのは

サンタコスの瑞鶴

 

「?は?」

 

「提督、前々から瑞鶴の艤装建造をしたいって言っていたじゃないですか!

だから私が建造制御して、瑞鶴を出したんです!さぁ、瑞鶴、提督にご挨拶して?」

 

「ん!んーっ!んーっ!」

「明らかに猿轡で口封じされてるんだが?」

 

苦しそうな表情の瑞鶴に見つめられた俺は、とりあえず噛まされていた猿轡を外して

その後ろ手の縛りを解く

 

「大丈夫か?瑞鶴」

「ん…ぇ……ゴホッ……んぅ…」

 

大変気分が悪そうだが、まずは事情を聴取しないといけないな

 

「瑞鶴、まずは落ち着け

気分が悪いならしばらく時間を取る、水をゆっくりと飲むんだ」

 

コップに半分ほど水を入れて

瑞鶴に渡す

 

「ん……」

 

慌てて飲んでは例え水といえど喉に詰まる、なので敢えて量は少なく

一口分程度に抑えて与えた

 

「大丈夫だよ」

 

そっと瑞鶴の頭に手を遣って

そのまま優しく撫でる

 

(提督っ!翔鶴さんはっ!?)

「ここにいるよ、どうも俺の部屋に来ていたようだ」

 

怯えてしまっている瑞鶴のために

大きな声は出さないように気をつけて、万事をゆっくりと進める

 

「まずは翔鶴と瑞鶴に事情聴取を行うように伝えてくれ、別室でな?瑞鶴の方は千代田と千歳を付けるから」

(……了解しました)

 

すでに大方終わっているが、翔鶴の聴取も行わなくてはならない

ということで、瑞鶴は一旦退避してもらって

 

「執務室で悪いが、これより簡式事情聴取を執り行う」

 

というのは名目なのだが

翔鶴の事情聴取を始める

 

「クリスマスプレゼントを配っている時、自分の寮を抜け出したのはなぜだい?」

「それは……前に、陸奥さんの建造を行っているときに、たまたま瑞鶴が出ました、その時『提督が以前欲しがっていた瑞鶴を、提督へのプレゼントしよう』と思いつきましたので、提督が部屋に戻ってきたら瑞鶴をお渡しする、という予定で寮を出ました」

 

「……瑞鶴をプレゼントに、ねぇ」

 

「妹に会えたのは久しぶりで、あの時は舞い上がっていたのだと思います」

 

 

「じゃああの猿轡は?」

 

「単純に、声で誰かわかってしまうと思ったので、提督に聞こえると良くないから、と言って私が付けさせました」

 

どうやら、翔鶴自身は

反省もしているようだが

予告もなく寮を抜け出すと脱走行為未遂になってしまうというのは……まぁ、考えていなかったんだろうなぁ

 

「後で瑞鶴にも聞くけれど

まぁいい……瑞鶴に謝っておけよ?」

 

さらっと妹を物扱いしている事については触れない方がいいのだろう

 

「はい、提督」

「…本当はこれ、憲兵がやるんだけどなぁ」

 

流石に大本営に連行、というのもよろしくないし、その結果大本営で勾留されてしまうと

せっかく揃った鶴姉妹がまた引き離されてしまう

 

それはまぁ……瑞鶴も良くは思わないんじゃないかな

 

「あと、瑞鶴の事情聴取を行うから……うん、部屋に戻って早く寝なさい

この件は……俺の方で握り潰す」

 

とりあえず翔鶴のことは不問として

瑞鶴を部屋に入れる

 

「……すまない、待たせてしまったね

もしかして、今日の晩は何も食べていなかったりするんじゃないか?」

「……ん」

 

一応聞いてみただけだったのだが

どうやら本当に何も食べていなかったらしい

 

「翔鶴も配慮が足りない事もあるんだな

……えっと……」

 

一旦俺の部屋に戻って、インスタント食品でも用意しようかと椅子から腰を上げた直後

俺は瑞鶴に服の裾を掴まれてしまった

 

「提督さん」

「……あの、カップ麺でも取ってこようかと思って」「いや」

 

扉の方に行こうとすると、より強く掴まれる

 

「……わかった、しばらくはな」

「ん、ありがと」

 

そのまま強く抱きつかれて

流石にその流れで振り払う事もできず、俺はそのまま夜を明かす事になった

 

結局、二日連続でほとんど眠れていない

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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