「ただいま帰りました」
「おかえりなさい司令官、扶桑さん、時雨ちゃん」
「ただいま」「ただいま、吹雪ちゃん」
出迎えに来てくれたのは吹雪
お前よく来るな
「司令官、見てください!」
俺の真正面に立ち
目立とうとしたのか、軽くジャンプする吹雪は、そのままくるりと一回転した
「新年あけましておめでとうございます、吹雪、この時のために和服を用意しました!」
「鳳翔さんに世話になって、ね」
後ろから出てきた神風の補足に
顔を赤らめる吹雪
どうやら、セレクトは鳳翔さんに任せたらしい
「鳳翔さんにお礼を言わなきゃな
かわいいよ、吹雪」
「ありがとうございます!」
「ちょっと司令官、私は?」
「神風は普段から和服だからあんまり新鮮味が」
それを言い切る前に、右手から痛みが走り、その発生源を見ると
時雨がこちらを睨みながら
俺の手をつねっていた
「提督、それはあまりにデリカシーが足りない、ぶっちゃけありえないよ」
「え?」
「提督、さすがに女の子の扱いとして、適切とは言えないかと……」
扶桑さんにまで抗議された?
「扶桑さん!?」
「良いですか?提督
女の子というのは、常に美しくあろうと意識しています、そして想い人には、最高の自分を見てもらいたいのです」
「最高の、自分」
「はい」
「最高の自分、つまり『最も美しい自分』を見せるために、女の子は着飾ったり化粧をしたり美しい所作や作法を身につけるのです
世間一般に対しても同じことが言えますが、特に特定個人に対しては強くこのような傾向が出ます」
為になるお話だ……
「イメージするのは常に最高の自分
しかし、現実はそのように上手くは行きません、必ず反対側面が……つまり、『美しくない自分』が発生してしまいます
女の子はこのような側面を排除し、あるいは隠匿しているものです」
「はぁ……」
「ですから、男として、最大限に気を配るのならば『美しい側面』を強調されれば、その面をしっかりと見て、褒めてさしあげることが必要です
女の子でも、男の子でも、褒められれば嬉しいものですから……なので
提督、頑張って格好を整えてきた神風ちゃんには、ちゃんとお褒めの言葉を掛けてあげるべきなのです」
「な、なるほど……えっと、神風?」
「………………」
神風の方に視線を向けると
神風はなにやら俯いて、小刻みにプルプル震えている
「し、仕切り直し!やり直しよ!」
不意に顔を上げたと思えば
そう叫んで消えていった
「あ……かわいそうに」
時雨が一言ボソリと呟いた
「提督、追ってください
古来より、逃げ去る女は捕まえるもの、嫁は父親から
この機を逃してはいけません」
「わ、わかった!」
とりあえず二人から離れて、駆け出す
「司令官、神風さんはこういう時
自分の部屋に向かうと思います、駆逐艦寮の雷ちゃんには私から連絡します」
「頼んだ、吹雪!」
吹雪の横を通り抜けようとしたその瞬間、吹雪が微笑み、俺に追走しながら告げる
その言葉は俺にとってはまさに天啓
ありがたいという他にない
「はい、頼まれました!」
こうして俺は、神風の元へと走った
「神風!」
「っ!」
結局、神風が本気で走っていなかったことと、俺のショートカットがうまく行ったことで
神風が駆逐艦寮に着く前に割り込むことができ、俺はその進路に立ち塞がった
しかし、ここでアクシデントが起きる
神風が予測以上に速度を出しており
そして足場が雪のせいで悪くなっていた
そのため減速が待ち合わず
神風は俺にそこそこのスピードのまま衝突したのだ
「んぅ……!」
「大丈夫か、神風?」
「……はい」
ちょっと痛そうなくぐもった声をあげる神風に状態を尋ねると
俺の上着から顔を離した神風は
やはり薄らと赤みの差した顔で無事と答える
「そうか、すまないな」
「……もう良いのよ、司令官」
神風はそのまま俺から離れて寮へと帰ろうとするが、そうは俺が行かせない
「神風」
「……なに?」
「お前、わざわざ髪型まで変えたのか」
「今更ね、それに晴れ着は司令官のためだけじゃなくて、自分のためでもあるのよ?」
「そうだな」
わざわざ回り込んでまで呼び止めて
それですませるつもりかとばかりに嘆息する神風
「もう、なによ期待させて」
「とっても綺麗だよ」
「!」
「神風」
そっと頭を撫でると
途端に表情が緩んでいくのがまた可愛い
「……なによ」
「そういえば、前の海戦で力を貸してもらった礼、まだ言っていなかったよな?」
「前の海戦?……あぁ、カードのこと?
その程度のこと、気にする必要なんてないわよ、結局、容量もほとんどないんだし」
「いや、吹雪と神風の力がなければ、俺自身が前線に出ることは叶わなかったよ
力を貸してくれて、ありがとう」
「ん……」
そのまま頭を撫でていると、神風の方からそっと身を寄せてきて
俺の耳元で囁く
「なら、今日だけで良いから、司令官と一緒に居たいわ」
「わかった、じゃあ今日は
ずっと一緒に居ようか」
「!……ばか」
600話記念番外編は
-
過去編軍学校
-
過去編深海勢
-
裏山とかの話を
-
テンプレ転生者(ヘイト)
-
ストーリーを進めよう
-
戦争が終わった後の話を!
-
しぐ……しぐ……