「提督、混乱してない?」
「してないですね……というか
もう『私と桑島さんの人格同士が互いに押し合っている』という仮説に達していると思いますよ?
まぁお芝居ですけど」
「なんか罪悪感……」
ちょっと凹んでしまう私に
鹿島は激励を飛ばしてくる
「なんとかして
そこを狙い撃つ
動けなくなった提督をいただきます」
「コアに干渉してこなくても、
人格を入れ変えながら今にも消えそうな演技して、いっぱいおねだりして一発ヤる」
「「完璧な作戦です!」」
そう、この時の私は、本当にこれで成功するつもりだったのです……
side out
「鹿島!おい!?」
「提督さん……んー」
いきなり耳を舐められて驚くと同時に
座ったままの姿勢は危険と判断して飛び上がり、執務机を飛び越えて着地し
そのまま障害物として間に挟む
万が一のために装甲化されている執務机は動かすことにすら一苦労する上
前面が戦艦並みの防御力を持つ
正直に言えばこれを全軍に配布した方が司令官の生存率は上がると思うが
製造コストの高騰からそうはいかないのだそうだ
「提督さん」
「黙れ、お前と話す事などない
早くお前の体の人格を返せ」
「そんなぁ、ひどいです!
わたしは提督さんにとって邪魔なんですかぁ?」
「あぁ邪魔だとも、わかったら早く消えろ」
どこまでも警戒を解かず、ひたすらに鋭く睨み続ける俺に、何事かを呟く鹿島
そして
「提督っ!」
「鹿島っ?!」
瞳の色が戻り、元の人格が現れた
「提督!助けてください!」
「あぁ!」
伸ばされた片手を取って応える
いかにオリジナルと言えど、俺の鹿島を奪われるわけにはいかない
「さぁ!私の胸に!」
腕を引かれて、上半身を前に倒しながら
閃光の如き思考が頭の中を駆け巡り
「ちょっと待てや」
「!」
その手を思い切り引き戻した
「えっ!?」
「おまえ随分と余裕あんなぁ?
……さては」
「!?!」
目まぐるしく変わる瞳の色は
いつのまにか安定しており
その上でわざと焦った様子を演出していたのは明白、つまり
「お前、
「………はい」
「やっぱりぃ……」
こいつ最初から嘘ついてやがった
という呆れと、同時に今さっきまでの完璧な演技に対する驚愕、そして無駄に格好をつけた啖呵に対する羞恥が溢れる
「せめてそういうのはやめよう、俺が危ない……ヤバい、ちょっと語彙力無くなるレベルでヤバい」
「はぁ……せっかく先輩に触ってもらえるところだったのに……
あっ!」
瞳の色が灰色に変わる、どうやら裏鹿島(仮称)の人格が出てきたようだ
「もう!気づいても指摘されても演技を通すのが
それに提督さんも大人しく騙されててくださいっ!」
「いや無理、というかお前が言うな」
オリジナルの鹿島まで鹿島の計画に付き合わせるという大胆さには驚くが
それが俺に対しての欺瞞に繋がるのであればむしろ危険、いや脅威にしかならない
そんな相手に対して優しく接するような感性はしていない
「そんなぁ……提督さん!」
「ん、俺はお前の提督じゃないんだ、じゃあな」
裏鹿島(仮称)の声に背を向けて
執務室を出る
その直前になって、裏鹿島(仮称)が俺の手を掴んだ
「提督さん、話を聞いてください!」
「誰が聞くか、お前は俺の艦娘でもなければ俺はお前を身内とは思っていない
そんな輩の話なんぞ聞く訳がないだろう」
「それでもお願いですから聞いてくださいっ!」
強引に腕を引っ張られて
これ以上は肩が外れるというところまで耐えていると、ようやく諦めてくれたようで
手を離される
「お願いです、神巫さん!」
「…………はぁ」
こういうところが甘いと言われるんだろうなぁ
などと考えながら、俺は鹿島の方へ振り返った
「んで、なんだ?」
「よかった!……お話を、聞いてください」
こうして、オリジナルの鹿島は
総合的な意味での、『鹿島』にまつわるイメージのうち、圧倒的多数を占めるそれ
つまり……『エロい』
という大衆の認識、それに対する鹿島自身の認識、そして忌避感を語り始めたのだが
「結局お前の内面がエロいから外観の印象も大して変わらないってだけだろ?
お前、自分の立てた作戦とか思い返して見ろよ」
俺はこの一言で話しを断ち切った
600話記念番外編は
-
過去編軍学校
-
過去編深海勢
-
裏山とかの話を
-
テンプレ転生者(ヘイト)
-
ストーリーを進めよう
-
戦争が終わった後の話を!
-
しぐ……しぐ……