「……会議は一息ついたものの……」
現在俺は、執務室で残りの書類を片付け、今度は艤装の修理に来ていたのだが……
「ドーモ、提督=サン」
「ドーモ、川内=サン」
川内が自分の艤装に座って待っていたのだった
「……浮気者」
「お前お辞儀直後がそれかよ!」
どうやら随分と不本意な認識をされてしまっているようなので、俺はひとまずその言葉を訂正させる
「そもそも俺は浮気なんてしてない、お前が俺に対して好意的なのは良いんだが……」
交際の申し込みは受けていない
なんて言おうとしていた自分に気付いて、慌てて言葉を止める
「……ん?提督?」
「……なんでもない、気にするな」
流石に人としてどうかと思う発言は取りやめて、強引に話を終わらせる
好意を寄せてくれる人は、大切にする
敵意をもって接する者は、敵意を以て返す、これが俺の行動原理だからだ
「んで、そろそろその艤装から退け
お前の艤装なんだからお前がどう扱おうが勝手だが、そんな事をしていると中身のコアが臍を曲げるぞ」
「私自身が……コアになる事だ……!」
「……あ、そうか、お前コア側の人格そのものだったな」
自分の行動に自分で腹を立てるようならことはない、か……なら問題ないな
「まぁね、よっと!」
軽く笑って、そのまま艤装からどく川内
俺はその艤装のメンテナンスを行うべく、ひとまず艤装の損傷を確認して……
「あ、ヘンタイ」
「んなわけあるか!」
天板を撫でて触覚で凹凸や傷を確認していただけであって、別に天板に残った僅かな川内の体温を味わっていたわけではない
「……しばらく静かに、な?」
「はーい」
川内に予め言っておいてから
そっと艤装を分解し、その中の損傷を確認する
電気系の結線もそろそろ緩んできているかも知れないので、流し見ではなく真面目に、詳細に確認する
「……あ、ここ箍金が外れてる」
「劣化してたのか、どこにいったのかね」
周辺を探してみても
外れた箍金と思しきものは見つからない
「これはとりあえず、新しい箍金をつけておくよ」
振り返ってそう言ったその時に
ようやく後ろにいた川内に気づいた
「ってお前、川内
ちょっと待ってろって」
「提督の中でずっと見てきたんだし、邪魔にならないくらいの水準では動けるし」
そっと俺の取ろうとしていたニッパーを差し出してくる川内
「お前……まぁいい
手伝ってもらうぞ」
「りょーかい、にひひっ!」
この後滅茶苦茶修理した
「よし、お疲れ様」
「はーい、おつかれー」
みんなの艤装を修理し終わり
ようやく一息というころになった
川内と視線を合わせて、どちらともなく微笑む
人と共同で作業しているときに
こんなに落ち着いて作業できたのなんて初めてだ、もう何も怖くない
「ありがとう、助かったよ」
「んーん、夜戦に出してくれてるお礼!」
あぁもう、この子が底抜けに可愛いのはどうしてなんだろうか
理性を常に意識し続けなくてはすぐに結婚を申し込んでしまいそうだ……何を考えているんだ俺は?
「大丈夫?顔色悪いよ?」
「大丈夫だ……問題ない、俺は夕食取りに行くけど川内はどうする?」
「ん、一緒に行く!間宮さんも余裕ある時間帯だし、一緒に食べよ?ね?」
「わかった……うん」
今日こそうどんを食べたいところだ
「……提督、うどん食べたいって顔してるね」
「なんでそうバレるんだか……」
どうも俺の表情は川内にはバレバレであるらしいので、感情を隠す事を諦める
「いいよ、私がうどん頼んであげる
交換して食べよ?」
「頼んだ」
こうして俺たちは間宮へと赴き
俺は久々にうどんを食べることに成功した
「間宮さん睨んでない?」
「大丈夫大丈夫!こっち見てないよ」
川内に逐一聞きながら
こそこそとうどんを啜るのは情けないが、うどんが禁止されている以上は仕方ない
「提督、ほらあーん」
「ん、……ってよせ」
ごく自然に『あーん』されて
雛鳥のように自然に受け取ってから
その事実に気づいてやめるように言う
「んふふ、提督可愛いよ」
「ええぃ、大人を揶揄うのはよせ!」
クスクスと笑う川内を叱って
それから平静に戻る
「お前な、いくら俺の思考に同調できるからってあまり遊ぶなよ」
「提督で遊ぶのは楽しいのに……冗談だよ?……ふふっ……うん、わかった」
少しは抵抗するかと思ったが
案外簡単に止めさせられて拍子抜けする俺に、川内は微笑む
「提督と一緒にいられる、それだけで幸せだから」
「お前……!それは反則だろうが!」
差し込む日光に照らされながら
爽やかな微笑みを浮かべる川内は
あまりにも綺麗で
思わず声を上げてしまう
「あっ……」
「提督、もう少し静かに
うどんは禁止されているはず……川内さんですね?」
「「ひえっ」」
結局、二人揃って間宮さんの説教を食らうことになった
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