戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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◾️るさめ

「……せっかくだから昼は外食にしようか?」

 

「いえ、私が作りますよ

提督はお仕事を続けてくださいね」

 

昼食の時報が外食だったことを思い出した俺はハンコとサインだけが書かれた白紙の外出届を示してみるが、どうしてか時報同様に外出とはならなかったようだ

 

「わかった、じゃあお願いするね」

 

ひとまず諦めて春雨に期待する事にした

 

「お昼は春……嘘です。

朝は軽めだったので、チキンチャーハンにしてみました、お野菜たっぷりです、はい。」

 

春雨の提示した献立は中華よりのもので、やはり本人の申告どおり

野菜多めの炒飯だった

 

「いただきます」

 

取り敢えず昼食をいただく事にして

チャーハンらしく用意されていたレンゲを取って、

レンゲを綺麗に整えられたチャーハンへと控えめに差し込み掬って

「ん、あっふふぉぉ……」

 

あっつ!と言おうとしながら

流石に口の中のチャーハンに気を使って全力で我慢する

 

「提督、お水どうぞ!」

「!ん」

 

春雨が差し出してくれたコップを受け取り、ごきゅ、と大きく一口水を飲み込む

 

それでどうにか口の中の熱から解放された俺は、チャーハンを飲み込んでから

大きく息を吐く

 

「……流石に出来立ては熱いか」

 

いや、失敗だった

 

「提督、急ぎすぎです。はい」

「……ふふっ、それもそうか」

 

「なので」

 

笑って済ませようとした俺の手から、レンゲが取られ

 

「春雨が、ふーふーしてあげます」

 

???(宇宙猫)

 

「ふー、ふー……はい、あーん」

 

 

ちなみに、春雨の味はしなかった

 

「春雨が食べさせて差し上げます、はい。」

 

と言われた通りに

本当に全部あーんされる羽目になったが……まぁ、春雨が笑顔になったからよしとしよう

 

「ご馳走様でした……ふぅ」

 

今日の分の書類も残り少ない

午後の3時、15:00くらいからは休みになりそうだ

そういえば、デイリー出撃は済ませたよな?

 

頭の中で情報が駆け巡る

それを整理するために風にあたりに行って、廊下の窓を開けると、

その眼下には鎮守府の中庭に出てきていた駆逐艦たち、どうやら暇つぶしに遊んでいるだけのようだが

 

「……春雨……?」

 

その中に、春雨が混ざっていた

 

いるはずがない、だって春雨はさっきまで俺のそばにいたし制服だった

マフラーも巻いていなければセーターも着ていなかったし、いつもの制服姿でミニスカートだった、焼き芋modeの服装じゃない

白露に呼ばれて着替えたのだとすれば早すぎる、そもそも階を降りるなら必然的に俺の今さっき通ってきた扉を通るはずだ

 

なら、あの春雨はなんだ?

……白露達となんら違和感なく遊んでいる春雨と、今まで俺のそばにいた春雨は別人なのか!?

いやそもそも春雨の瞳の色は青じゃない!

 

疑問が頭の中で生まれ、

そしてめちゃくちゃに駆け回る

 

思考はまとまりなく千々に乱れ

体から力が抜けていく

 

「これは……睡眠やく……!?」

 

色を失った視界に、

青い瞳の春雨が微笑む

 

「提督……大好きです

食べちゃいたいくらいに……だから、もう少しだけ眠っていてください

それで、全てが終わりますから」

 

それは、何よりも恐ろしく

明らかに邪悪で、しかしそれでも愛らしい、駆逐棲姫の言葉だった

 


 

「そういえば……提督は朝から何してるネ、lunch Timeも過ぎてるノニ

執務室から出てこないナンテ」

 

「そうでありますね……しかし、今日は秘書艦のいない日ですから、仕事に手間を取られているのでは?」

 

あきつ丸と金剛は

今にも暴発しそうな苛つきを見せている摩耶を押さえ込みながら、こんな時に頼りになる提督を呼ぼうとして、その提督がいない事にようやく気付いた

 

「提督は『自分がいなくても鎮守府が回る機構』を作っていたので、

運営もしばらくは問題ないと思いますが、今日一日で終わらなければ明日の秘書官である自分がなんとかしましょう」

「了解ネ、んで……」

 

「出撃させろってんだろぉっ!」

「無理であります!摩耶殿の艤装は危険でありますっ!」

 

なんと遠征先の海域で出撃していた艦娘から、後期高雄型に似た艦型の艦娘らしき影を確認したという連絡がきたのだ、鳥海か摩耶かのどちらかであるそれを確認しようともせずにはいられないのだろう

摩耶は勇足で出撃しようとしているが

そもそも遠征先は距離があるキス島、重巡単独で向かえる距離ではないし、

駆逐艦ならともかく、重巡の中でも特殊な艤装を持っている摩耶は重点的に狙われる危険があった

 

なので、あきつ丸と金剛は現在、以前からの指示に従って摩耶を静止しているのだ

 

「そもそも出撃許可の申請は通っていないのであります!その状態で出撃したら無断出撃どころか最悪脱走兵扱いでありますぞ!」

「味方の背中を撃ちたくなんて無いノヨ!」

 

金剛達の必死の説得は

結局、身を結んでくれたようで

 

「クソッ!面倒くせぇ!…あきつ丸!」

「ひっ!?……なんでありますか」

 

あまりにも鋭い眼光に一瞬息をつまらせながら、それでも答えるあきつ丸

しかし、なおも摩耶は鋭い視線を向け続ける

 

「なんか、嫌な予感がすんぞ」

「それは自分もそうでありますよ!」

 

今まさに身の危険に晒されているあきつ丸は必死に叫ぶが、摩耶はそれを一蹴する

 

「そうじゃねぇ!」

「?」「どういう事デス?」

 

「わかんねぇよ!自分にも!

ただ、どうしても……嫌な感覚がするってだけだ!」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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