戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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ギリギリまで頑張って

「オイ、起キロ」

 

「…………!」

 

全力で寝た振りを続けている俺にそろそろ苛立ってきたのか、軽巡棲鬼に蹴られる

ドムゥと嫌な音が鳴るが、流石高性能軍服、見事に骨折を回避してくれた

 

帽子の中に潜んでいる妖精達も無事だ

 

「オイ、聞コエナイノカ」

 

しっかし……ダメですコレ、流石に起きないと不自然どころかいつバレてもおかしくない

 

「オイ!」「軽巡棲鬼さんっ!」

 

大きく振りかぶって放たれるその一撃は駆逐棲姫に阻止されたのか

俺に届くことはなかったが、それでも衝撃をしこたまに叩き込まれたのは事実

この打撲の痛みは倍にして返してやるからな!(無理)

 

「軽巡棲鬼さん、その人は提督なんです!無碍に扱ってはいけません!」

「知ッタコトカ、コンナ物、無クテモ戦エテルノニワザワザ得ル必要モナイ!」

 

よほどに『提督』に恨みがあるのか

執拗に攻撃しようとする軽巡棲鬼に、駆逐棲姫がしがみついているような音

ちょいちょい蹴りが当たって転がされる

 

意識がない物体の転がり方を必死でシュミレーションし、それを踏まえて

転がっていく

 

少しだけ距離を離せたが、それもごく僅かな距離、この程度では起き上がるよりも早く軽巡棲鬼の攻撃を受けるだろう

 

「……」

 

僅かな距離を生かす方法はない

だが、それが僅かでなければ?

 

(ていとく?……大丈夫ですか?)

[問題ない、体は動く、骨は無事だ]

 

(分かりました、私がなんとかします)

[了解した、仕込みは任せる]

 

密かに帽子の中に潜り込んでいたらしい妖精達が出て、それらの能力を展開した

妖精達は各々の技能を持っている

それがなんであれ、役に立たないものはない、俺はそう信じている

 

「ナンダコイツラ!?」

「妖精っ!?」

「ギラァッラ?」

「コレハ……ナンダー?」

 

(我々は大日本帝国海軍、創海鎮守府所属の妖精隊だ!)(精鋭部隊ってわけじゃないが

それでも出来るだけやってみせる!)

(生きて帰ったら、金平糖はずんでくださいね、提督!)

 

三体の妖精が帽子を飛び出して、各々に叫び、そして

 

「妖精?」

「殺セルノカ?」

 

軽巡棲鬼の声は驚愕、レ級の声は困惑をそれぞれ色濃く写している

(さぁ提督!脱出してください!)

 

(羅針盤妖精!あとは頼んだぞぉぉっ!)

 

13センチ連装砲を展開した妖精と

大きなバーナーを召喚した妖精はレ級とイ級に正面から立ち塞がり

最後の艦隊司令部妖精が軽巡棲鬼の前に躍り出た

 

(提督っ!羅針盤回しますっ!)

「了解っ!」

 

転がるように立ち上がり

回された羅針盤の方向に従って駆け出す

 

背後を振り返ることはない

そこに躊躇が生まれてしまうから

それは彼女らの生存率を下げることに繋がるから

 

(うぉぉっ!これが熟練司令部の心意気じゃぁぁっ!)

 

叫び声が轟いて、消えた

 

(……次、曲がり角右です!)

「了解っ!」

 

ボスを逸れる羅針盤の性能がこんなに頼もしかったことはない

脇道や角から敵が出てくるが

うまくすり抜けて走りきれている

 

(敵反応、近いです!)

「会敵まで!」(17秒!)

 

本当に近い、ハイペースとはいえ、その短時間で追いつかれるか接触するかとなると、既にそこまでの距離はないと見た方がいい

 

「どこ!」(正面!)

「マジか!」

 

一本道のカーブの先から出てきたのは

輸送ワ級2体、ホ級eliteとflagshipの合計四体、どうやら輸送艦隊のようだ

 

「?!」「?」

「ナニィ!?」「!シネッ!」

 

eliteとflag shipの性能差か、片方が先行して機銃を放つホ級、突然人間が出てきたらそりゃあ驚くよね(白目)

 

だが、私は謝らない!

「退けやゴラァァッ!」

 

碌な狙いもつけられていない射撃など恐るるに足らず、と言わんばかりに

ほとんど当たらない機銃を無視して突っ込む

 

そもそも当たっても四肢にも制服がある、機銃程度ならば重傷で済む

脳天はガードしているし問題ない!

 

「ナニィッ!?」

「バカナ……」

 

驚愕のまま動きを止めているワ級の艤装へ飛び乗り、踏み越えて跳躍一気にその後ろへと出る

 

「……アイツ……!」

「追ウカ?」

「……無駄ダ、ソレヨリワ級、資材ハ無事カ?」

 

「ハイ、コチラニソンガイハアリマセン」

「コチラニモ、損害はアリマセン」

 

ワ級二体の無事を確認する声を背後に

その後ろへ走りながら

 

「次!」

(はい!…………左です!)

 

羅針盤の示す針は西方向

現在向かっているのは北なので、次の角で左折というわけだ

 

「旧機能は使えるか!?」

(すみません、現在は使用不能です

ですが、海上にさえ出られれば!)

 

「わかった!っぉぉっ!?」

 

後ろから迫ってきた副砲の砲弾に驚きながらも身を投げるように跳躍して、

その上をすり抜ける事に成功する

 

「待テ貴様!ソコニ直レ!」

「誰がお前の命令なんか聞くか!」

 

俺は全力で迷路じみた道を走り回る事に集中した

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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