戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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R or L

そんなのは決まっている

 

俺は

 

「この世界に、残るよ」

 

「…………良いの?こんな不出来な世界で、こんなにも醜い私達と」

「ええい言わせるな馬鹿馬鹿しい!

……俺はわりと自己中心的でな、一度手に入れたものを手放すことができないタチなんだよ

 

それに、今帰ったら川内達に一言も言わずに帰ることになっちゃうしな」

 

中枢棲姫から目を離して、別の深海棲艦や艦娘達に襲われる危険性を考え

視界内を全力で索敵しているのだが

 

「……本当に何も居ないな」

 

ハワイ周辺は本拠地だけあって深海棲艦の密度が高く、層が厚い

そんな場所に艦娘の存在は期待できないのはわかり切っているが、深海棲艦も一体たりとも見えないとはどういう事だ?

 

「……」

「……」

 

お前が何かしたな?という目を向けると

ふい、とばかりに目を逸らされる

 

「おい」

「………………なに?」

 

「どう見てもこの状況は不自然なんだが?」

「………………知らない」

 

「知らないはずがないだろう、そもそもお前たちが棲んでる海域なんだから」

「知らないのよ本当に、私は深海棲艦の核だからずっと基地の中に隠れていたし

そもそも人払いなんてしてないわ

もしこの状況が他者の意図のもとに展開されたものだとしたら……!」

 

その瞬間、轟音が放たれる

 

「伏せて!」「伏せろっ!」

 

耳に届いた壮絶な音、それはあまりにも聞き慣れた……いや、聞き慣れてしまった音

 

戦艦水鬼の持つ、20inch連装砲の発砲音

脆弱な装甲の内火艇を相手にでは、余波すらも転覆の危険がある致命の攻撃となる

 

「まずいぞ!」

「どうにかするしかないわ

……私が接触する、貴方はここで隠れて」

 

「仕方ないか、お前、深海棲艦の中核なのならあいつらを操ったりはできないのか?」

「無理よ、私は中核であって支配者じゃないの、私が死んでもこの世界の核としての支配力が誰かに移るだけよ」

 

そう言って内火艇を出た中枢棲姫は

敵の方に向かっていく

 

「マジか……頼んだ…………?」

 

そう言われてから思えば

そもそも、中枢棲姫の能力はともかく戦力としては考えるべきではないのではないか?

世界に対する絶対的な支配力を他者に……それこそ深海棲艦に奪われたら

奴らはその力を『人類を攻撃する為に』使うだろう、なぜなら奴らは

『人類の敵として設定され』そして『斯く在れと作られたキャラクター』なのだから

バランスを考えつつ戦力を拮抗させて敵として対立し続ける構図を保ち続けていた中枢棲姫を殺害してその支配権を奪えば

 

「よせ中枢棲姫!」

 

そう叫ぶよりもずっと早く

砲撃は放たれていた

 

「きゃぁぁっ!」

「クソっ!」

 

内火艇の主機を回し、艇を出て行った中枢棲姫の方へ向かいながら、

備え付けの機銃を旋回させる

 

機銃では大した火力にはならないはずだが

それでもあるないの差は大きいだろう

 

「中枢棲姫っ!」

「ダメ!!」

 

声を頼りに場所を探り当て、スコープで視界を確保し、その方向に向かおうとするが、突然出現した不可視の障壁によって弾き飛ばされてしまう

 

「ぬうぉ!……っ!」

 

小型内火艇が一隻

そのなんと頼りないことか、

普段の当てならば少なくとも駆逐艦の護衛はあるだろう、いや、護衛があっても同じ事か

 

しかし

 

「守られてばかりとは情けない……!」

 

()()()()()

ひび割れて、崩れ落ちて

破片を結んだこの心に、再び炎を吹き込んで

 

(いけません!提督っ!

今その力を使ったら提督は今度こそ存在ごと消滅してしまいます!

魂の癒合は完全じゃないんですよ!

それに欠けた記憶もまだ見つかっていない!提督の魂はとうに限界を超えているんです!)

 

「だが、いま使わずにはいられない

俺はこの世界の住人として、この世界を守る為に戦わざるを得ない」

 

力には責任が、破壊には禍根が、創造には消費が、そして活性には疲労が伴う

それを受ける耐久性のないこの寄せ集めの魂では、即座に砕けてしまうだろう

だがそれでも、ここで何もしないで中枢棲姫が殺されたら、この世界は滅んでしまう

 

(……提督、ここは私がやります)

「よせ、お前は羅針盤の妖精だ、鎮守府の方角を指し続ける必要がある」

 

(いいえ提督、その命令には従えません

提督が死んでしまったら鎮守府の方角を指す意味がありません

それに、旧機能の起動中なら私がいなくなっても半日くらいは正常に機能するはずです、私がやります)

 

「まて羅針盤妖精!」

(私はアマノ、天乃結依です……蒼羅さん、どうか御武運を」

 

艤装機能のために半実体状態だった妖精が名乗ると同時に羅針盤を降り、

そして完全に実体化した羅針盤妖精が

全身から光の粒子を吹き出しながら飛翔する

 

「天乃結依上級艤装操官、これより目標に特攻を仕掛けます」

 

回転する方の羅針盤に乗った魔女のような風貌の少女が急加速して、目に追えないほどの勢いで敵へと突っ込んでいく

 

「無駄ダ」

 

そして、いともたやすく撃ち落とされた

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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