大和のお陰で戦力は集まった、一方通行とはいえど、あのフネの出す超高速に耐えてまで戦線に来てくれたのは素直にありがたい
提督が突然鎮守府から失踪して
気付いたら深海棲艦と一緒にいた、なんて言われたらそりゃあスパイや謀反内通を疑うだろう
だが、それでもなお瑞鶴達のように俺のことを信頼してくれている艦娘達には感謝を贈ろう
「弾着観測開始!」
主砲カットインが入り
見事なまでの狙撃が中枢棲姫の艤装を砕く、しかしそれはやはり単なる外装に過ぎない
中枢棲姫の特徴は本来圧倒的な重装甲なのだから
だが、今回だけはその堅牢さが仇となる
「大和!ダイブは出来るか?あとドライバー持ってきたか?」
「できます、やってみせます
あとドライバーとかは持ってきていません!」
「それならアタシ持ってきたよー受け取りな!」「馬鹿!」
隼鷹が投げたブツ……某オタク工廠妖精が作り上げたバックル、カンムスドライバーを身投げ同然の跳躍でキャッチし、着水しながら装着する
なぜか艤装扱いされる概念を纏い水上に立つ足を取り戻した俺は
そのままバックルのカバーを開いて、選ぶべきカードを
「カードねえじゃん!」
「あ、忘れてきちゃったぜ」
忘れないで欲しいが、今は単独とは言え最強の姫と戦っている最中である
大和の艤装という最高の盾を自ら捨ててなおこんな茶番をやっているのなら……
「まぁ来るよな」
凄まじい勢いで砲塔を旋回させた艤装が碌な狙いが付くかも怪しいなかで発砲してくる
……いや、向こうからすればあたり全てが敵の山、適当に吹き飛ばしても構わないのか
「やってくれる……!」
「うわぁーん!めっちゃ追いかけられてるーっ!」
機銃に追い立てられて逃げる隼鷹と、連装砲の直撃を刀で防ぐ大和
その影からは多数の艦娘達の全力攻撃が降り注ぎ続けるのだが、敵にはまるで堪えた様子がない
「奴は不死身かっ!?」
「再生能力持ちなんていくらでもいるわよ」
大量散布のせいか、木曾が回避しきれなかった魚雷を空母棲姫が破壊し、そのまま木曾を横抱きにして離脱していく
「オリョクルよりはマシでちね」
「そんな事言ってないで撃つの!」
「イク!潜航を維持して!」
艦娘達から放たれた魚雷は互いの中間で相殺され
水中の爆発で衝撃波が発生、その身を水中に置いていた潜水艦達が燻り出されてしまう
「ただでは終わりませんよ…速吸航空隊、全機爆装完了済みです!」
「瑞鶴、良い?行くわよ!」
「瑞鶴航空隊、直衛以外は予備も全部攻撃に回して!」
「狙撃します」
駆逐・軽巡・潜水艦も含めた小型艦は主砲を封印してまで雷撃に集中し
空母・水母は防御を放り投げ、文字通りの全力で全力で爆撃を仕掛けてくる
戦艦は耐久を活かして矢面に立ちつつ
遠慮抜きで大口径砲をブッ放す
そんな世紀末な環境の中で
ついに艤装を装着した中枢棲姫は
全ての攻撃を完全に弾き続けていた
「邪魔!」
一振り、それだけで仮にも重巡である最上がまるでバレーボールのように吹き飛ばされる
後ろにいた夕立が受け止めるが、最上は中破、戦闘継続こそ可能なれど連装主砲2基4門を全喪失、撤退を余儀なくされる
「ごめん、提督……」
「私が連れて行きます!あとは任せました!」
朝潮が最上と共に……やたらと光り輝く電光掲示板上の帆を持った帆船に向かう
しかし、それを皮切りに進撃して来た中枢棲姫による被害は嵩み始め、徐々に艦娘達は押し込まれていく
「蒼羅!」
その声が届いたときには、もう遅かった
爆撃機の帰投の瞬間、一瞬の隙を突かれた赤城さんが中破し、動揺したのか、瑞鶴までもが動きを悪くして大破に追い込まれる
その直後、艦娘達を跳ね飛ばして俺のほうへと突っ込んで来た中枢棲姫がその腕を伸ばしてくる
[私を忘れないで]
腕を受け止めた瞬間
その声が聞こえる
間違いない、それは中枢棲姫の声だ
[私と一緒にいて]
心の声が聞こえる
なにかに上書きされてしまったかのような無機質な声、ノイズの混じった乱雑な叫び
それは一貫して亡霊じみた叫合を続けているが
その果てに、なにかを感じた
寂しいという感情、
出会いと別れを繰り返す虚しさ
永遠の一瞬を過ごす肉無き声の響き
積み上げられた骸の山を掘り返して、その深奥にある本物の意思を抉り出す!
Black and White
何もかもが黒と白、0と1の羅列でできた偽りの世界
ここにいるのは私だけ
描かれる姿、忘れ去られて消えるだけ
そう、私は
「中枢棲姫!
今度こそ、君を助けに来た」
600話記念番外編は
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裏山とかの話を
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テンプレ転生者(ヘイト)
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ストーリーを進めよう
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……