「はるさめ?」
「違います!駆逐棲姫ですーっ!」
全力のシャウトが魚雷と共に迸った
「……は?」
「私は!駆逐棲姫!ですっ!」
青い瞳から光の軌跡を描きながら駆け抜けて、魚雷を手掴みで投擲する春雨
とても可愛いが、流石に手掴みで魚雷を投げるのは良くない、それをやるのは一部の軽巡くらいだ
「いや春雨だろ?」
「ですからぁぁっ!」
ドゴンバゴンと爆音を鳴らしながら
集積地棲姫の艤装相手に大立ち回りを演じて、さすがのスピードで爆撃を回避しつつ
一気に急接近して面倒な水母棲姫を潰しにかかった春雨は、なぜか自分を駆逐棲姫と称しながらこちらに向かってくる
「……?いかん!」
「え?…きゃぁぁっ!」
向かってくる後ろから、戦艦水鬼の艤装から砲撃が放たれ、それが春雨に直撃する
「春雨!おい!」
「もういいです……」
あまりにも痛いのか、涙目になっている春雨を抱え上げて、背負う
その直後、再度迫ってきた砲撃を
パーシックルのシールドで受けとめて
「よし!反撃は十分できる!」
そのまま銃形態に再度変形し、射撃戦を続行する
しかし、装甲が硬すぎて装甲板同士の継ぎ目を狙わなくては話にならない
「提督、そのまま支えてください」
不意に、肩の上から声が掛かる
反射的にその声の主の背を押さえると
「そのまま……」
俺の両肩に足の艤装が乗っかり
そのまま双頭の口が開くと
中に仕舞い込まれていた24センチ連装砲が展開され、「撃てっ!」
爆音と共に砲弾が放たれる
同時に反動で肩から上の全てを持っていかれるが、肉体など問題では無い
首だけでも修復を終えると、春雨のほうに駆け出して
「大丈夫、私は大丈夫です!」
春雨は俺を振り払うように叫ぶと同時に、右足部の艤装を分離して、投擲
そして爆発
どうやら彼女は投擲した部分を強力な爆弾に変質させていたらしい
空気の震える振動に身を竦ませながらも視線を正面に保ち、攻撃対象の状態を確認しようとした俺は、無言で首の後ろを掴まれてそのまま引きずられる
「提督、こっちに!」
引っ張り込まれた先は
なにやらゴミついた……崩れた建物の残骸が広がるエリア、名をつけるのなら
「提督、私の目を見てください」
春雨に促され、失った腕を修復しながら
春雨の目を見つめる
「大丈夫……Code:burst・616」
その瞬間、春雨の両目の光が消える
そして、次の瞬間
俺の視界はブレたように震え、その中にいたのは紛うことなき
「駆逐棲姫……!?」
「はい、提督……私は深海棲艦、駆逐棲姫
あのバカの欠片の一つです」
蒼かった瞳を暗く沈ませ
その目にはもはやなにも写っていない
「視力を……捨てたのか」
「はい、この瞳、零式思考誘導装置-
「それは!」「ごめんなさい、あまり長くは話せません……提督、お願いがあります」
俺の言葉を制した駆逐棲姫は
そのまま俺の目の前に手をかざす
「あのバカを、救ってあげて欲しいのです
お願いします」
「…………分かった」
なによりも優しい少女の言葉は、俺が動く理由としては十分だろう
俺は即座にパーシックルを手放し
より大きな武器を作るために
その改造を開始する
大仰な銃はいらない
仕込みの機構があればいい
巨大な刃はいらない
ただ、その役目を果たすための最低限があればいい
重厚な大楯はいらない
堅実に刀身を支えるだけでいい
頭の中で蛞蝓が囁く
視界に火花が舞い、閃光が頬を照らす、瞳の奥に火が差し込み、焼けた色が視界に飛び込む
鋼は叩かれ鍛えられ
革はより靭く締められる
頭の中に罅が走る
視界は白く染まり、閃光は眼を刺してくる、瞳の奥には光が暴れ、焼け果てて白く燃え落ちる
この身は焼かれ、傷ついて
皮だけを取り繕うばかり
「行けるな……」
しかし、この身が崩れ落ちるよりも
それが完成する方が早い
焼けた鉄を叩き、氷水に浸けて急冷する
己の自我を叩き、心の隙間に流し込む
「……」
形成されたそれは
原型となった銃と盾、そして剣を一体化した複合兵装とは似ても似つかないモノと化していた
それにふさわしい呼び名は
……仕掛け武器
最もふさわしい名は『獣肉断ち』
「行くぞ、狩りの始まりだ」
>突然のブラボ<
だが私は謝らない!
byチョチョー
600話記念番外編は
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……