戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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ぞくぞくっ!将棋の国

駒の価値ってなに?とか

王と玉ってどう違うの?

とかのレベルだった俺はもういない

 

ハイパー提督として生まれ変わったからだ!

(北上感)

おっと違った、スーパー提督だった

 

将棋では勝てないが、そもそも漢字を苦手としていた俺は棋譜(で良かったか?)を書くのさえ苦労したが見兼ねたらしい霞が『上手な書き方』を教えてくれた為

効率は少し上がった

 

少し

ここがミソである、問題は何パーか明記されないところにある、10だろうが0.0001だろうが少しという表現は当てはまるのだから

 

まぁ10の方なんだけどね

それでもさして変わらない

将棋の出来ない俺にはこの鎮守府での仕事も存在意義も居場所もないのだから

 

そもそも話しかけても反応されないというのが笑うね

大淀に話しかけてみたんだが

完全に無視された

しかも横からとかじゃない、正面から話しかけて名前を呼んでまで無視された

完璧すぎて泣きそうになる

 

後から艦娘の間から聞こえる僅かな声を聴き取った結果、鎮守府最上位に近い存在だったらしい

 

まぁどうでもいいけど

(ていとくさんはいつもいつも、、)

(これだからしんじんは)

(じょれつってヤツをしるのです)

 

「うるせーぞてめーら」

 

深海棲艦載機飛ばすぞオラと脅しながら今日のメンテを終わらせて、ため息をつく

隼鷹は早くもこの鎮守府の価値観に馴染んだらしく、日夜将棋に勤しんでいるが、俺はそうもいかない

そもそもマス目を弄るより数字をいじるほうが得意だ

 

どんな能力が良いかと聞かれたら覇軍の方程式を一番使いたい今日この頃である

砲の管制を乗っ取って味方同士に撃ち合わせるもの

敢えて砲撃を止めて格闘戦しながら誤射させるとかもアリだ、、まぁ艦娘にはそんなの効かないけどな

実際に存在しないものを弄るより、物理的に存在しているものを確保した方がよっぽど効率がいい

 

(ていとくさん、ていとくさん)

「なんだ?」

(ていとくさんは将棋弱いです?)

「あぁ、それが?」

(なら強くなればいいです!)

「それが出来たら苦労はしないよ、もっとも俺は面倒臭がりでね、しなくていい苦労はしない、そのために立ち場が悪くなっても、どうせ一時的にいる程度の場所だからね」

 

笑いながら立ち上がる

今日の分のメンテは終わり、あとは自由だ

もっともここの住民にとって

自由とは将棋のことである

それじゃあ何も変わらないんだがな

 

(ていとくさんはバカなのです)

(バカは死ななきゃ治らないのです)

 

コイツら、、好き勝手言いやがって

大本営に居た、たまたまあげた酢昆布がヒットした妖精以外はみんなこんな奴らか、まぁ昔もこんな奴らだったが

 

あの黒ツナギはどこに行ったのか

 

まぁいいやメンテ終わったし寝よう

ささっと割り当てられた私室に向かい、布団を用意する

部屋は汚いのは気にしない

だって技師だからね、忙しくて気にしちゃいらないのよw

 

つい昨日まで無線の感調整してたし

 

 

あぁ、八時になったらまた夜勤コースで提督補佐か

でもあの人やる事が将棋以外だいたい雑なんだよなぁ

何かしらの粗が残ってるし、それを指摘したら適当に誤魔化しといてーとか言われるし

 

はぁ、一ノ瀬中佐は面倒だ

 

そして、この鎮守府、

なんと価値観最上位に将棋があるのだ

 

全くわからないって?

つまりはこういう事だ

 

将棋が強い→人生の勝者

弱い→永遠の敗者

 

こういう事、ok?社会的な勝敗はともかく

この鎮守府ではそれがルール

 

つまり俺は最低位の敗者

もはや逆転してやる希望さえ見えませんな

 

「クズ提督!入るわよ?」

 

バン!とドアを蹴り上げるように入ってくる霞

「うわ、、」

 

その反応は酷くありませんかな霞さん

「起きなさい!こら!寝たフリしない!起きなさいよ!」

( ˘ω˘ ) スヤァ…

 

グゥグゥ

俺を起こそうと躍起になって揺する霞さん、ある部分が一切揺れないのは見なかった事にした

 

「何?」

殺気を感じた

 

「優しく言ってるうちが華よ?起きなさい」

「はーい」

 

流石にこれ以上は面倒になると判断して起き上がる

「あのね、、部屋の片付けも出来ないの!?このクズ!」

「いいよ年末だしぼのたんに頼むよ」

 

「曙を頼るより自分でやることを考えなさい!」

「自分でやることと言ったら修理と調整かな、、?」

 

悪く笑いながら吐き捨てる

現在時刻六時半、あと一時間しか眠れないのにこんな事に時間を取られている余裕はない

さっさと帰ってほしい(実情)

 

とはいえ口答えも抵抗もできない

口が帰って来れば間違いなく砲を向ける艦だし、それで死んだとかワラエナイ

 

「そう言うのじゃなくて!もっと日常的なことよ!掃除とか」

「うー、、ん、、スヤァ」

「コラッ!」

こっそり寝ようとしても無理か

本当にもう、、

 

○ねば良いのに

 

違った、うん、相手の語彙で返すのはやめよう

普通に暴言だこれ

 

「さっさとしなさい!部屋片付けるまでここにいるから!」

「おやすみ」

 

「起きろって言ってるでしょ!」

 

あぁ、枕奪われてしまった

あれ持ち込み品なのに

あとなんで抱え込むのだ霞、、たしかに奪い取りにくいがそのポーズは(ry

表情さえしおらしくすれば夜に兄の部屋に来る妹なんだがなぁ

まぁこの子にはそんなの似合わないけど

 

「ぁぁ、、俺の時間なのに、、一時間しかない、、こちとら三徹過ぎて体が壊れてんだよオラ!」

 

普段なら紳士的に行動できるかもしれないがコイツはダメだ、ツンデレは俺に効かないどころか嫌いですらある

 

ツンツンしてる期間の長い霞は特に

さっさと黙らせたくて絶対に旗艦にしない決意をしていたくらいだ

「三徹ごときで体壊すとか軟弱な!」

「人間は五徹したら死ぬんだよオラ!三徹で十分倒れるぞワレ!」

 

ちなみに、ここの生活はおかしい

将棋が強ければ実力も高いのだ

 

実力が将棋に影響するか分からないが

将棋は実力に影響する事は確かだ

 

「枕返せぇ!」

「掃除が終わるまで返さないわ!」

 

引っ張り合いにすらならない

そもそも将棋の序列で差がある以上は実力にも隔絶した差があるのだ

一方的にあしらわれる

自分で客観的に見て軍人と子供レベルかな?みたいな争いだが、実態はハイレベルな競争である

 

霞が強過ぎるだけで、俺も十分に強いのだが、将棋では勝てないため、勝てない

この理不尽なルールよ、、

 

結果、休めたはずの一時間は

本当に掃除で費やされてしまうのだった

 

俺の時間(ボタン)!俺の時間(ボタン)




部屋が汚いのが悪い?
実は汚くなんてないんですよ
そもそも必要なものが必要な場所に置いてあるだけで

まぁ、レンチだのバイスだのが転がってるから
人によっては片付けられてない様
に見えるかもしれませんがね

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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