戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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カットイン・クインテット

「木曾おぉぉっ!」

「うわっ!?」

 

びっくりとでもいうつもりなのか、大仰にビクつく木曾の方に大声を叩きつけながら

俺は跳躍し

 

突如として足元に起きた爆発を回避する

 

「こいつ、爆撃もできるのか!」

「提督、大丈夫かしら〜?」

 

「随分器用なやつだな……」

「砲と魚雷発射管だけでなく、水母及び空母のものと思しき特徴もありました、おそらくレ級のように『なんでもできる』ものと思われます」

 

赤城さんの冷静なレポートを聞き流して

 

追撃と言わんばかりの一撃を瞬間移動で回避、出現直後に機銃弾が撃ち込まれ

それを金剛が装甲で防ぐ

 

「イージス艦は伊達じゃないネー!」

 

それはお前じゃないだろ

とは決して言わない

 

「あなた!来るわ!」

「了解っ!中枢棲姫!」

 

中枢棲姫の警告に従って

51センチ連装砲をぶっ放し、その反動を利用して吹き飛びながら

大和の艤装に飛び乗る

艤装に置きっぱなしにした大和撫子を取り、その霊力を流用して銃の弾丸に込める

 

「たびたびすまん!」

「いいえ、構いません……!提督っ!」

 

艤装から振り落とされ

その直後に大和の艤装の甲板が吹き飛ぶ

 

「提督、ご無事ですか?」

 

大和は艤装を小破させながらも

自分より先に俺の心配を告げる

 

「大丈夫だ、問題ない……いや、これは問題ある時のセリフか?」

「そうですね、二度と聞きたくありません

……来ます!」

 

大和の声に反射的に飛び退き、今度は海面に飛び込んで、海面に着地すると同時に反射、跳躍して

 

「姉さんっ!」「分かっているわ」

 

加賀が伸ばした左腕の甲板に着地、その直後に甲板を振り上げる様な動きで射出されて金剛の艤装に着地する

「金剛、そのまま投げろ!」

「りょーっ!かいっ!」

 

返答と同時にフレーム部分を振り回した金剛によって、やや上の方向に射出され

空中で反転し、そのまま深海怨業鬼の艤装の口の中に銃弾を叩き込む

 

「徹甲榴弾だ、旨いか?」

 

爆発はものの見事に深海怨業鬼の口の中を荒らし周り、突如として火を吹いた様にも見える

 

「提督、あの弾は何発ありますか?」

「もうない、さっき作った一品ものだからな」

 

吹き飛びながら着水する寸前で、俺を受け止めてくれた不知火に尋ねられて

その実情を答える

 

俺の一撃は正直に言って強力だが、なにぶん正式な艤装の装備と違って数に限りがある上に、榴弾は暴発のリスクも存在する危険なもの

そうそう何発も撃てるようなものではない

 

「……ダメか」

 

爆発のダメージは残っていても

深海怨業鬼(艤装の塊)は動き続ける

 

肉質と鉄鋼の融合したが如きその姿は並の鬼とは一線を画す、鬼姫とも名乗って良いレベルの怪物だ

 

「キリがないな、総員一度撤退するぞ、仕切り直しだ!

中枢棲姫!空母棲鬼!レ級!神通!」

 

深海組の名前を呼び、その四人を引き寄せる

 

「姉さんは空母棲鬼の補助を!俺がレ級の補助を担当する!

結界を張るぞ!

長門、高雄、最上、霧島!時間稼ぎ頼んだ!」

 

「「「「了解」」」」

 

時間稼ぎを頼んだのは、中・小破状態の大型艦

やはり俺が前線に出ていて直ぐに艤装を修復できない関係上、重症の艦は戦力外・無傷の艦は決戦戦力として残した上で選ぶことになるため、大型かつ程々にダメージを受けている艦を選んだ

 

「行けるな?」

「誰にものを言っているんだ?」

 

「長門に、だ」

「……フッ」

 

格好つけてから笑っているのは良いが

忘れていないか?

俺は艤装技師で、提督で、戦友なんだよ

 

お前の艤装の損傷くらい一目で分かる

そう言いたかったのだが、どうやら伝わってはくれなかったようだな

 

「よし、行くぞ皆、時間稼ぎ

前座の仕事だがバカにならんぞ!」

 

長門が気炎を上げると同時に、長門に向けた砲撃が飛んできて、それを回避する

 

俺とレ級が東、姉さんと空母棲鬼が西

軽巡棲姫に戻った神通が南、中枢棲姫が北を担当し、それぞれが戦場を区切り

 

俺は大きく足を踏み鳴らし

レ級は声を上げて嗤う

 

姉さんが憑依した空母棲姫は手を打ち叩き

 

神通棲姫は空砲を撃ち

 

中枢棲姫は口笛を吹き鳴らす

 

皆がそれぞれに音を鳴らして

それが戦場に響き合う

そして

 

俺たちの足元が赤く染まっていく

 

深海領域:変色海

血錆色に染まった赤い海へ

 

深海棲艦のテリトリーへと変わっていく

 

深く・暗く(恐ろしく)

()()()赤く染まっていく

沈没した艦達の無念、傷ついた者たちの痛み、死者の叫びが集い、唄う

 

俺達が描いた五線譜へと想いの音色が集い、そして呪詛の楽譜を作り上げていく

 

一度演奏が始まればもう、旗艦が沈むまでは止まらない

 

「この無念は、あいつに全部背負ってもらおう」

 

そう、この艦隊の構成は

旗艦:深海怨業鬼以下、中枢棲姫・深海提督・レ級・空母棲鬼・軽巡棲姫の六隻構成

 

旗艦を沈めれば終わるのならば都合がいい

ちょうど良い生贄(スケープゴート)があるじゃないか、アイツに全部押し付けよう

 

そうすればアレを沈めて綺麗に終わるのだから

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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