戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

561 / 649
プラフスキー

「お夕飯は悩みましたがカツレツにしました、私、こう言うのが得意なので」

「なるほど……」

 

なぜか味噌汁が付いて

刻みキャベツ・プチトマトを付け合わせに配した豚カツ……ほう?

少し前に足柄さんが見ていた料理番組のメニューに似ているな?

 

たしか番組のテロップでは

『家庭料理の定番』だとか

『女子力を見せつけろ』だとかあったが

 

そうか、大淀は女子力に自信ネキだったのか

 

「さぁ、どうぞ召し上がってください」

「……おう、頂きます」

 

さて、箸を取った俺は

ひとまず安定の刻みキャベツを一口

これが全てのベースとなる

細かく刻まれたキャベツは仄かな甘味を持つのだが……不明

 

味覚のアレな状態では食レポが絶望的になるな

 

続いては味噌汁だ、具材は

笹掻きのゴボウと短冊の人参

よく豚汁で見る構造だ、あくまで豚肉がメイン、と言うことか

 

白米を少し口に入れて一息つく

忘れずに置いてあった茶を飲んで

 

さて、いよいよメインディッシュに行こう

 

食べやすくカットされたカツを一切れ取って、まずはそのまま

単独でも行けるし、これを

白米とセットにしても良いだろう

 

ソース・醤油・胡椒といった調味料とともに食っても良いかもしれない

『お好みの味で』が可能な状態にしておき、味付けが合わないという事態を回避する策か

 

「……なるほど、出来るな」

「お口にあったようで何よりです」

 

ニコニコしている大淀

眼鏡が輝いている

 

衣もベタつかないが十分に揚げられているし、サクサクとした食感は非常に心地よい

そのすぐ下に現れる肉の重厚な歯応えと溢れる肉汁の香り、どれもが素晴らしい出来だ

 

惜しむらくは味がわからないと言う一点のみだ

 

「……ごちそうさまでした」

「うふふっ、お粗末様でした」

 

そのまま一気に食べきり

お茶を飲み干して一息

 

なるほど女子力に自信ネキだけあって結構な練度だった、これなら確かにそこらの良い男だって『仕事ができて家事もできて料理のうまく頭の良く気の利く女性』だと思うだろう

 

なんてこった完璧だ

 

「美味しかったよ、ありがとう」

 

次は味覚復活した後でしっかりと味わいたい

 

「それでは、お皿は片付けてしまいますね……おやすみなさい」

「おう、おやすみ」

 

大淀は膳を下げて

俺は歯磨きのために洗面所に向かった

 

「……ふはぁ……」

 

大きくあくびを欠いて

そのまま背筋をぐぅーっと伸ばす

 

「……どったの?提督がこんなところにいるなんて珍しいじゃん」

「!北上か、久しぶり

いやさ、ちょっと今、2週間引きこもり生活体験をやってるんだよね

だからしばらくは暇なんだ」

 

「暇……暇ならウチの部屋来てよ

アイスティーくらい出すよ?」

「汚いなぁ……」

 

「淫夢厨乙……ってかそう言うのじゃ無く、本当にお茶くらい出すよ

ほらいらっしゃーい」

 

それだけ言い捨ててサラッと歩き出してしまう北上にそのまま牽引されて

俺は軽巡寮の球磨型(第二)の部屋に来ていた

 

球磨型第二とは

主に北上・大井の二人のための部屋である

軽巡の中では多い五人姉妹である球磨型のために前後半で分けられるようにしたのだ

阿賀野型は現在阿賀野・矢矧の二人しかいないため、一室にまとめられており

長良型も同様になっている

アトランタやアブルッツイは居ないので放置

ちなみに木曾はどっちにも私物を置いており、どちらにも出入りする

 

「……はい、どーぞ」

「ありがとう」

 

「サーッ!」「迫真」

 

「「…………」」

 

「「プフッ!」」

 

突然の北上の寸劇に合わせてやると、唐突に沈黙されて……その直後、二人して笑い出す

 

「提督、自分で『迫真』って言っちゃ意味ないじゃんね」「割と言うと思うんだが……まぁいい」

 

話を戻して

 

「んで、なぜ俺はここに呼ばれたんだ?」

「それはね〜……はい、これ」

 

「……ガンプラ?」

「そそ、それはハイザック(緑)

ティターンズ仕様のハイザックだよ、ティターンズ仕様とかエウーゴ仕様とかあるけど

だいたいカラバリだから気にしなくていいよ」

 

「……で、こいつは」

「まだ組み立て中なんだよねぇ

改造もしたいから素組の試作手伝ってくれない?」

 

「……わかった」

 

「あとハイザック(青)と百式とズゴックとザクⅡ改とゲルググ(マリーネ)とケンプファー」

「……滅茶苦茶多いな

あともしかしてポケ戦好き?」

 

「ポケ戦も08もメモリーズもみんな含めて好き、一年戦争期の機体は渋くてレトロな感じが効いてると思う」

「ゲルググとズゴックの生物的な印象は確かに目立ってたな」

 

宙間機動であるにも関わらず

立体的かつ流麗な曲線の動きで攻撃を躱したと思ったら死角となる下から迫り

人型機械故に可能となる足の攻撃で主人公機に一撃を加えたザク

 

静音性に優れ、当時試験中段階のビームを搭載した上で、水から現れる不気味さを持ち

いかにも機械的なデザインで硬そうな構造を持っていたジムを一撃で腹貫し

その血(オイル)を振り払うズゴック

 

ついに実装されたビームライフルとビームナギナタを存分に揮い、ビームライフルの光条を弾き、相手の銃口を読んだビーム回避で半身を反らすなど、明らかに腹部のコックピットを鑑みない異常な可動域を見せたゲルググ

 

どれも挙げたのはシャア専用機だが

素晴らしい動きだったと思う

 

「ククルス・ドアン仕様ザクとかイケメンだと思うよー」

「ドアンさんか……アレは作画崩壊だけど、中の人含めてイケメンだな、石投げるし」「投石はロマン」

 

「「…………」」

 

沈黙ののち、掌を打ち合わせる明るい音が響いた

 

「よし、俺はケンプファーから組む、改造は任せた」

「ケンプファーとならドラッツェとズゴックのパーツが使えそうかなぁ」

 

「ジャンクとかビルダーズパーツは?

いやむしろ彫刻刀とかタガネで削り出しか?」

「流石にそこまでは……いや、提督がいるし、やるか!」

 

やる気を出した北上様はすごい

部屋に大井が帰ってくる前に組み終えてパーツの検討を終えたケンプファーは

すでに大量のメモ用紙とプラ板削り出しのオリパーツに埋もれていた

 

「チェーンマインは無改造でいいの?」

「流石にそこまでは手が回らないからな、スミ入れてちょっと面を削っておくだけにしよう粗めの紙やすりで少し表面を擦ってやれば『障害物のある中を引きずってきた』とか『適当に古い地雷を使ってでっち上げた』みたいに設定付けられそうだし」

 

「それ良いね、もらい」

 

「そもそもケンプファーに爪を生やした時点でチェーンマイン握れなくね……?」

「それは……言っちゃ行けないよ」

 

MGケンプファーの片腕のパーツをHGズゴックに差し替えて改造して、本当に多重関節構造にして

片腕だけラピュタのロボみたいにグニャグニャと曲がる動きを再現、その腕で遠心力を生かしてチェーンマインを振り回す……設定らしい

 

ちなみにもう片方の腕にはキュベレイが如く内蔵型ビームライフル/サーベルを搭載して装備する実体銃を破棄した際の最後の砦とするようだ

盾を装備しないあたり、火力・機動偏重のケンプファー味をよくわかっている

 

「これならアレックスにも勝てるかな?いやでもチョバムアーマーがあるからなぁ……」

「チョバムアーマーへの謎の信頼感」

 

北上様が楽しそうで何よりだが、

一つ作り上げるだけでかなり時間がかかってしまったな

 

「ただいま戻りましたよ北上さ……なんで提督がいるんですか?」

「え?」

「え?」

 

「……えっ?」

 

二人して間抜けな返事をすると

大井はまるで自分が間違っていたのか?と言わんばかりの反応をする

 

「あ、ちょーどいいからさ、大井っち

お茶淹れてくれない?喉渇いちゃってさ」

「はい、すぐに」

 

ちなみに、ちゃんと3杯分淹れてくれた

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。