「で、だが……
夜戦と言っても、どこで?
それに今は昼だぞ?」
「どこでも出来るよ!ほらこっち!」
川内に強引に手を引かれて
彼女自身の意思によってか、黒く染まった空を見上げる
「ほら夜になった!」
「えぇ……?お前いくら魂の原風景だからって映像差し替えて夜にするなよ……」
神通棲姫の時は夜だったけど一応アレは夜戦のイメージとかじゃなく
神通の闇堕ちと深海の呪詛が原因だからな
「世界の主である私が夜を望めば『斯く在る』それを教えてくれたのは提督でしょ?
ほら行っくよぉーっ!」
川内は叫ぶと同時に
「うぉぉわ!」
俺は慌てながらも『透明な壁』を生成して機銃に対抗する
そのまま『慣性の反転』を発動して川内に弾丸を跳ね返すが、川内は機銃を止めて跳躍、空中に逃れる事で攻撃を回避した
「ライダァァッ!キイィック!」
「馬鹿お前それは受け止められないだろぉが!」
そのまま跳躍→落下を活かして加速し、全体重を乗せた飛び蹴りを撃ってくる
一方俺は防壁で防いだら川内自身が吹き飛ばされてしまうだろう攻撃に恐怖を覚えながら防壁を解除、『慣性の消去』を自身の掌に展開して川内を受け止める
「馬鹿野郎お前このっ!」
「きゃぁぁっ?!ナンテネ」
急に『慣性の消去』によって消滅したベクトルは、今まで抗っていた重力に上書きされ
そのまま落下する、しかし
川内はそのまま落ちることをよしとせず、俺の手を足場代わりに蹴飛ばしながら
そのまま再度空中に上がって見せた
「「残像だよ」」
突然再跳躍した川内に目を向けたその瞬間、背後から聞こえる声
「せいっ!」
同時に鳴る、風切り音
まっとうに対処してはまず間に合わない
だが、俺は再誕者として新たに得た力を使った
それは実体と虚構を差し替えて自分の傷をなかったことにする力
現実改変能力の一端だ
「残像だわ馬鹿」
流石に俺の魂内ほど万能を振るえる状況ではないが、川内の魂は俺の魂の影響が大きい
全く違うエリアというわけでもない
例えるのならそうだな……
『カレー』と『シチュー』の差だろうか
一般的なイメージに限れば、完成品の見た目や味食べ方、食後の感想などは違えど、材料まで遡ってみれば使う具材も調理過程もほぼ同じだ
俺の魂が混ざっていた時期もあって、要は俺が力を使いやすい空間なのだ
「馬鹿、戦う相手が違うしまず自分の身を鑑みろ、危ないことはやめなさい」
「最近はもう深海棲艦相手だとスリルが足りないんだよねぇ……だから」
瞬間移動した川内は滑るように走りながら魚雷を投げ、その魚雷は俺の大和撫子に切断される
「全く……!」
「あははははっ!」
小跳躍や疾走の緩急を活かし、
俺の反撃を回避していく川内
彼女の投擲する魚雷化クナイはどれもしっかりと刃を持っていて、大和撫子の柄を擦るようなコースで突き進んでくるものもある
俺は飛んできたクナイを掴み取り、あるいは弾き飛ばしていく
ここにいる限りは彼女の体内も同然、不利なフィールドではあるが
「……フッ!」
それが、負ける理由にはならない
瞬間移動の転移先を読んで、大和撫子を投擲し、それを直撃させる
しかし、刀身が直撃したはずの川内はそれを手甲で逸らし、弾き飛ばして見せる
受け流した、というわけか?ならば
柄を切られた際に抜いた柄糸を伸ばし
それを振り回して、刀本体を即席ブラックジャックとして振る
刃筋もなにもあったものではないため、真っ当な切れ味など期待できないが、一息には接近できないほどの間合いから刀を振り回して攻撃してくるとは思わなかったのか、川内は咄嗟に跳び退がり
「甘い!」
着地点を狙って、掴み取ったクナイを飛ばす
「くっ!」
「くっじゃねぇこの野郎っ!」
体勢を崩しながらも回避して見せた川内に掴み掛かり、そのまま床の甲板に押し倒す
「お前は一体なにをやってるんだ!いきなり機銃を向けてくるなんて!」
「えぇ〜?だって提督、暇そうにしてたし……」「今にも死んじゃいそうな顔してたじゃん」
俺が捕まえていた『川内』が抜け殻の如く崩れると同時に、俺の背後から声がする
「空蝉の術〜なんてね?
あ、振り向かないでね、いま服脱いじゃったから」
「アバーッ!?
……作り直せばいいだろうが……」
反射的に振り向いて視界に収めた下着姿の川内からの目潰しをありがたく頂戴した俺は
反射的にボヤきながら戦闘体勢を解除する
「んで、提督……迷いは晴れた?」
「何のとは言わないがピンク色のお陰で」
「このっ!忘れろぉっ!」
「イテテテッ」
グリグリと頭を擦り潰されながら笑う
「んでも、戦闘に集中してたからか、余計な考えは消えたと思うよ?
楽になったんじゃない?」
「それだと死んでるよ俺」
「あ、違う違う、そうじゃない精神的に」
「そっちの意味でならそれはもう
無意味なこと考えるよりはよっぽどマシな方向の事を考えられたからな
ありがとう」
「暇潰しに夜戦できたから良いよ
そもそも私たち、いちいちお礼とか言い合うような浅い関係じゃないでしょ
『それは言わない約束』ってやつよ」
「……そんな爺様婆様みたいな『約束』してないんだが……?」
「そういう気分って事!あんま解説とかさせないでよね!」
ちなみに、このあと現実では1秒も経っていないからと川内(艦娘)がリアル突入してきたのだが、さすがに夜戦を二回はやりすぎだと思う
600話記念番外編は
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