戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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お出迎えと可愛さと

「和食については鳳翔さんが、和食については間宮さんや大和が詳しいはずだ

……さて」

 

レ級に身につけさせる教養についてを考えていたら、いつのまにか手元の仕事は終わっていた

 

「……あ、終わってるわ」

 

いつのまにか終わっていたので、ミスをしていたりする可能性も考えて

手元の書類や資料を見直してみるがミスは見当たらない、頭の中を別の事項に占領されたままでよくもまぁ大したミスなしに終わらせられるものだ

 

「よし、一旦切り上げよう」

 

今日は書類も少ないし、手早く終わらせられた

この分なら遠征艦隊が帰ってくるのに間に合うだろう、久しぶりだがお出迎えといこうじゃないか

 

「……あ!……おーいっ!」

 

遠征艦隊の先頭に立っていた天龍が手を振ってくる

 

「あいつ……旗艦としてそれで良いのかよ」

 

軽く呟きながら、それでも笑って出迎える

艦隊全員の恙無き帰還はなににしたって喜ばしいものだ、なんといっても実艦時代は出撃すれば何人かは欠けるという方が多かったのだから

 

「……っても、艦娘になってからはそんなことはあまりないんだがな」

 

天龍は幸にして姉妹艦を失ったりすることはなかったのだが、その憂き目に遭った者も多いし……現在の鎮守府では取り戻されたサルベージ艦や再建造された別人の同名艦がいるので、大した不和や問題は起こっていないが……

 

いやまぁそれは置いておこう

 

「俺が考えても仕方のない事だしな」

 

一頻り鎮守府の中に蔓延る歪な人間関係について考えてからため息をついて、頭の中を切り替える

 

なにせ今日の仕事は終わっている

帰ってきた艦隊みんなの艤装のメンテナンスができる、一度は翔鶴に任せた仕事でもあるが、やはり俺に取ってはいわば本分であり、本道

翔鶴が手をかけていないのなら俺がやっても良いよね!と言わんばかりに待ち伏せで手をつけようというわけだ

 

「……お帰り、天龍!」

「おうっ!天龍様のお帰りだ!」

 

随分と元気のいい天龍はご機嫌な様子でドックに戻り、ややもせずに艤装を解除する

外部からの強制解除と違って装備ブロックごとに外すので、多少時間がかかるのだが、天龍型は背中のメインブロック以外ほぼ存在しないので非常に装備の取り外しが早いのだが、それにしたって早い

 

「今日は遠征大成功だからな、報告書、待ってろよ?」

「わかった、楽しみにしているよ」

 

上機嫌な天龍が去っていくと同時に、随伴していた龍田が寄ってくる

 

「実はね、別にそんな大仰に喜ぶほど獲得資材が多いってわけじゃないのよ〜?」

「え?」

 

「多分天龍ちゃんは〜……

提督がお迎えに来てくれたのが嬉しくてあんな事言ったんじゃないかしら〜?」

「……ほう?」

 

「おいコラ龍田ァッ!」

俺が頭を巡らせるよりも早く

それが聞こえていたらしい天龍が向こうから凄まじい形相で怒鳴りつけてくる

が、龍田は飄々とした笑顔を崩さずに返す

 

「事実を言ったまでだもの〜

でも、私も嬉しいのよ?」

 

そして

「提督が良い主砲を用意してくれたおかげよ〜?あ・り・が・と♡」

 

ハートマークが付きそうなくらいに甘い声で礼を言って、最後に素早く俺の頬に、唇をつける

 

「うふふ〜それじゃあ、私はもう戻るわね〜?」「テメェ待て龍田ァッ!」

 

「天龍ちゃ〜ん?捕まえてごらんなさ〜い?」

「うぉぉっ!唸れオレの脚ィィッ!」

 

もうすでに美脚が輝いてるからそれ以上唸らさないでくれ、天龍……

 

「よっ!」

「うぉわっ!?」

 

二人の様子を眺めていると

後ろから突然肩を叩かれる

 

咄嗟に左腰に手を伸ばしかけて、止める

後ろに来たのは見覚えのある露出度の高い制服、飾り帽子にミニスカート

青白の組み合わせに赤をアクセントとして仕込んだそのある意味リアルである意味非現実的な制服は間違いなく

 

「摩耶、か」

「おう、どした?こんなところで」

 

「出迎えだよ、遠征艦隊の」

 

振り向いて、目を合わせて答える

「……ん?」

「そ、そっか」

 

しかし、摩耶の方から目を逸らされる

 

「おい、何故目を逸らす」

「逸らしてなんか……」

 

いつもとは違って妙に歯切れの悪い摩耶の様子に違和感を覚えた俺は

さらに下りを入れるべく、頭を巡らせる

 

もしかしたら深海棲艦や881研に仕込まれた謎のプログラムの影響で人格に異常が出ているのかもしれない

 

「摩耶、目を合わせろ

それと嘘をつくな」

「無理無理無理っ!今目ぇ見られたら!」

「不都合でもあるのかオイ」

 

やはり何某かの異常が起きている、と確信しつつ、俺は摩耶の頬に右手を添えて

左手を首に回し、肩から身を寄せて

強引に摩耶の体をロックし、首から上を無理やり動かして正面を向かせる

 

「俺の目を見ろ」

「ひぁぁ〜……」

 

目を閉じて、顔を真っ赤にして逃げようとする摩耶だが、さすがに艤装抜きでの摩耶vs一般成人男性(強弁)ではパワーで大きく上回ることはできず、俺の腕を振り解くことはできない

 

「うぅ……」

「摩耶」

 

「あぁもう!分かったよ!見りゃいいんだろ見りゃ!」

「あぁ」

 

覚悟を決めたらしく

固く閉じられていた目を開く摩耶

 

その目はやけに熱っぽいということもなく、SEEDが発現していわけでも催眠術的な表現が発生しているわけでもなく……特に異常を感じられない

 

「よし、ありがとう

でも……」

 

パッと手を離すと、摩耶はなにか急に安心したような様子で大きく息をつく

そこに

「熱があるようだな」

「ぴゃぁぁっ!」

 

そっと額に手を当てると

ばね仕掛けでも付いているかのように飛び上がって駆け去っていった

 

「わざとらしすぎたか」

 

仮に何者かに操られている状態だったら

あそこまで密着している状態で俺を逃しはしないだろう、組付か武装か、少なくともなんらかの攻撃的なアクションを行わせるはずだ

 

「……あとで謝ろう」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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