「ぐるるるっ!」
「夕立、威嚇するのはやめなさい」
「あの……青葉、何かしてしまったのでしょうか?」
大本営から任務『鎮守府の一般公開』を受注したことで、その前報酬として送られてきた、なぜか練度の少々高い重巡洋艦『青葉』
さまざまなゴタゴタや建造自体の滞りでその着任が少し遅くなったということで、辺中佐が送って来てくれたのだが、
それが丁度昼飯時で、たまたま来ていた夕立が居て、青葉はこの鎮守府に身着任だった
そのような不幸が重なって、夕立は青葉を敵と認識してしまったのか、凄い勢いで威嚇を始めたのだった
「青葉、この子は夕立
少し気が立っているようだが、いつもは優しい子なんだが……まぁ、気にしないでくれ」
「わかりました!……いえ、その、夕立ちゃんの紹介ではなくて、提督からの着任許可を頂ききたいのですけれど、よろしいでしょうか」
「あぁ、配慮が足りなかったな
神巫蒼羅大佐だ、創海鎮守府提督として重巡洋艦:青葉の着任を許可する、歓迎しよう」
すっと手を差し出すと、おずおずと触れる青葉
「よろしく」
「よろしくお願いします」
さまざまな噂や憶測の乱れ飛ぶような疑いのある艦娘の『青葉』だが、
わざわざ大本営から送られて来た着任希望の艦娘をそのまま解体して突き返すような真似はできない
ここは一旦何某かの対策を行なってから、それを踏まえた対策ないし直接的な排除に出た場合にこれを拘束・排除する、という消極的な対応に出ることになった
「とりあえず、重巡洋艦の中でも練度の高い一般の艦娘っていうような条件に当てはまるのが最上型の四人くらいだから、最初は息苦しいかもしれないが、慣れれば大丈夫だと思うよ
あの子たちも別に圧力を掛けようというわけじゃなく、取って食うというわけでもない
普通にコミュニケーションができれば問題ないだろう」
「はい、青葉はちょっと自信がありませんが、それが御命令とあらば、達成してみせます!」
気合の入った声を張り上げて返事をして来た青葉、この子ちょっと比叡とか朝潮とか入ってない?
「うん、元気が良くて何よりだ
差しあたっては最上型の部屋の隣に青葉の部屋を用意する、同型艦・類型艦(衣笠・古鷹・加古)を迎えた時は基本的にそのまま同室に追加、という形になるからスペースは一定区画分開けておいてくれ」
「はい!」
俺の言葉にタイムラグなく頷く青葉
ちょっと素直すぎる気もするが、まぁそういうこともあるだろう
艦娘たちの性格は必ずこう、絶対にこうというものではなく、『陸奥』ならば大人びて色気があり、人を揶揄うクセがあり
『天龍』なら自分が強いと思い込んでいる(実際に強いこともあるのだが)
というような、『
それに環境や本人の目的によってはさらに意図を考えるべき仕草などさまざまなものが追加されていく以上、テンプレと違うからといちいち考え込んでいてはキリがない
「はい夕立、ちょっと一緒に間宮に行こう?だから落ち着いてくれ、あまり青葉を威嚇しないでやってくれ」
「むぅ……ぽい……」
「間宮券」
「ぽいっ!」
両者の合意はなされた、
「さぁ、君の教官・教導艦となる最上を呼ぼう、そこの椅子にでも座って待っていてくれ
5分もすれば来てくれるさ」
「はい、失礼します」
部屋の隅の方に置いてあった椅子を指差すと、こちらに一礼してから腰を下ろす青葉
礼儀はきっちりしている、指示には従う
『青葉』の一般特性といわれてもそう疑わしくは見えないが
……なにかあるな、軍事教育は普通に受けているはずだが、それは置いてでも明らかに建造後に仕込みが施されている
「……コーヒーでも飲むか?」
「い、いえ、青葉にはお構いなく」
「そう言われても、年若い女の子を座らせたままで自分だけ茶葉をシバけるほど図太くないのだ、俺の気分のためにも君に一緒に飲んでほしい」
「そこまで仰るなら、頂きます」
こくり、とうなずいた青葉にはコーヒーカップを渡して
「……」
じっとこちらを見つめてくる青葉に一瞥を返して、コーヒーを飲む
別に一気飲みというわけでもなく、ごく普通にゆっくりだ
「……」
明らかに毒物を疑っている視線だが、あえて気づいていない風を装って自分から先にコーヒーを飲むことで無害をアピールしてあげると、青葉もややビクつきをみせながらもコーヒーに口をつける
ここまでの青葉の行動と態度、そして俺の主観的な判断から立てた推測は
推測①
大本営からの憲兵以外の手段での監視員
推測②
どこぞの敵対派閥から送られて来た暗殺者
推測③
大本営からではなく、別のブラック鎮守府から送られて来た転属艦娘
こうだ、
初めから(精神的にではなく肉体的に)高練度となれば、以前になにかしらの機関にいたことは明らかだ
そしてこのタイミングで送ってくると言うことは、狙っているのは獅子身中の虫、というだけではないのだろう
鎮守府の一般公開に合わせてなにか動きを起こして俺を失脚させるつもりか?
「……味はどうかな?」
「あ、はい、美味しいと思います」
「そうか、それはよかった
女の子には少し苦いかもしれないと心配したよ」
「ご相伴なので、お気遣いなく」
目を伏せた青葉は、一つ息をついてから視線を戻した
関係ないけどまつげ長いなこの子
「提督、最上です」
あ、ちょうど来てくれたか
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