戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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互い

「一旦これについてはここでおしまいだ、次に行くぞ」

「あぁ」

 

「鎮守府の一般開放について、だね」

「その通りだ川内!」

 

「……なんか勢い強い人なんだね」

「そう言ってやるな、元から圧のあるタイプなんだよ、人を引っ張る才能があると言ってやれ」

 

日高にビシィ!とばかりに指を差されて、こちらに困惑の表情を向ける川内

 

「その鎮守府一般開放なんだが、俺も受けた!」

 

「お前もかよ……」

「そうだ、だが前報酬は資材だったな」

 

「青葉が報酬になっていたウチは異質って事か」

 

「そうだ!念のために何人かの受けた提督に聞き回ってみたが、艦娘が前報酬になっていたのは青葉の蒼海と弥生の博山だけだった」

「……その弥生も?」

「青葉と同じ鎮守府の生き残りだ」

 

「やっぱりか、大本営は徹底的に隠滅を図るつもりか」

 

記憶の消えた艦娘であれば問題はない

通常通りの手順を用いて、なにかの報酬や解体という形で処分する事もできるし、最悪の場合は高練度な手駒の艦娘を使って沈めてしまうという手もある

だが記憶の消せない過剰適合の艦娘はそうはいかない

だから別の鎮守府に一斉に送って、そこで轟沈させてブラック鎮守府の艦娘』という事実を隠蔽する

 

そのためにメンタルテストの結果を偽るくらいなら訳もないだろう

「……つまり?」

「青葉も弥生も過剰適合で、そもそも受けたメンタルテストの結果自体が偽装された物って事だよ!」

「ブラック鎮守府出身の艦娘は、物にもよるが出撃自体にトラウマを持っている場合も多い、白がもし偽装された物なら、艤装をつけて出撃させるのは危険すぎるな」

 

ボケた聞き返しを向けてくる川内に

日高と俺が返事をする

 

「フレッチャー、戻りました」

「ジョンストンよ、入るわね」

 

「マジでワイン持ってきたの?

タイミング悪すぎでしょこれ」

 

アトランタが割り込んで二人が抱えていたワインのボトルを取って、そのまま二人を連れて出て行った

 

「……で、話を戻すぞ」

「青葉の話だな」

 

「そう、青葉なんだが……まず、一度本音を引き出す他にない

だから、敢えて出撃させる

名目上は練度の向上と付近の深海棲艦の撃滅を兼ねた近海出撃にとして一度海に出して

徐々に海域を回らせる、その過程でボロを出すなり、なんかの異常を起こすなりすれば睦月達が確保・回収する」

 

「わかった、鎮守府の公開の方はお互いに日取りをずらした上で艦娘を融通し合えば会場護衛、前線防衛、人員誘導、ショーの出演とそれぞれの役も足りるだろうし、人手不足はどうにかなるだろう」

 

「……そうだな、互いの艦娘に面識がなくて事務的な話ばかりというのも連携の観点から考えればよくないし、これを機に今後は積極的に交流を図るというのも良いだろう」

 

「よし……そういえば」

「ん?」

 

「この鎮守府に青葉はいるか?」

「いるぞ、というか……」

 

「ずっとこっち見てる気配がしてるから、多分青葉は近くにいるよ

具体的には100メートルくらい先の階段の裏側とかに」

「マジかよ……」

 

川内の指差す方向を確認してみると

青葉は本当に階段の裏に隠れていたので、その青葉と顔を合わせる

 

「……はじめまして、重巡洋艦青葉です」

「はじめまして神巫蒼羅大佐だ、悪かったね、君の提督をとってしまって

もう俺たちは帰るところだから、思う存分に取材しに行くといい……それじゃあね」

「はい……一つ、聞いてもいいですか?」

 

「ん?」

 

青葉は怯えるような様子を見せながらも、俺に真っ直ぐに視線をぶつけて、聞いて来た

 

「貴方は提督の、何ですか?」

「……元チームメイト、現同盟相手、んで訓練校からの古き友……じゃあ満足行かないか?」

 

「……まだ何かあるんですか?」

「そうだな、実はいくつかあるのかもしれないし、これが全てなのかもしれない

韜晦せるは我が言葉」

 

言葉尻を捉えて来た青葉を適当にごまかしてやると、むっとした表情になり

視線もやや力が篭る

 

「今はまだ、知るべき時ではないようです

ですが、いつか暴きます

その時に備えて、覚悟しておいてくださいね」

 

「あぁ、そんな日が来ることを願っているよ」

 

軽く手を振って、笑顔で別れて俺は川内とアトランタとフレッチャー、ついでにジョンストンと日高のいる会議室に戻った

 

「それじゃあ俺たちはここでお暇させてもらおう」

「わかった、元気でな!」

 

「お前こそ、次見るときが棺桶の中とかゴメンだぜ?」

 

軽い冗談を叩き合って、破顔しながら俺たちは裏山鎮守府を後にした

 


 

「アトランタ」

「ん?」

 

「送ってやれ、それとお前に」

「え?……辞令?」

 

「そそ、来週からお前、創海鎮守府に出向な?交換出向って感じの形になるから

お前の代わりに誰か対潜高めの軽巡を向こうから入れることになるけど」

「創海って……神巫くんの?」

 

「あぁ、その通りだ今のうちに準備を整えておくように、いいね?」

「アッハイ」

 

私はひとまず、さっさと出て行ってしまった二人を車で送るために走り出した

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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