戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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狼さん

「……ただ今、吹雪」

「はい!お帰りなさい、お疲れ様です司令官!」

 

夕日の暮れる中、鎮守府に帰った俺たちを『ぴょこ!』と言う擬音がふさわしいであろう敬礼で吹雪が迎えてくれた

本当にこの子お出迎えが似合うな

 

「吹雪〜?私は?」

「あっ、川内さん!川内さんもお疲れ様です!」

 

「いちいち揚げ足をとるな」

「アウチっ!」

 

「……さて」

「ねぇ私は無視!?頭叩かれて無視されるの!?ひどいよ提督っ!」

 

「吹雪、一緒に夕食どうだ?」

「ご一緒させてもらいます!」

 

「ねぇ提督!吹雪!」

 

「……行くぞ吹雪!」

「はい!司令官っ!」

 

「ねぇってばぁぁっ!」

 

川内を無視して歩き出そうとすると

思いっきり首根っこを掴まれて

唇を合わせられる

 

「んっ!?」

「んぅ〜っ!」

 

反射的に頭を引こうとするが、引けば引くほどに押し込まれ、背筋の限界までのけぞった状態になってなお唇を逃せずにいた

 

そして、川内はさらなる暴挙に出て

唇を強引に開かせて舌を突っ込んでくる

 

「!」

 

突然の感触になす術もない俺と

蕩けたような表情のまま、その舌だけは積極的に動き回っている川内

川内の舌は俺の口腔内の全体を舐め回し、舌を削ぎ取らんばかりに擦り

全てを蹂躙していく

 

あまりに長く続くために酸欠で視界が狭くなってきた俺は、思い切り力ずくで振り払えばなんとかなる事を理解しながらも、それをすれば川内が傷つくし、この状態で振り払ったら怪我をする可能性が高い上に舌という繊細な部位を噛んで仕舞えば危険だ……などと言い訳を並べ立ててさせるがままに放置した

 

その約2分後

 

「どう?提督、私のこと見えてる?」

「……はぁ…………はぁ……」

 

ずっと呼吸させてもらえなかった俺は口内に満ちる川内の味と、顎が外れるほどに開き続けて鈍痛を伝えてくる顎関節の状態を確かめながら深呼吸を繰り返していた

 

「答えてよ、ねぇ提督?」

「……はぁ……」

 

「…………」

すっと再び身を寄せてくる川内に強い視線をぶつけて牽制しつつ、最大限の努力で呼吸を整える

 

「よし」

 

5秒ほどかけて息を整え終えた俺は

川内の方に体を向け直して

 

その唇を強引に奪う

 

「んむっ!?」

 

流石に舌までは入れないが

10秒以上の長きにわたって唇を塞ぐ

 

「ぷはっ!?ちょっと提督!?」

「うるせえ、お前が悪いんだぞ」

 

不意打ちで、しかも直前まで自分が攻めていた状況で、強引に攻められると思わなかったのか

ただされるがままだった川内は

唇を離した途端に文句を言ってきたので、強引な理論で正面から叩き伏せる

 

即ち『お前が誘ってくるのが悪い』理論である

かわいいのが全て悪い

極論だが、男は皆狼

俺としても言いたいことはあるし、以前から挑発的で少々思うところはあった、少しはその辺について理解してほしいので、このあたりで痛い目を見てもらう

 

「……はわわぁ……」

 

あ、吹雪のこと忘れてた

 

「吹雪、こういうことは好きな人としかしちゃいけないぞ?間違っても俺みたいな屑を相手にはしないように……街に居るお金くれるパパにもしないようにな」

 

これはどちらかというと鈴谷のほうか?

 

「……さて、一緒に執務室に行くぞ

ちゃんと仕事終わってるかも心配だし」

 

「心配って……さ、吹雪、いこ?」

「ひゃいぃ……」

 

すっかり呆けている吹雪の手を引いて

俺と川内は鎮守府の建屋に入る

 

大恥を晒した気がするが、その辺のことは気にしない気にしない……でないと俺が首を吊ります(ガチトーン)

 

[お前が悪い、俺は悪くない、ですか?

御大層な理論ですね

そんなんだからポニーテールが禁止になるんですよ]

[そりゃ暴論ってもんだろ!なぜポニテが禁止になるんだ!?]

 

[男性の欲情を煽るそうですよ?

男は皆狼さんなんですから、しかたない措置ですよね?性的な意味での被害者を出さないためにはしかたないですよね?]

[こんのっ!……川内が過激すぎただけ、普段の俺の理性は鉄壁、だから大和とか矢矧とかのポニテはやめないでくださいお願いします]

 

[そのうち法令で決まりそうですね

ポニテ禁止法令って聞くと笑えますけど

提督が大好きな仮面ライダーとかでも、たしか……ゴースト、でしたっけ?

あの変身シーンで出てくる黒い煙が不気味だから主役ライダーに相応しくない、とか言って消されましたし]

「その話はモウヤメルンダッ!」

 

思わず瞳のハイライトが消えて右目を蒼く輝かせてしまい、慌ててごまかす

「司令官、どうかしましたか?」

「いやなんでもないぞ!?うんなんでもない、本当になんでもないんだ」

 

「……怪しいね……」

「おかしな司令官さんですね」

 

川内は脳内秘書艦経験者だからか、なにかあったと怪しんでいるようだが

吹雪は純粋に突然叫んだことに対しての疑念のようだ、よってここは

 

「いや本当になんでもないんだよ、大丈夫」

 

そっと吹雪の頭を撫でて

川内の方は軽く手を乗せる

 

「よし」

「いや私も撫でてよ!」

 

「わかったわかったから」

 

これで話をごまかせただろうか?

[最低ですね]

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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