戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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私にも敵が見える(by川内)

「……んで、もう夜中なんだが?」

「夜戦!夜戦だよ夜戦!」

 

「理由は?」

「夜戦に理由なんて求めるのは間違っています!夜戦は夜戦であって夜戦以外のなんでもないでしょ夜戦!」

 

「お前この会話で今まで何回『夜戦』って単語出した?」

 

「えっとね〜……1.2.3.4.5.6.7……7回!」

「なぜそれで正解できるんだ?」

「正解したから夜戦させてよ!」

 

「却下だ、ってかお前午後からずっと騒いでたってのになんでそんなに元気なんだ?」

 

俺がジト目を向けると

川内は一瞬目を逸らして

 

「提督と……したからかな

もう今のあたしは真のスーパーモードって感じなんだよ!」

「なにが明鏡止水だ、揺らぎまくっとるだろうが」

 

「……バカ」

「うるさい、突然そんな事を言い出すのが悪い」

 

「バカバカバカバカ!提督のバカ!」

「……今何回バカって言った?」

「6回ッ!」

 

「なんで正解するんだよ……まぁいい

出撃ならもう止めない(疲れたし)

別にどこに行ってもいいが」

「わかってるよ、1枠はダメコン、でしょ?」

 

「お前最近ダメコン持って行ってない疑惑あるからな、絶対だぞ?」

 

持参装備とか緊急時とかみたいな状況を除いて、装備自体は艦娘の自由にさせているのだが

俺の施した補強増設スロットには必ずダメコンを載せるように厳命している

……というのは以前も言ったと思うが

最近の川内や夜戦での戦闘継続時に応急修理要員を乗せていない可能性が浮上している

主に駆逐艦娘からの言葉なのだが

『夜戦時の川内さんの動きは軽すぎて心配になる』とか『わざとギリギリで回避する』とか『ダメージを受けながらの反撃を繰り出す』だとか……うん、高練度の艦娘なら誰だってやるような事なのだが

こと夜戦内となれば話が違う

皆が知っている基準での川内を遥かに超えた動きをする夜戦内……を基準にしてなおバカげた動きをするというのだから、何かしらの無理をしているのは明白だろう

 

「まぁ、『なにかの無理』を具体的に挙げるならそれはきっと、補強増設スロット(俺が付けた非正規ハードポイント)に積んでるはずのダメコンを捨てて缶入れてるとかじゃね?って思ってな」

 

「ダメコンはちゃんと積んでるよ?でもそういうのじゃなくてさぁ……

なんていうのかな〜〜最近は調子良くてね?敵の攻撃が見えるんだよ」

 

「見えるんだよって……」

「ほら、あの……なんだっけ?

えっと……シノン?みたいにさ!」

 

弾道予測線(バレットライン)?」

「そうそれ!みたいにさ、なんかこう……危ないなーこういう攻撃くるなーってのが見えるんだよ、それでそのままカウンターして撃破ってわけ」

「簡単に言ってくれるな、おまえ……戦況の予測どころではない難行だぞ」

 

呆れながらの一言に、川内は反発するように語気を強める

「だって出来るんだからしょうがないじゃん!提督だって似たようなことしてるでしょ!」

 

「……俺の場合は撃たれた後に軌道を認識して回避しているだけだ

どんな強敵だろうと弾は重力と初速とコリオリ力と風速とその他の多少の要素に従う事は変わらない、撃たれた後の弾道が屈折することもなければ軌道をねじ曲げる事もない、極めて順当に砲口から狙われた最終着弾地点までの道筋を避ければ良いだけだ、おまえは茶の入った湯飲みを五月雨に持たせればどうなるかも予測できんのか?」

 

「こぼす、あるいは転ぶね……」

 

「そうだ、自動的にそうなるという未来は予測ではなく予定だ、その予定を察知すれば回避は容易い

交通事故が何処で起きるか知っていれば周辺の地点を迂回したり道を変えたり、対処の方法はあるだろう?」

「うぅ……でも提督は私より判断早いしすごいし……瑞鶴さん(正規空母)並みの資材エネルギー量あるし」

 

「それについては魂の質量が違う、としか言いようがないな、この世界でできた魂のお前たちと、ここよりはるかに平均値の高い外の世界でできた俺たち、個々人の魂自体の質量がまるで違う

……まぁ、再誕者になったおかげで霊的な意味合いではほぼ無敵状態なんだが

儀装はほとんど使えなくなってしまったし海には出られないから、もう俺が出撃するような事はないと思うよ」

 

「そうだといいんだけどね」

「話を戻そう、川内がなにか無理をしているわけではなく、純粋に技能で敵を一方的に攻撃している、というのなら俺が文句をつける事はない

ただ一つ言うとするなら、無理をしすぎると死ぬぞ、と言うことだけだ

無理というのは力の前借り、それが出来るうちは良くても、出来なくなってからはもう手遅れだ……前借りが効くうちに体を休めて、しっかりとメンテナンスしておくようにね」

「はーい……んじゃ、行ってきます!」

 

「今日は何処へ?」

「キス島まで!」

 

「……高速?」

「高速+編成、夜戦向きの駆逐っ子5人、私!」

「……いってらっしゃい」

「はーいっ♪」

 

上機嫌な川内が出撃のために執務室を辞し

俺は卓上灯の電源を落とした

 

「……間宮さんにお菓子でも頼むか」

 

夜中だが、今回くらいはいいだろう

川内に付き合わされる駆逐艦をねぎらってやろう

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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