戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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海より流れゆく

ババババババッ!

 

回転翼が唸りを上げる音か、それとも機銃の上げる咆哮か

 

どちらにしても凄まじい音は

私たちの頭上で鳴り響き

その空戦の様子を伝えてくる

 

特攻があるわけでもない通常攻撃同士をぶつけ合わせてここまでの光景が生まれるのは鬼や姫級の特権、と言ったところ

 

「調子に乗るな!」

「死ネ!若造!」

 

お互いの航空戦の結果は

制空拮抗

鬼級の身で古き姫に抗うほどの実力を身につけるとはどれほどの努力を積んだのか

 

「旧型が!新型に勝てる訳ないだろ!」

「私ハ、ハイエンドモデルナンデネ!」

 

空母棲鬼と北方棲姫は空中の撃ち合いをより激しくしていく

どうやら今までの拮抗していた戦況はお互いの小手調べだったみたいね

 

「中枢!」

「オーライ!」

 

一声で呼びかけられ、一言で返す

それと同時に私は自分の巨大な艤装から、主砲と副砲を展開して

一気に照準を合わせてぶっ放す

 

主砲の射程どころか機銃で撃ち合うレベルの距離だけれど、そんなことは関係ない

主砲と装甲は『自分の主砲弾が直撃した時に耐えられる』関係

私の装甲は伊達じゃない

だから……!

 

「自爆してでも構わないっ!」

「気狂イメ!」

 

流石にこの砲撃には回避を強いられるのか

北方棲姫は移動し始め、私もそれを追って移動する

 

しかし、北方棲姫の移動に伴い

指揮が疎かになったのか、わずかに戦況が傾いていく

 

空戦が決着した時があいつの終わりね

 

「行くわよ……!」

「合わせる!」

 

北方棲姫の反撃も私の装甲は弾いていくし、そもそもそこに至るまでの妨害は山のごとしと言わんばかりに積み上がっている

 

資材も十分、私たちなら艤装は自己回復できる、私の攻撃は有効、空戦はやや空母棲鬼が有利

私の弾切れが早いか、それとも空母棲鬼が決着をつける方が早いか

 

「……クソッ!」

「「今だ!」」

 

私たちの咆哮が響くと同時に、空母棲鬼が一斉に艦攻隊を動かして

特攻じみた突撃を繰り出し、私は北方棲姫の周囲十数メートルにわたる広範囲な場所に向けて、アバウトに砲を向けて一切砲撃する

絶対に回避できないようにするために

周囲一帯全てを砲弾で埋め尽くす

これが現段階で最も有効な戦術よね

 

「死ね!」「沈め!」

 

2人揃って殺意の高い宣告と同時に決めの一撃を繰り出し、耳を聾する轟音と同時に爆煙が上がる

 

「「……」」

 

やったか!?とかフッ……とか

そう言って言葉をあげたりはしない

それが死につながり得ると知っているから

 

「滅ボサレルモノカ……コノ私ガ!」

 

あぁ、やはり

爆煙の中から姿を現した北方棲姫は

たいして変わらない様子で

 

「これでは決定力が足りないわね」

「先に資材が枯渇するか……」

 

私たちは、その認識を改めざるを得なくなった

 

「エクスカリバーがあれば……」

 

資材なしでも攻撃として成立する丸太(エクスカリバー)があれば無限に殴れるから勝ち目はあるんだけれど、手元にない物を悔やんでも仕方がない

 

「最後ハ(コレ)ガ物ヲ言ウノハ

イツノ時代デモ同ジダヨナァ!」

 

艦載機が禿げ上がったからなのか、拳を握り締めた北方棲姫が格闘攻撃を仕掛けてくる

当然パワー型の私もそれに応戦して

 

前代未聞の、姫同士の殴り合いが勃発する

 

「オラァァァッ!」

「ハァッ!」

 

しかし、哀しいかな射程(リーチ)が違いすぎる

そもそも成人女性と変わらない体格の私とどう見ても幼女である北方棲姫では

手の届く範囲が違う、お互いの格闘攻撃の間合いや攻撃位置の高さも違ってくる

そうなると、近接攻撃はお互いに全くかみあわず、防御無視の殴り合いになってしまう

 

お互いのノーガードでの殴り合いは

まず全くと言っていいほどに私が有利

なぜなら私は射程が長く、相手より遠くから殴ることができるから

 

一歩分でも射程が長い私は

『相手からは届かないが自分は攻撃できる距離』を維持するだけで近接攻撃は封殺できる

 

そして私は徹底的に砲戦に特化した専用チューンを積んだパワー特化型

向こうは空戦砲戦機動装甲の均衡を全て平均化しているバランス型

 

いくら向こうが経験値を積み上げた六重の連瑶の1人だと言っても、

純粋なパンチ力では私の方が上

その力関係は変わらない

 

「私ハ!六重ノ第一!

最強ノ北方棲姫ダ!コノ程度デ沈ムモノカ!」

 

しかし、何度攻撃しても

相手のガッツは凄まじく、弾かれてしまう

ボディにダメージが通っていないわけではないはずなのに、攻撃が攻撃になっていない?

 

「空母棲鬼!」

「了解!」

 

空中で待機していたタコヤキとゴトシープが攻撃を始めて、爆撃を繰り出す

当然停止目標に当たらない攻撃ではない

 

「グッウァァアアアッ!」

 

断末魔じみた悲鳴は上がっても

それでどうこうと言うわけではない

大した傷もついた様子はない

……これはもしかして

 

「特殊な能力……?」

「まさか!」

 

「誰ガソウ言ワレテ明カスモノカ!死ネ!」

 

「危ないっ!」

 

北方棲姫から放たれた砲弾は

空母棲鬼へと向かい

私はそれを庇って身を挺した

 

装甲に弾かれて大したダメージにならないのはわかり切っている

はずだった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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