「うがぁぁぁっ!」
小柄な体を電撃に引きつらせ
獣のような声で、可愛らしいピンク色の髪を振り乱しながら叫ぶ青葉
高圧電流によるショックでの気絶や麻痺すら無効化するとなると
もはや捕縛・制圧としての攻撃では意味をなさないと見るべきだろう
そう判断した俺は即座に銃弾を通常弾へと切り替える
捕縛・制圧用に用意された明石製の特殊弾であるこの高圧電流弾は火薬を減らして殺傷能力を低下させている弱装弾、弾自体の威力は人間でもそうそう死なない程度だ
装甲を全身に纏ったにも等しい艤装装備状態、そのレベルに力を引き出している青葉には効くはずもない
「各自発砲許可、全力で、殺すつもりでいい!あれはもはや艦娘の青葉では無いと思え!」
通常弾を何発撃っても重巡相手には蚊蠅がせいぜいと言ったところだが、それでも火花が手元や顔面まで掛かれば振り払おうとするのが本能だ
ここで、こいつを止める
そのためになら手段は選ばない
「……!」
射殺を覚悟して発砲許可を出し
躊躇わせないために自分が先陣を切って発砲、徹甲榴弾のような高威力の弾では無いが、それでもなにもしないよりはマシだ
「ここで安らかに………やるしかない」
連射は危険だが、止まりはしない
止まっている余裕などない
アレを生身で倒すためには、無理を押してでも戦わねばならない
「大和もいない、長門達は演習に出ている
客も誤魔化し続けるのは限界……時間がない
一瞬でケリを付ける!」
「テートク!体を張り過ぎデス!
また死にかねないような事をするなら許しマセン!」
「違う!……金剛、お前の力を借りる!」
「りょーかいネ!」
金剛が持ってきた装備の一部
主砲、35.6センチ連装砲を一基
その一つだけを手に走る
本来ヒトの起動しえるものではないが、、そこを問えば俺は再誕者
もはやヒトの範疇といえない存在だ
艦娘の武装も一般的なものなら扱うに支障はない
「よし、行くぞ」
金剛は主砲を減らした分接近戦にシフトし、川内と共に地形を利用した高速戦闘を仕掛ける
拳と蹴りでの派手なアクションを披露しながら、至近距離で発砲、といったコンボ攻撃に
さらに川内との連携が加わる
戦艦の主砲を受け、忍者のクナイを受けてなお平然とした様相を保つ青葉
そこに加えて俺が隙を突いての砲撃を入れるが、やはり効果は薄い
「……どうしようか」
まともに撃っても効果が薄い
艦砲射撃ですら完全な効果を発揮しないとなると、もう劣化ウラン芯弾やチタン芯融解弾のような
どちらにしても深刻な後遺症や環境負荷のある危険な武器であるため、取り置きは存在しない
艦娘に使わせることすらない
「そうだ!ユカナ!」
「はい!」
俺は大声をあげて実体化妖精であるユカナを呼びだす
かつては夢葛鎮守府にいた艤装妖精であるユカナは非常に希少な技術を持った妖精だ
「妖精の門は使えるか!?アイツを海のど真ん中に放り出す!」
「……青葉さんですか?
試してみます!」
鎮守府から飛び出してきて即答で門を開こうとするユカナ、しかし
「きゃっ!?」
開いたのは深海棲艦、タ級の目の前
「キャッ!?」
どうやら向こうも驚いたようだ
「むりです!提督!なんか変に誘導されてます!ゲートの出口が!」
「オーケー!分かった!」
とりあえず
「ならドライバーを持ってこい、
ありったけのカードも!」
「はい!わかりました!」
二つ返事で飛んで行ったユカナの背を見ることなく、俺は再び主砲を構える
「うがぁぁぁっ!」
「はぁぁぁっ!」
金剛と正面から押し合う青葉
いかに重巡のパワーとはいえ、高練度で艤装付きの金剛と押し合うなぞありえない
それがコネクトによるドーピングの影響であることは想像に難くなかった
元は同じ艦娘の限界値を超えるためのツールである『ケッコンカッコカリ』と『connect』
お互いに担うそれらは明確な優劣をつけられているはずだが、それでもと言わんばかりに食い下がる青葉
「こんのぉぉっ!テートク!押し負けるヨ!」
真正面からぶつかり合っている2人、しかし金剛の足元の地面には、たしかにそれが動かされた痕が残されている
やはり力では青葉が有利か
川内による延髄斬りも弾かれ
高圧電流弾による電気ショックも振り払われた
この状況ではもはや足止め以外にできることはない……俺たちには
「提督、千代田参上したわ!」
「神風、現着」
千代田が伸ばしたピアノ線のような極細の糸が中庭の敷石を切断し、
金剛の髪を切って青葉へ向かい
熱したナイフでバターを切るように、その肉体を無数の肉片へと変え……ない
金剛が決して離さぬと言わんばかりに爪を立てて握り込んだその手を振って、金剛を引き寄せ
金剛を巻き込んでフレンドリーファイアにさせようとして、しかし金剛の艤装は放たれた糸の斬撃を防ぎ切ったのだった
「神風!」「はい!」
川内の魚雷が神風に託され
その機動力を持って青葉の首に叩き込まれる
「これで……倒れて!」
「これでend marcネ!」
首に凄まじい勢いで直撃した魚雷の一撃と、その爆発による威力は
青葉のダメージ許容量を大きく上回り
「が……ぐぁ……」
諸々の傷を含めて、ついに青葉は気絶に陥った
「……はぁ〜〜……っ!」
最初に大きくため息をついたのは
金剛
「死ぬかと思ったデース!テートク!」
「お、おう、すまん」
抱きついてきた金剛を優しく抱き返してから下ろすと、さらに身を寄せてきたのだが、対応はこれで正解なんだよな?
「疲れたのは私も同じだよー?」「川内、お前は後な、金剛は……うん、まず離れよう?」「イヤでーす!」
その後一時間ほどあの手この手でぐずり続け、到底人に見せれない有様になったので
金剛ごと俺の部屋に戻って衆目から隠すことになった
「あの!ベルト……」
「あ、もういいよ、おわったし」
600話記念番外編は
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過去編軍学校
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過去編深海勢
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裏山とかの話を
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テンプレ転生者(ヘイト)
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ストーリーを進めよう
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……