戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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私は悪い子ですから

「ベルトは無駄になったがまぁ仕方ない

策が外れるのはよくある事だ

……さて、青葉だけど……」

 

connectは常習性のある薬物

ある意味ではアッパー系の麻薬に似ているともいえるだろう

 

「自然に抜けるような柔い薬じゃないだろうし……」

 

最悪の場合、解体しても体内に残る可能性もあるし、過剰適合の青葉は解体したら魂のない抜け殻になってしまう

したがって『なかったことにする』手段は使えない

 

「フラッシュバックとかもあるし、艤装も過剰稼働で壊れてしまった可能性も否めない」

 

本来の形を超越した『仕様にない動き』をさせられて、艤装がエラーを起こしてしまう可能性もあるし、事実最後に大ダメージを受けてからは動きが鈍っていた

 

「う〜ん……」

 

「司令官、まずはこの状況を打開することを考えましょう?このまま放っては置けないことが目の前にあるのではなかった?」

 

「鎮守府の一般開放か、そうだな」

 

流石にそこを放っては置けない

とはいえ

青葉の大声や俺たちの砲撃音、割れた窓ガラスや床敷石は流石に誤魔化せないだろう

 

「……あ」

「こちらは我々がなんとかします!

なので皆さんはお客さんの方をお願いします!」

 

そう言い切ったユカナはベルトを置いて飛んでいき、そのまま姿を消した

 

「……どう説明すっかな……」

「流石にどうすればいいか分からないネ」

 

俺は金剛と一緒に途方に暮れるのだった

 

 

まずお客さんがた(金剛達が機転を聞かせて退避させていた)に納得のいく説明をしなきゃいけないし、そのために大本営との暗闘なんて言えるわけがない

 

connectなんていう危険物を使用したとも言えないし、流石にこのまま放置するわけにはいかない

 

「……せやなぁ」

「なら、こうしましょう」

 

鳳翔さんが提案したのは

『人に擬態した深海棲艦を発見し、それを被害の出ないように誘導した上で撃破した』というカバーストーリー

なるほど、鎮守府が多少壊れても『設備より人命を優先した』とか言い張れば良いだろう

だが

 

「深海棲艦が人に紛れているって情報は割と機密なんだよなぁ……」

問題は、パニックの原因になるということ

 

隣の人物は深海棲艦なのかもしれない

会社の上司は深海棲艦なのかもしれない

いやそうに違いない

自分に都合が悪い存在だから

 

都合の悪い者にレッテルを押し付ける風潮はずっと昔から存在する

そのためのレッテルをわざわざ提供するのは危険にすぎる

 

禁忌技術(connect)を使っていた艦娘が暴走……うぅ〜ん」

 

艦娘の兵器としての安全性のイメージが損なわれたら民意はすぐに艦娘排除論に走るだろうしなぁ……現状一部の特殊な兵士・兵器を除いては艦娘以外で深海棲艦と戦うことなんて出来ないのにそれも分からずに講和しろだの同盟を結べだのと煩くさえずる……

 

「……スパイが潜り込んでいたのを発見して処分した……?」

「深海の?外国の?」

 

「……うぁ〜……」

 

どっちにしろ大問題は避けられない

『被害なく解決した』という事実は大きなカードだが、まずそれを活かせる環境が構築できない

 

「司令官、ここはやっぱり

『人に擬態する深海棲艦』で行くべきよ、周囲のお客さんを避難させたのも、戦闘したのもこれならなんとかなるわ

それに司令官も言っていたじゃない

『あれは艦娘の青葉だと思うな』って」

 

「……海峡夜棲姫のように擬態できるタイプの深海棲艦の存在は機密なんだが」

「事実はともかくそれが1番穏便に済むと思うわ)

「そうですネー……私もそれが楽だと思いマス!」

 

やっぱそうなるか

 

「よし」

[いえ、ここは私に腹案があります]

 

頭の中で大体のストーリーを組み上げたところで、脳内駆逐棲姫から声が掛かる

 

[なんだ?名案があるのなら教えてくれ]

[はい、この策は時間が経てば経つほど効果が薄れるので、急ぎ説明します

まずはお客さんをもう一度、運動場のほうに集めてください]

 

「わかった」

 

時間が経てば経つほど効果の薄れる策ならばとにかく今は指示通りに急ぐべきだろう

その最中でも説明を聞けば良い

 

そう考えた俺は艦娘達と共に

観客の呼び戻しを始めた

 

「で、本当に何をするつもりなんだ?」

[ただの説明です、ちょっと内容をいじっただけの、でもこれなら確実に『怪しまれることはない』ですから大丈夫です]

 

駆逐棲姫がそう言い切った時

ちょうどお客さん達が朝礼をやったグラウンドに誘導されてきたので

駆逐棲姫と代わるように言われて

 


 

私たちは正門を入ってすぐの場所

何もないので、運動場として使われている場所に設置された講壇の前に市民の方を誘導して呼び戻して

不安の様子を見せる皆さんの質問を『今から提督が説明する』で乗り切ってきたのだが

 

「大丈夫かしら」

 

私も不安になってきた

けれど、提督の指示のとおりに人を集めて、合図を出した瞬間

空気が変わった

 

提督の姿が春雨に酷似した少女へと変わり、その瞳の青い光が全てを覆い尽くすように輝く

 

「今、ここでは何もありませんでした」

 

あれ?

私たち何してたんだっけ?

 

演習のほうに戻らなきゃ

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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