戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

611 / 649
急がなくては

すぐに何事もなかったかのように喧騒を取り戻した一般客、それと同時にユカナが飛んでくる

 

「ひとまずの修繕は終わりました!

地面の敷石については加工が難しいのでひとまず割れたまま平たく埋めています

……金継ぎてきな感じで」

 

「味があるとでも言いたいのか?

あれ、ってかお前石割ったの?どうやって?」

 

「え?青葉さんですよ!なんでそこで私が出てくるんですか!」

「は?アイツなんかやった!?」

[て、い、と、く?]

 

「……なんのことでしたっけ?」

[なんでもありませんよ、さぁ

演習に戻りましょう?]

 

[アッハイ]

 

というわけで、

俺たちはカリキュラムに戻り、そのまま演習を終了する、その寸前

 

〈司令官!哨戒艦隊の睦月にゃ!

多数の深海棲艦の群れに遭遇、撤退するところにゃ!鎮守府外海部、東海のルート外側!〉

「了解、すぐに対処するから撤退を

迎撃の艦隊を送る、敵の情報を教えてくれ!」

 

俺が睦月に無線で言葉を返すと

すぐさまに睦月が話し始める

 

〈敵の艦隊はおよそ8〜10〉

「ん?そんなに少ないの?」

 

8〜10体程度なら連合艦隊は必要ないな

まず1艦隊6人で事足りる筈だ

 

()()にゃし〉

「は?」

 

〈だから!8〜10艦隊!5.60体くらいいるにゃしぃ!現在全速力で撤退してるところだけど追ってこないからこっちには気付いてないと思うにゃ〉

「わかった、総力戦になるな……」

 

〈チラッと見た限りでは戦艦ル級が何体か、重巡級と軽巡級が主力機、

前線の艦隊は駆逐〜軽巡が占めてるにゃ〉

 

場合によっては戦線を抜けてきた敵に鎮守府を攻撃される可能性もありえる

そこからの俺の判断は迅速だった

 

「現時点を以って全訓練を中止、

深海棲艦の艦隊が哨戒艦隊によって発見された、これより睦月達哨戒艦隊の回収、並びに敵艦隊の撃滅に向かう艦隊を招集する

敵は数多く、また精強である

心してかかれ……演習弾と実弾を間違えるなよ?」

 

鎮守府全域の開戦に切り替えて

宣言する

 

いつこれが起こってもおかしくはないということで、事前からずっと頭に入れていたメンバー登用を流用し、艦隊を3つ編成する

睦月達が帰り次第編成を入れ替えて第四艦隊も再出撃、今度は出撃した艦隊の支援と損傷した艦の交代要員として向かわせる

 

「客付きの艦娘達は避難誘導を担当しろ、艦隊旗艦はメンバーを各自で抽出するように!

第一艦隊旗艦、長門

以下第二艦隊 金剛

第三艦隊 五十鈴

五十鈴には島風をつけるので現場まで急行、その後時間稼ぎと敵戦力に対する威力偵察を行って欲しい……ただ無理はするな、その状況では『未知』に晒されるお前たちが最も危険だ、大破が出たら全員迷わず撤退すること

いいな!」

 

《了解!》

 

俺の元では心柱の関係で全力を発揮できず、また艦娘同士であっても鎮守府を跨いでは連携の乏しい裏山鎮守府の艦娘達が率先して客の避難誘導を務め

俺の元で戦う創海鎮守府の艦娘達が積極的に打って出る

 

長門、金剛、五十鈴には率いられた艦隊がそれぞれ集合し、海に出ていく

その姿を見送って、俺は鎮守府の本棟に戻った

 

「……頼んだぞ……」

 

睦月達は経験豊富なれど、精鋭と呼ばれるほどの戦闘能力を持ち合わせてはいない

駆逐艦の中でもどちらかというと支援に向いた、非攻撃的な艦娘達なのだ

 

執務室に入った俺は、すぐに哨戒の艦娘達に無線を繋ごうとするが、耳に入るのはノイズばかり

ルート通りに撤退しているらしいので、回収は不可能ではない筈だが

通信途絶ということは

旗艦がやられたか、それとも機材が破壊されたか

 

「司令官、みんなが編成と出撃を完了したわ」

「神風が、すまんが少し集中する

客の方の対処はお前に任せる」

 

「了解よ、こっちは任せなさい」

 

神風はそのまま踵を返して執務室を出て行き、俺は提督席の背もたれに体重を預ける

 

「……各艦隊へ、聞こえるか?」

〈こちら第三艦隊村雨、聞こえてるわ〉

〈こちら第二艦隊霧島、感度良好です〉

〈第一艦隊の長門だ、通信状態良しだ〉

 

三艦隊のそれぞれの通信役かは返事が聞こえ、俺はそのそれぞれの艦隊に通達を行う

 

「つい先ほど、睦月率いる哨戒艦隊からの通信が途絶した、向かう先は変色海域の可能性がある、各員十分に注意されたし」

〈了解!〉

 

艦娘達にその情報を流しながら

自分は別のことを考える

 

先行した島風と高速統一の軽装艦娘達で構成された第三艦隊はあくまで橋頭堡となるのがその役目、大した火力はない

 

だが、回避能力に秀でた睦月型を『沈めることができる相手』だとしたら

救援に来た第三艦隊が逆に食われる可能性が高まる

そうなったら最悪だ

第一・第二艦隊も順次食われて終わりになってしまうだろう

 

流石に戦艦ル級といえども

艦娘の艤装を一撃で完全破壊できるほどの火力は有していない、初撃、次撃と回避すれば反撃の間が生まれるはずだ

 

「やれるか……?」

 

「提督、睦月艦隊の予測位置と五十鈴艦隊が接触するまで、もう間も無くです

通信途絶も考えられます」

 

「わかった…通信機借りるぞ

五十鈴艦隊各員、睦月艦隊の全員回収が理想だが、睦月艦隊を利用した友釣り戦法を使ってくる可能性があるので、少しでも不安を感じたら」

〈見捨てて撤退、かしら?〉

 

「それができれば、な

俺が指示するのなら、こう言う

『敵を一瞬で仕留めろ』」

 

〈ふふっ、賛成よ

十分に気をつけるわ、それじゃ、朗報を期待してね?〉

 

村雨の声が通信の終了を宣言した

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。