出撃してしばらく、先行した第三艦隊の艦娘達と連絡が途絶し
続いて第二艦隊との連絡も途絶えた
だが
〈長門だ、変色を目視確認した、これがおそらく、開戦前の最後の連絡になるだろう〉
「了解、戦闘に際してのオペレーションは不可能だが……無事を祈る」
〈ふふっ、朗報を待っておけよ
私は必ず全員で帰って来るぞ〉
それの言葉を最後に、通信が途絶する
変色海域に突入したのだ
「さすがに俺にできることはもうないな」
そう、ここからは俺にできることはない
ただの雑魚艦隊ならまだしも
領域を発生させるほどの戦力を持てば危険度は高まる、通常よ海域とは違って
深海棲艦の群れが屯する赤色の海では敵戦力もさらに向上する
かつて姫と鬼とレ級と俺で展開した時のように、赤くなった海域はその展開者の望む要素を強く反映する
『駆逐・軽巡しか進めない』
『戦艦の編成数2隻以下』のような要素がそれにあたる
新海域の開放が面倒になるほどまいかい大規模作戦なのはそのためだ
「以前は直接指揮を取っていたから良かったけれど、仕方がないよなぁ」
「残念ながら、提督の出撃は不可能ですね……私たちにとっては冷や汗をかく原因が一つ減ったので大喜びですが」
大淀はなんとも冷たい返事をしてくる
「……そんなこともあろうかと」
「あってはいけません!やめてくださいやめてくれないと……!」
メリメリと言わんばかりに腕に力を込めて
俺を窓際から引き離そうとする大淀
「やめてくれないと……なんだって?」
「……脱ぎます!私が!」
「無茶なことを!」
突拍子もない発言に気を取られて一瞬腕の力が緩んだ隙を狙われて
そのまま引きずり剥がされてしまったが、俺は諦めない(鋼鉄の意思)
「この執務室に、何回襲撃があったと思う?」
「まさか!?」
「直近の悪雨潜入事件を含めて3回だ」
その対策を、なにも取らずにただ惰眠を貪るのか?いや違う
俺は平和に餌付けられた家畜ではないし、生き残るために手段を選ばない
「それがどうしたというんですか!」
「こういうことだよ!」
バコン、と音を立てて床板を踏み抜き、その下に隠された装甲を身につける
「ばん、俺が最近の仕事の合間に作った
全身積層装甲付属型多連装クルップ式無反動砲『ヘビーストリッパー』
開発コードは
それを順次放棄していく使い捨て装備だ」
試作品の中でまともに形になった珍しいものの一つだ、多分二度と作れないだろう
「使い捨て……」
「ロケランだし、あんまりたくさんつけすぎても攻撃喰らうだけだしな」
「提督!あなたはまだ戦うつもりなんですか!?」
大淀が怒鳴りつけてくるが、やはり
「そりゃ、戦争だからな
どっちかが降伏するか、殲滅するかまで終わらないから」
この一言に尽きるだろう、『戦争だから』終わらないし終わらせられない
自分だけ止めることはできない
それは死に繋がるから
「そういう意味ではありません!」
「あ、俺個人がって意味?
う〜ん……これはあくまでも防衛用の装備だからなぁ……」
ヘビーストリッパーは重量がありすぎて水上での機動性が確保できない
だから水上バイクを使うか、陸上で使うかの二択になるのだが、装備重量は60キロほど、だいたい人間1人とおなじくらいある
流石にその重量を支えた上で数キロも一気に走るのはちょっと不可能なので(肉体派レンジャーなら可能か?)
陸上での使用は固定砲台だろう
本来の設計仕様としては重巡級の艦娘の装甲・火力強化に用いるのだから人が使うとなればさまざまな問題が噴出する、それは流石に俺だって同じだ
「防衛って!」
「守るために、最低限構える
『
なぜこれを作ったのかといえば
俺以外にも戦力を与えるためだ
艦娘には及ばずとも、複数分散配置したロケランを使えばノーマル駆逐・軽巡程度なら問題なく撃破・撤退させることができるくらいの火力は出る
さらに作成には大井か北上の艤装が2個あれば良い、常人には賄えない霊力も弾薬40程度で十分、破損しても部分的に投棄するだけ
圧倒的に効率がいい
こと火力に限れば一般軽巡級艦娘に比する程度の力を、一般市民が使えるようになるわけだ
しかもこれは輝那同様、通常状態では霊力を必要としない
コアに干渉して大井や北上のコア人格と対話せずとも使用できるし、資源の調達も簡単
これは広めたい技術だ
とはいえ今は平時ではない
「必要なら使うし材料確保して作るけどさ、まぁ今やるのはそれじゃないよね
大淀、どいて」
「な、どこに行くつもりですか!」
「工廠、あそこに置いてある試製二二式ビームライフルを使う、実質射程無限の収束レーザーをくれてやる」
「誤射したらどうするつもりなんですかそれ!」
「艦娘の装甲ならレーザー程度数秒くらいは防げる、問題ない」
「水平線の向こうは見えないんですよ!?」
「理論上海底まで貫通する出力だ、多少水をくぐったところで問題ないし、水中で散乱しづらい紫外線寄りのスペクトルに収束している
それに、俺の作ったビームライフルがその程度の限界を超えられないとでも?
無論屈折のための反射ミラーは用意してある」
「もしかして……最初の頃に遠征ルートに置いていた『目標』って」「そう、そのブイは単なる資材スポットの可視化だけじゃなく、当時すでに完成していた試製ビームライフルのビーム反射・誘導のためのものだ……まぁ使うことはないと思っていたが」
そして俺は大淀を躱して
工廠へと向かった
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