戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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わずかな時

「島風!」「村雨!」

 

「「いくよ!」わよ!」

 

2人が互いに声を掛け合い

尋常ではない速度で高速航行する

敵、ル級の手の前まで飛び出して

それを嘲笑うように過ぎ去る島風

視線が向いた先には既になにもない

 

ル級の視線がそれた途端に跳躍して、艤装の重みをものともせずに空に身を躍らせた村雨が、伸ばした鎖でル級を打ち据え、内部に誘爆させて爆散させる

 

着水の瞬間を狙われていても、自分の魚雷発射の反動で姿勢を反転させて

手を水につけたと同時に爆発的な音と共に再び跳躍し、ヘ級の正面に余裕の着水

とびっきりの笑顔と共に砲弾をプレゼントした

 

一方島風も鋭い切り返しで敵の攻撃を尽く躱しながら敵側に接近し

その群れの中に突入、魚雷を振り撒いて敵を撹乱しながら

自分の放った魚雷を追い越すほどのスピードで突撃し

川内さんを思わせる直接攻撃戦法で敵を確実に沈めていく

 

重雷装・高機動艦の島風はその持ち味をうまく発揮して、敵の渦中ですら我が物顔で闊歩していた

 

「五十鈴以下、第三艦隊現着

第二・第一艦隊到着まで時間を稼ぐわ!」

 

島風と村雨を先に行かせ

残りの4人はペースを崩さずに進んできた、そんな第三艦隊が来た頃には

 

「もう!おっそーい!

打ち尽くしちゃったよー!」

 

村雨と島風の獅子奮迅の活躍によって

敵の手の届かぬ先にまで

遠征艦隊は離脱に成功していた

 

「補給は大切ですよ、はい、村雨さん」

 

「ありがとっ!んっ!」

 

先行した2人は給水ボトル(の中に入った燃料と弾薬)を艤装に補給しつつ、その戦果を誇った

 

「轟沈なし、航行不能3、総じて

戦闘続行は不可能、ってところね

危なかったわ」

「私が早くなかったらだれかやられてたよ」

 

「よく頑張ってくれたわ……

ふたりはそのまま護衛退避、いいわね?」

「了解、それじゃあ離脱するわ

島風ー?」

 

「おっそーい!もっと急ぎなよ村雨ー!」

「言ったわね……!このっ!」

 

既に駆け出していた島風に煽られた村雨は

流石に改二までは使わないが

全速に近いほどのスピードで駆け出した

 

「…私たちも行くわよ!」

《了解》

 

五十鈴率いる4人の艦隊が、

なおも追撃を仕掛けようとする敵の群れに立ちはだかった

 

「一斉射用意!戦艦を相手にする必要はない!駆逐から削るわよ!

……ってーっ!」

 

五十鈴の号令のもと、四艦一斉射が放たれ

狙われた駆逐艦の群れに砲弾が降り注ぐ

 

深海棲艦は装甲能力が高い代わりに艦娘と同じ犠牲装甲(サクリファイスガード)即ち『壊状態』を持つのは姫級や鬼級に限られており、一度装甲を抜けば即撃沈するのが基本

 

さらにここまで遠征艦隊の奮闘により

弾や燃料の消耗を強いられ

村雨と島風によって陣形を引っ掻き回されて混乱の最中にあった敵艦隊はロクな反撃も叶わず次々に撃沈されていく

 

「陣形を維持することを優先して

ここを守り切るわよ!」

「はい!」「あぁ!」「了解!」

 

一時は重体になるも後遺症を克服し

再び戦線に復帰した補給艦速吸

 

正確な攻撃はまだできないながらも

十分な戦力として起用された陽炎型磯風

 

持ち前の機動性と雷装を生かした

サポートとして起用された陽炎型浦風

 

それぞれが五十鈴の声に応えて

攻撃を開始する

第二艦隊到着まで、残り10分

 


 

第二艦隊旗艦、金剛が編成したのは

高速戦艦である金剛型の金剛・榛名と

対空能力の高い秋月を主軸とした

『敵の攻撃能力を奪うこと』を目的とした艦隊

 

メンバーは金剛、榛名、電

アトランタ(裏山)秋月(裏山)

翔鶴(裏山)のハーフアンドハーフ

 

「第三艦隊が接敵、遠征艦隊を回収しつつ護衛退避を開始」

 

響の説明を聞いた金剛は

表情を一切変えないままに指示を飛ばした

 

「アトランタはそのまま対潜警戒

秋月は対空警戒を維持、翔鶴は偵察機を出して下サイ、榛名は後方に注意しつつ殿(しんがり)を務めて、電はそのまま魚雷をいつでも出せるように」

 

「はい!」「いくよ」「了解」

「わかりました!」「偵察機発艦用意……!」

 

進路速度に変化はなく

接敵を確認してなお落ち着き払った様子で進んでいく第二艦隊

戦場に到着するまで

あと7分

 

 


 

「これより通信は不可能だが

行けるな、皆!」

《はい!》

 

長門が編成した艦隊は重武装大型艦による艦隊決戦を前提としたもの

構成員は長門・陸奥・ビスマルクの3戦艦に瑞鶴と蒼龍の2空母、そして水面下の伊19

 

戦艦3隻に正規空母2隻が並ぶ様は側からみれば壮観なのだが、資材消費もまたそれに見合ったものだということは長門も心得ている

 

「戦術は短期決戦、一瞬で終わらせるぞ!」

 

ゆえに、戦い方はこれひとつ

圧倒的な火力でもって

敵の攻撃を許さずに叩き潰す

 

眼前の敵を殲滅して、話はそこからとなる

 

「攻撃は最大の防御、前の艦隊が敵を消耗させてくれた分、私たちが沈めればいいのよね?」

「その通りだ、徹底的に、完膚なきまでに叩き潰せ」

 

まだこの艦隊に来てから日が浅い瑞鶴が問い、それに長門が返した

 


 

 

「……了解」

 

遠征艦隊の6人は皆駆逐艦

言い方は悪いけれど、『駆逐艦6隻くらい』ならばこの艦隊を動かすコストの半分以下で建造できる

 

練度を取り戻すには時間がかかるけれど

それでも見捨てた方が総合的には良いはず

 

「……提督も甘いのね」

 

そう呟きながら、私は微笑んだ

 

第二艦隊到着まで

あと5分

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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