戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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雲間に覗く

「さぁ、やってみましょう

まずはこれですね

え〜『暁型の寮室を分けて欲しい』という要望書です

艦娘寮の方でやっている各艦種の説明をお聞きになった方ならもうお分かりかと思いますが

駆逐艦は数が多く、個室を割り当てることはできません

ですからある程度の人数を余裕のあるサイズの部屋に入れる

そもそも鎮守府の設計段階から既にそれを想定して駆逐艦の部屋は大部屋です

その中で4人の暁型を分割するのは困難、それに近隣の部屋は既に埋まってしまっています」

 

駆逐艦寮の部屋割り表(この日のために各寮の部屋割りを手書きで書いたもの)を提示して

 

その両隣の部屋が既に埋まっていることを示す

 

「となると、この端の部屋になるんですが……流石に姉妹の部屋がそんなに遠いと困ります、ですが神風型の神風が単独で使っている部屋を退いてもらえば隣り合う2室を確保できます」

 

表の端に書いてある神風の枠を示し

そこに暁と書かれたマグネットをおく

 

「……では、神風はというと

こっちに、寮長のための管理人室です

前は雷が使っていた部屋です……これで部屋移転は問題ありませんね。

あとで神風に話を通して、暁と神風の両者が合意すれば部屋の分割・移転の予定を立てます

こういう風に部屋割りを変えて行ったり

留守に臨時で別の子が使ったりするので、駆逐艦娘の部屋はあまり私物がありません

……別に与えていないわけではないんですが、彼女たちは私物というとと必ずと言っていいほど食品であったりアクセサリー類であったりで、あまり部屋に置くようなものではないんですよ」

 

例外は俺が把握している中では

神風の電灯スタンド(大正チックなデザイン)と白露の私服類(コスプレ)

時雨の改造制服と、陽炎の日記帳

電の掛け軸、浦風の磯風介護用品くらいか

あとは五十鈴のモデルガンあたり?あれは私物だけだどこに置いているのか不明だな

私服類も極端な数ではないし、移転にそう時間がかかるほど大掛かりなものはないと思う

天龍型や長門型の部屋には

昔沈められてしまった艦娘たちのネームプレートや艤装の破片があるが

それをいう必要はあるまい

 

「さて、皆さんに実際にやっていただく書類は……これです」

 

提示したのは

さまざまな予算申請、事前に書いてもらったものの中から妥当性の高いもの、つまり

承認するもの『のみ』を抽出したものだ

これにはハンコをバンバン押すだけで構わない

 

本当はダミー書類を適当に用意したかったのだが、大本営の大淀さんからのご指示である

 

「……oh!淀め……」

 

誰にも聞こえないように

ポツリと呟くのは、手間をわざわざ増やしてくれやがった大本営の大淀さんへの悪口(これを悪口と言うのかは不明だが)

 

「はい、じゃあこれにハンコをどうぞ」

 

「ここです、この枠にこうやって……と」

 

ハンコを紙に押して、押しながら力をかけて、そのままその力を掛ける部分を動かし

印のフチ部分をきれいに写せるようにする

 

「……はい、これでよし

あとはこの承認の籠に……はい、ありがとうございます、これでこの書類は承認されました

……ちょっと神風に話を通さないといけませんが、それは私の方でやっておきますのでお構いなく」

 

くっだらないことやってるのは自覚あるが、さすがに艦娘とのコミュはさせられない

ちょっと勘違いしたバカによって艦娘達が危険にさらされる可能性もあるし

駆逐艦がハイエースしてダンケダンケされたら民間人がたくさんシャアになってしまう

 

最終的に艦娘達を回収することを前提とするなら、それで提督が増えればいいのだが

あんまり艦娘の人数ばかりが増えると国民の中の艦娘比率が高くなりすぎて将来の人口にも大きな影響を及ぼすことになる、そこまで考えずとも

邪な提督が増えればそれだけで大本営のような権力主義であったりと愚かなことを始める奴も増える、ひいては真っ当な提督にかかる負担が増えるというわけだ

 

「……さて、みんなの様子はどうかな

大淀、すこしこっちを任せていいか?」

「はい、それでは皆さま

ただいまから秘書艦娘筆頭、大淀が提督業実演説明を代行させていただきます

短い間ですが、よろしくお願いします」

 

大淀が俺の後を引き継いで

そのまま説明と指示を続ける

俺がやるより美少女戦士大淀がやった方がよっぽどいいだろう

現に男衆も鼻の下を伸ばしつつある

……バカめ、同じメガネの霧島・鳥海同様に大淀は凄まじき戦士だ、その手を伸ばした瞬間がお前たちの男しての最期だと思うんだな

 


 

「はぁ……はぁ……」

いきがあれる

くるしい

 

薬がほしい、薬が

あの薬が、コネクトがほしい

 

「はぁ……はぁ……ゔっぅ〜っ!」

 

思い切り息を吐いて、そのまま2秒

息を吸い戻す

 

「はぁ……はぁ……はぁ……っ!」

 

猛烈な吐き気を感じて、

そのまま吐き散らかしながら、吐瀉物で窒息しないように気道を確保する

 

ようやく思考が戻ってきた

というか私、浅ましすぎるだろ

なんだよ薬薬って、それでも第二艦隊旗艦か?

 

……もう旗艦じゃないんだった

それどころか鎮守府もない

ハハッ、なんてこと

人生敗北者まっしぐらね

 

「はぁ……はぁ……敗北者……か」

 

息を整えながら、すでに始まっている中毒の禁断症状で震える指を押さえつける

大丈夫、指輪はこわされたけれど

私自身の指ごとじゃない

 

コネクトも一度、客に紛れたあいつから渡された一本だけだし、連続投与はしていない

過剰適合(オーバードース)の私は他の艦娘とは耐久値そのものが違う、大丈夫だと

 

「残念だったわねクソ野郎共

あの人はやった、ちゃんと自分の艦娘も、自分も、催事も()()()()()()()わ」

 

最高の気分ね、死んでしまってさえいなければ提督とシャンパンで乾杯したいところ

まぁここにあるのはついさっき私が吐いたばかりの吐瀉物だけだけれど

 

ごめんね、みんな

私は失敗した、こんな薬漬けの体なら放っておいてもコネクトの副作用で死ぬ

みんなも死んでしまう

 

私は守れなかった

なにも

 

「よう、起きてるか?」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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