「……こっちで……お願いします」
「わかった、じゃあまずこの艤装を背中に、接続寸前の位置で固定する
すこし神経に干渉するから痛かったりくすぐったかったりするが、できるだけ動かず我慢してくれ
ひどく動いたりすると神経に接続端子がぶっ刺さって抜けなくなったり最悪端子先端部分だけが体内に残ってしまったりする可能性がある
そうなると物理的に背中をえぐるってレベルでの手術が必要になるからね」
「急に怖いこと言わないでくださいよ!」
「分かっている、でも身をよじられたりしたら危険なんだということを説明しないといけないからな」
俺はささっと艤装を支えて
固定した後
「……よし、いいぞ
青葉のパーソナルデータを取らせてもらうが、いいか?」
「どうせあられもない姿も見られちゃってますし、構いませんよもう」
「…………」
一度うなずいて、すぐさまに指を動かす
「よし」
「もう終わりですか?早いんですね」
「そう早いぞ、なにせ俺だからな
データを入力して、そのあと艤装を最適化する、だいたい5分で終わるからその間だけは立っていてくれ
そのあとはもう気にしなくていいぞ」
俺は忙しなくタイピングしながらデータを収集し、それを青葉の艤装へ反映し続け
具体的には分解してパーツの寸法や噛み合いを微調整して
「よし、これで良いぞ、おめでとう青葉」
「……はい、創海鎮守府所属、青葉型重巡洋艦青葉、出撃します!」
そう一言だけ残して
ドックから出撃していく青葉
「はぁ……まさか進化した艤装じゃなく、普通の青葉の艤装で行くとはな……」
てっきり青葉なら力を求めて進化型艤装を使って、何か別の存在に進化することを望むだろうと思っていたのだが、思い違いだったか
「まぁいいだろう、行ってこい''青葉''」
「……はい、
異様なほどにするりと動く艤装に、いっそ気味悪さすら覚えながら足を動かす
「どうも!青葉型重巡洋艦1番艦青葉です!トラック諸島方面へ進出して、
中部太平洋作戦を支えました。
従軍作家さんも乗り込んで青葉のスタッフの仕事ぶり
を取材したことも。最期の時は、呉の港で。
動かす油もなかったけど、青葉、頑張りました!」
いまの自分にできる最大限の笑顔で
それらしく敬礼して、すぐに戻る
席を譲った先に出てきたのは
見慣れた紺青のセーラー服に赤いスカーフをつけた茶髪のいかにも明るそうなかわいい美女
とっさにカメラを構えかけてやめて
その直後に彼女がポーズを取った
ああもったいない!カメラを今からでも
「高雄型重巡洋艦、3番艦の摩耶様だ!
姉貴達とはカッコが違うからわからなかったか?……なんてな!初めて見たやつは大概そういうんだよ
それと、この青葉はちょっと前に配属されたばっかりなんだ、ちょっと緊張してんのは多めに見てやってくれ!」
「わっちょっと摩耶さんっ!」
パン、といい音を立てて背中をはたかれて
一瞬姿勢を崩して、これもまたすぐに立て直す
「もう!やめてくださいよ!
私あんまり姿勢制御得意じゃないんですよ!」
「そう?そりゃ悪かった
じゃあアタシが支えてやるよ」
ホレホレーなんてふざけた声と一緒に
摩耶さんが私の後ろに回り込んできて
一瞬で視界を塞がれた、それと一緒に首から後頭部にかけてその……ひどく傷つく感触
「おっきいです!当てないで!やめてくださいおっきい!このなんでこんなにおっきいんですか!」
「お……おお……こりゃ生まれつき
というか高雄型の宿命なんだろうさ」
おっきいおっきいと連呼したからか
ちょっと恥ずかしそうだけど、私だって傷ついたんですからやめてあげません!
「じゃあ摩耶さんのスリーサイズを公開しましょうかさぁ、マイクの前で丁寧にはっきりと発音しましょう!」
「できるかっ!」
ちなみに、このあとちゃんと謝ったら許してくれました
「……なにやってんだよあいつらは……」
緊張してやらかしてもそれをネタにできるように摩耶がフォローを入れ
もはやコケることはないと判断した青葉が摩耶に爆弾をぶん投げて、自分で喰らったってところか
「すぐに自称フェミニストから文句が来るな……」
電話対応のために内線電話の着信転送を用意しながら、俺は油と煤とニスのひどい色合いでグラデーションを描いている手を洗うのだった
600話記念番外編は
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テンプレ転生者(ヘイト)
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ストーリーを進めよう
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……