戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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提督の直感

「青葉、お疲れ様」

 

挨拶が終わったあと、私は神巫()()に頭を撫でられていました

 

「いやあの、私はなにをしたというとその」

 

「被害者も出なかった、鎮守府の床も大したダメージはない、深海棲艦の出現もあったし、その方面の被害で話を終わらせることができる

connectの件は俺ではどうも言えないから当局に言うしかないが、それでもやっぱり悪くない結末だ」

 

提督はどこまでも優しくて

私に責任を問わないと言ってくれた

 

「で、でも!」

「なにか言いたいことがあるなら言ってみろ、俺が直接答えてやろう」

 

それはおかしい、と言おうとして

んん?と茶化したように聞いてくる神巫提督のせいでなにも言えなくなってしまった私は

そのままだまりこんで

 

「hay提督!それは納得いかないヨー!」

「……金剛か」

 

「そうね、流石に『なにもなかった』では済まされないわ、提督の人徳や対応がどうあれ

鎮守府に被害が出て、客も避難をさせている以上は大型になる、その中でその子……青葉の責任を問わないわけにはいかない、それが軍隊というものではなくって?」

 

「ビスマルク…」

「悪いが今回は私も同意見だ、人的被害がなかったとは言え、深海棲艦を呼び寄せ、人を危険に晒しただけではなく提督自身も危険に晒した

そこは如何ともし難いだろう」

 

他の艦娘達の総ツッコミを受ける提督を見た

「長門まで?……他に不満のあるものは?」

 

「ここに、私とアトランタも不満よ」

 

「ゴトランド……おまえどこから来たんだ?」

「もちろん、甲崎鎮守府からよ!

ちゃんとセレモニーにも参加してたわ」

 

「…………」

「私も、さすがに責任を問わないわけにはいかないと思うわ」

 

加賀さんも他の艦娘と同意見だ

 

「もちろん、責任は問うよ

その必要はある、それは確かだ

でもまずは理由を聞こうと思う

必要だからそうしたのなら、必要である理由があるはずだ、俺を殺し、connectを使い、深海棲艦を呼び寄せて鎮守府の壊滅を狙うほどの理由が

 

青葉、話してくれないか?」

 

「…………それは…………」

 

ちらりと、神巫提督に視線を送って

自分の胸に手を触れる

 

そう、外科手術で盗聴器を体内に埋め込まれている私には、もはやそれを悟られずに伝える術はこれしか残されていないから

 

「……テートク、こいつ殺して良いデスカ?この後に及んでテートクに色仕掛けしてマスよ」

 

「……いやそれは意味ないってことくらいわかっていると思うんだけどな……」

 

2人は気付いた様子はない

筆談?……ダメか

 

手旗信号?手話?

そもそも神巫提督がそれを受け取れる?

 

ダメ、もう私には何もできない

ごめんね、みんな

 


 

(大体予測はしていたが……)

 

十中八九、皮下あるいは眼球の裏やもっと深く体内に盗聴器・発信器が設置されている、ということだろう

 

とはいえ、うかつにそれを本人に問いただすことはできない

 

(差しあたってはまず

青葉に重傷を負わせるか)

 

俺が考えた策は

①まず突然の深海棲艦の攻撃で重傷を負った青葉を搬送②鎮守府の医務室あるいは病院の設備での電波探知と装置の摘出③ダミー人形に埋め込んだそれを逆に利用して犯人を暴き出す

という3ブロック構造の作戦なのだが

位置や詳しいスペックを把握することもできていない現状、青葉に安心できるようなメッセージを送ることもできない

 

そもそもその発信器に致命的な機能が(例えば爆破であったり酸による自壊であったり)が仕込まれていた場合

それが青葉を損害を及ぼしかねない

 

「青葉が何隠していることは最初から分かっていたけれど、それを積極的にどうこう、というのはしていなかったからな」

 

なにが『事情』なのかわかればなんとかできるかもしれないが、青葉から直接確認が取れない以上

どうすれば良いのやら

 

「……まてよ……!」

 

その後、俺は一旦青葉に謹慎を言い渡してガングート・ゴトランド・フレッチャー・アトランタ・サラトガ・ビスマルクの6人を別室に呼び出し

 

「外国籍艦娘のみんなに協力をお願いしたい

これは我が鎮守府の青葉、ひいては以前青葉が所属していた大湊第四の問題に通ずることだ」

 

「……説明をどうぞ」

 

俺の説明に口火を切ったのは意外にもフレッチャー

 

「私たちはここに所属する以上、できる限りの協力は惜しみません

私たちはここ(日本)からすれば外国の艦であり、同時に敵国の艦

それは事実であり、揺らぐことはありません

ですが私たちは日本の鎮守府に所属する艦娘であることには変わりない

非合法的な行為を要求するつもりなら、その一切をお断りさせていただきます」

 

毅然としたフレッチャーの言い様には感動するが、それはそれとして違法スレスレな行為であることには違いない

 

「大本営への潜入、それと

とある艦娘の救出だ」

 

「救出……?」

「そう、おそらく青葉の同僚の艦娘

そのなかの一部が大本営に拘禁されている

青葉本人から直接確認できない以上、この話はまだ憶測の域を出ないがね」

 

問い返してくるビスマルクにさらに詳しい情報を語り始める

 

「俺が確認した時、青葉はコネクトを持っていなかった

指輪一つならともかく、注射器を持って隠し通すのは非常に難しい

薬液が漏れないようにするためには落としたりもできないし、刺して使うんだから衛生にも気をつけなきゃいけないからな

だから、コネクトを使った時点で外部協力者がいるのは明白だ」

 

「で、それが何故大本営に繋がるの?」

「そこだ!大本営には内通者がいる

深海棲艦と繋がっている881研究室と、そこにつながる裏切り者達だ

元が無能の鎮守府だとしても、将官クラスにもつながりがあった鎮守府

その壊滅後の艦娘を大本営で引き取ってもおかしいわけではないよな?

そこから検診や手術といった医療措置があっても、再配置があっても」

 

「まさか!」

「そこで治療と称してなんらかの盗聴・発信器の類を体内に埋め込んでも、おかしくはない

青葉を尖兵として送り込んできたのはおそらく、俺が881と戦っているから、その経緯を鑑みて

この鎮守府解放に大問題……それこそ鎮守府の壊滅を視野に入れたものを起こして

艦娘を減らす、そんで俺を処刑する

深海棲艦と繋がってる881は危険人物を減らせて万歳、どこぞの将官は高練度の艦娘を手に入れられて万歳、深海棲艦は沢山人を殺せて本土に地上基地を作れて万歳、まさに3方良しだ」

 

俺の吐き捨てた最後の一言に驚愕の表情になるフレッチャーと、いつものボケっとした表情を崩さないアトランタ

 

「それで、私たちはなにをすれば良いの?

流石に大本営には強襲仕掛けるわけにもいかないでしょ」

「未計画、まだどうにもできない

ここから作戦を練るんだ……でも一つ骨子がある、『外国籍の艦娘は建造後に必ず大本営で承認を受ける』という規則だ

 

まぁ形骸化しているし、ドイツ艦のビスマルクとかは無視しているケースも多いんだが、大戦中の敵国であった米・英・ソの艦娘は本当に『必ず』だ

だからこのなかの1人もしくは2人を建造したことにして、その1.2人を大本営に連れて行く

そこからは潜入作戦だ

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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