「……君は、今日来ていたガングートの提督かい?」
「はい、横須賀第一鎮守府麾下、第」「そういうのはいいよ、どうせ知っているんだから……さ、神巫蒼羅大佐」
にこりともせずに言い切るその女性
間違いない、時雨の退役艦娘だ
「……」
「ボクは君のところにいる時雨と同期の『時雨』でね、かつては頻繁に連絡を取っていた中でもある……5年ほど前にそれが唐突に途切れた
書類によれば前任のロス提督の死亡後、甘粕提督が着任してからだ
そして甘粕提督は現在も離任したという告知はなく、なぜか技師として着任したはずのあなたが提督を名乗っている
これは……おかしいとは思わないかい?」
「それは極秘としか言えません」
「そう?まあいいよ
ボクはそこに対して推論を立てている
①提督の退任を隠蔽したのは深海棲艦による襲撃で鎮守府が壊滅したから
②艦娘に対する不適切な扱いが発見されて更迭されたから
③何某かの権力者と繋がっていて、不祥事を起こしたという事で消された
大方この三つだと思う
でも、おかしくは無いかい?
なんで技術者が提督になるんだい?」
「一般人の中にも妖精知覚者はいます、自分もそうというだけです」「ふぅん?……姫級や連合艦隊レベルの大戦力をここ一年以上跳ね返し続けた紛うこと無き名将が、たまたま?」
「偶然です」
あくまでも姿勢を崩さない俺に痺れを切らしたのか、『時雨』が俺に手を伸ばす
「ボクは動きたく無いんだ
ボクをここから動かさせないでくれ
さもなくば君のことを調べに行ってしまう」
「直接的な脅迫ですか、情報開示請求くらいしてから言って欲しいことです
……瀧細石一級艤装技師」
「ボクをそう呼ぶな」
「瀧技師」「……ボクを……」
「瀧さん、もうやめませんか?
始まりの艦娘である氷雨先生も戦いに倦んでしまった、鳳翔さんは艤装も体も真っ当じゃない
第一世代の艦娘はもう引退時期どころか肉体が限界に来ているんです」
「黙れっ!ボクは下がらない!ボクはここから動かない!」
瀧さんは勢い強く宣言する
しかし、それはもう不可能に近い
「あなたは引退時期を通り過ぎてまで戦って、艤装完全破壊状態に陥ってしまった
そうなるともはや艦娘としての性能は死んだにも等しい」
「ボクはいつかボク自身の艤装を直して見せる、そしてこの戦いの始まりとなった者として、この戦いに決着をつける!死んだ足柄さんの為に、花油提督の為に!それがボクの技師としての目標だ!」
普段の落ち着きすらもかなぐり捨てた瀧さんが叫ぶ
「不可能だと言っているんです
それが可能なら、とっくに海は取り戻されているんだ、始まりの長門さんの事を忘れたわけじゃないでしょう」
「だがボクは長門とは違う!
あんな原型も止めない鉄クズになるまで壊されたわけじゃない!」
感情を剥き出しにする瀧さんと
その瀧さんを引き止める俺
「はぁ……一旦落ち着いて、最初からその話じゃないんだ、
話を戻しましょう」
「……くっ……まさかこのボクがここまで言いくるめに弱いなんて……」
うちの時雨とそっくりな台詞を吐きながら天井を仰いだ瀧さんに視線を合わせて
ゆっくりと一呼吸、そして
「……一級艤装技師としてのあなたに、お願いがある」
「お願い?それは何だい?」
「いえ、ガングートとゴトランドの艤装調整を少し長引かせて欲しいのです、
ちょうど同時期に建造されて一緒に連れてきたジャーヴィスが迷子になってしまったようでして
ゴトランドはジャーヴィスの事を大変気にかけていましたから
余計な心配はさせたくないんです」
俺は適当に嘘をついて
探索のための時間の引き延ばしを要求する
ついでにジャーヴィスを探す名目で大本営の奥に立ち入る理由をもらうためにもだ
「……なるほど、わかった
少しだけだよ」
「お願いします」
「君が提督としての技量に優れていることは分かったけど、技師としての技量はどうだい?」
「俺は二級ですから、瀧さんの方が上ですよ」
「じゃあボクがガングートの艤装を調整する方が自然な流れか……いやでも、自分で調整するんだろう?」
猜疑的な目線を向けてくる瀧さん
たしかに自分で調整するとはいったがそれはそれ、ジャーヴィスがいないから探さなきゃいけないの一点張りで通す
「ウチの子が迷子になってしまったので、ああ言った手前ですがお願いします」
「……仕方ないな、うん
わかった、ただし30分だ、それで連れ戻したまえ……さぁゴトランドを呼んでくれ
彼女の問診を始めるよ」
「わかりました、よろしくお願いします」
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