「はい、今回の質問役は私、大淀が務めさせていただきます」
「……で、これになんの意味が?」
斜めに向かい合うパイプ椅子に座った俺と、反対の椅子で澄まし顔の大淀
「艦娘達の提督に対する疑問、質問をまとめて書面にまとめましたので
提督からその回答をいただこうという企画です」
全く意味がわからない
「……はぁ」
「とにかく、質問はこちらにまとめてありますので、一つずつお答えください
では一つめ、艦娘との距離感についてです」
「…………距離感については適正を維持しているつもりなんだがな……」
「ここにはそう書いてはありませんよ?
さて、まずは……吹雪さんと提督の距離、ですね」
大淀が書類バインダーをみながら
戯言をほざくのを横目に思案する
「距離と言われても、物理的な話か?」
「……そう思いますか?」
どろりと濁った瞳が眼鏡越しにこちらを見つめてくるのに怯んだわけではないが
こういう答えが欲しいのだろうと思考を切り替える
「……まぁいい、俺の考える吹雪と俺の適正距離は『1メートル』だ」
「理由は?」
「1メートル前、その距離はすぐに手を伸ばせる距離だ、向き合うでも同じ方向を向くでも、どうにせよすぐに捕まえられる危険を排斥した至近距離」
「……なるほど、では
蒼龍さんの距離はどうでしょう」
「蒼龍、か……そうだな、さっきの例えで言うと『隣り合って50センチ』かな」
「近いですね」
「怖いぞ大淀
別に意味があるわけじゃないんだがな、50センチなら片方が手を伸ばせば触れられる距離
お互いに気兼ねなく接せる最低距離だ
……縁側に座って一緒に月見団子とか食ってるような距離感だな」
「蒼龍さん可愛いですもんね
……ふん」
「大淀も可愛いぞ?いやそれは良いか
次は誰だ?」
「鈴谷さんです」
「……3メートル以上」
「露骨!?やけに遠いですよ!
なにか仲悪いんですか!?」
「いや、別に悪くはないよ、ただ
近い距離で歩いているとほぼ確実に警察がイカした腕輪持って話しかけてくるってだけだ」
「円光……3万……あぁ(納得)
次は赤城さんです」
「そうだな、『俺から見て数メートル先』かな……」
「なんだか遠いですね、数メートルって抽象的ですし」
「いや、すぐ捕まれられる距離に保つ必要はないからな、赤城さんなら前に行っても問題ないし、怪我をしたりなんかの罠にかかったりしても絶対に帰ってくるって確信してるんだよ
信じられるからこそ遠くて良いんだ」
「綺麗事ですね……」「うるさい」
「じゃあ次、瑞鶴さんです」「50センチ正面、向き合う形」
「即答ですね?」
「あいつは顔みてないと落ち着かない、そそっかしいところがある
でも姉譲りで芯もあるからな、怪我したりして本心では泣きそうでも気丈に振る舞っちまう
だからしっかり表情の見える位置に居たい」
「……なるほど、では次の質問です
艦娘達との結婚についてです」
「…………」
「提督は鎮守府所属のほとんどの艦娘とケッコンしていますが、もし退役したら
本当に結婚なさるつもりはありますか?」
眼鏡を少し下げて、上目遣いになった緑の瞳がこちらを見据える
「……現状ないよ」「は?」
「だって結婚って1対1の間柄だぜ?
日本じゃ一夫多妻は認められてない
だから退役して艤装解体して人になってもそれで御成婚とはいかないな」
凄まじい殺意を滲ませる瞳は真っ直ぐにこちらを見据えているが、それはそれ
たとえ大淀に刺されたとしてもそれに別に構いはしないが、結婚艦とて扱いは器物
人ではないし、日本憲法は適用されない
だからこその多重婚なのだが、これは退役、解体後の扱いにも響いてくる大きな問題でもある
「だいたい、ケッコンカッコカリの制度について詳しく見たか?書いてあったはずだろ?
重婚は自由だけど、単婚以外は退役後も関係を継続できないって」
「うっ……」
「だからその問題はもう終わりだ、次はなに?」
「えっと……3つ目は
提督の好きな髪型です」「黙秘する」
「ダメですっ!黙秘はできませんっ!」
異様な気迫を感じる大淀がついに椅子から身を乗り出した、このままでは首でも絞められそうな雰囲気だ
「……黒髪ロング、それは良いものだ……」
「私ですか、わかりました」「別に大淀に限定したわけではないが
個人的に好きなのは黒髪だな
俺から言えるのはそれだけだ
でも別に黒髪限定なわけじゃなく、その人に似合ってればそれで良いと思うぞ
阿武隈みたいに真似し難い髪型の人も珍しいわけじゃないし」
「……なるほど、ではそう言うことで
ちなみにこの会話ですが」
大淀は視線を俺から逸らして
「鎮守府全体放送で生放送されています」「はぁぁ?!お前この……やってくれるじゃねえかこの野郎っ!」
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