戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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番外話 金剛(型)と

「……で、これはどういうことなんだろうか」

 

水族館に入って、すぐの大水槽を泳いで行く小魚の群れ(おそらく一般海水魚)

細かな区別は一瞬ではつけられないが、

そんなことより

 

「気にすることはないネ」

「はい!お姉さまのいう通りです!」

 

私服で俺の隣を歩く金剛と……(改二の)制服姿で俺の後ろをついてくる比叡

 

「まぁちょーっと合流が早すぎた気がシマスけど、それはそれデース」

「……」

 

ちょっと混乱したが

つまり金剛の立てた予定ってのは……

金剛と比叡の二人を相手にした両手に華状態での針の筵デート……。

 

いやあまりにもそれは苦しくないだろうか?

自分ちょっと遠慮したいです(本音)

 

「はい比叡、黙らない!」

「は、はい……その、私こういうところに来るのは初めてで……なんと言えばよいか……」

 

「別に無理をしてコメントを捻り出す必要はないよ、いわば息抜きなんだから

自分にとって容易い楽しみ方をすれば良い」

「Yes……と、そろそろ」

 

「はい、お姉さま」「おう」

 

金剛と比叡を連れて

というより、比叡を連れた金剛について行く感じで移動する

奥の大水槽は鯨などの大型の海洋生物がいるようで、比叡はそのサイズ感に押されていた

 

「……金剛型の艦体の方がデカいだろ」

「!」

 

思わず呟くと金剛に無言で頭をペシっ!と叩かれてしまった……なにか金剛的にはバッドな要素がある一言だったようだ

 

「女の子を相手にデカいとか重いとかその手の単語はNo!なんだカラ!」

「……アッハイ」

 

「あ、提督見てくださいよ

こっちの筒みたいな水槽、クラゲですよ!」

 

とてとて、と走って行った比叡は

少し離れたコーナーに設置されていたクラゲの水槽に触れながら視線を注いでいた

 

「クラゲか……水母棲「No」……」

 

「クラゲはクラゲ、水母棲姫とはなんの関わりもない、OK?」「OK」

 

どうやら金剛的には仕事の話は一切NGらしい、俺と比叡って正直に言ってあまり仕事以外では関わりがないのだが、それでまともに会話が成り立つだろうか

 

「クラゲの足って実は本数が時々変わるらしいぞ」

「え?そうなんですか?」

「食われたりちぎれたりで足の本数が減ったり、逆に過剰回復で半ばから分岐した複数の足になったりして」「ちょっと!もっとロマンある説明にしてくださいよ生々しい」

 

「え?ダメ?」

「グロいのはダメです、私」

「初めて知った、ごめんな比叡」

 

苦労して話しかけてもこの程度で終わってしまった、やはりあまり趣味の合うタイプではないらしい

……いや流石に選んだネタが悪かったか

 

「じゃあイルカの話にしようか

やつら実は人間並みの知能があってな、言語を理解してる説が濃厚なんだと

おかげで今後海が全部の陸を覆うくらいになったら地球の覇者はイルカになるって説がまことしやかに囁かれている……似たようなことをイカでも聞くけど」

「それ私たちが負けた後の話じゃないですか、そうなったら深海連中が覇者ですよ

んでそんなの絶対御免です

……あ、次どこ行きます?」

 

「金剛、どうする?」

「深海魚コーナーとか貝みたいなのとかもあるみたいですケド 

個人的には熱帯魚の方見たいネ」

「じゃあそこにしましょう」「じゃあそこにしよう」

 

「ちょっとなんで被せるんですか提督!」

「被せてない偶然の一致だ……それにもう少し静かに」

 

あまり客はいないが、流石に水族館で騒ぐというのも常識的に良くない

声を抑えるように言いつつ

そっと比叡の手を引いた

 

「この辺が熱帯魚コーナーらしいんだが……」

「やっぱりディスカスとかカクレクマノミとかいるんですかね」

 

「カクレクマノミとかよく覚えてるね」

 

俺が問い返すと、比叡は笑って

「いえ、覚えてるのはそれくらいですよ、それにこの体の素材になった子の記憶です

魚大好きだったんですね、ほかにもいくらかの記憶が浮かんできた気がします」

 

目を閉じて胸に両手を添える比叡

薄暗い水族館で見ると、普段の明るくボーイッシュな印象は薄れて

むしろ神秘性を伴って見える

 

「……そっか、いつか名前も思い出せると良いな」

「……はい!『比叡』だけじゃなく、いつかちゃんと退役して、艤装を解体してもらって

人間としての名前をもう一度、名乗りたいです

私に体をくれた、この子の為にも」

 

「湿っぽい空気は良くないヨー?

比叡はその夢、叶うと良いデスネー」

「はい、お姉さま」

 

「比叡姉さん、この霧島も

その夢を応援させていただきます」

「みんな……ありがとう!」

 

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

「…………」

 

「「「霧島っ!?」」」

 

「はい、霧島です」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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