「あーあ〜……暇だぁ〜」
「もう、瑞鶴?そんなことを言わないの
海上警備だって私たちの立派な仕事よ?
私たちがいると言うだけでも、一般の方からすれば安全の保証になるのだから
安心の象徴としてこの場にいる私たちがそんなに怠けた様子では困るわ」
だらけた瑞鶴に翔鶴がお小言をかけて
話を打ち切る
たしかにここ最近は特に霊力密度が下がったせいか、大型の深海棲艦が攻めてくるような事はなく、出てきても駆逐潜水軽巡が良いところ
基地型や鬼・姫級どころか戦艦すら無い
こんなところで油を売っているより遠征なり外部海域調査なりに出た方がよほど実入りがあるだろう
「駆逐艦の山風だって最近改二したって言うしさ〜……やっぱ繋がりは切れてないみたいだけどぉ……」
「山風ちゃんは周囲に構われている環境が自分に合わずに実力を発揮できなかったと言うことでしょう、提督が居なくなってフォローが掛けられなくなったからこそ発揮された実力がそれと言うことです
それに瑞鶴はもう『改二甲』まで発現してるじゃない」
「でもさぁ〜……」
どこまでも不満顔の瑞鶴と
それ以上応えるつもりのない翔鶴
対照的な双子の姿は、日が暮れるまで水面に写り続けるのだった
同日、鎮守府正面海域にて
向き合う二人の艦娘の姿があった
「戦闘訓練……?」
「はい、秋津洲さんは戦闘力が低いので、戦闘になった場合に真っ先に沈められる可能性が極めて高いです、なので最低限生き残るための戦闘力を得なければなりません
そのためにこの訓練を実施します」
いつもの笑顔で非戦闘タイプを相手に戦闘訓練を宣言した鹿島に対して
自分の得意不得意を自覚している秋津洲(薬は抜けた)が叫ぶ
「えぇ?!戦うのかも?!」
「まぁほとんどないとは思いますが
現に航海練習艦の私が実戦に出ていますし、秋津洲さんにはないとも言い切れません
その時に困りたくはないでしょう?」
「困りたくはないかも……」
この後、練習艦でありながら戦艦並の戦闘力を発揮して戦うことのできる鹿島が非戦闘タイプの秋津洲を扱き回している光景は今後しばらく見られることになるが、あまり成果は上がっていない
「かも〜〜っ!!」
「甘い!」
鹿島曰く、いじめではなくあくまで訓練であって他意はないらしい
「……よし、大丈夫」
ちょっとだけ気合を入れて
大きく深呼吸する
「神巫大佐、おはようございます」
「五十嵐少佐、おはよう」
入室するや否や話しかけられて
返事だけを返して席につく
会議室はガランとしていて、空調も掛かっていない
それ自体には別に構いはしないが
もう会議開始時刻まで10分と言うところ
出揃っているのが二人だけというのは少し困る
足並みが揃わないというのはよくない
士気が低く見られるだけでなく、相互にフラストレーションを溜めてしまったり
空気の悪化の原因につながることも考えられる
「……待つか」
会議開始の時刻には全員間に合ったようだが
皆なぜか疲れたような顔をしていた
「ではこれにて会議を終了とする、解散」
解散を宣言した議長が席を立ち
自分の後ろにあった扉から出て行く
それを皮切りにして皆が会議室を離れた
「……では、これから提督会議を行う」
「お願いします」「お願いします」
俺と残り2人の提督が部屋に残り
俺は再びの会議開始の宣言を行った
「まず、前議題への試みに対する応答の報告を」
「はい、私の管轄していた水蓮鎮守府への連絡はいまだ途絶していませんが
艦娘たちの応答態度は日に日に悪化しています、様子としては
思想の先鋭化、行動の過激化が挙げられ、『提督のため』の名目で大本営への反乱の意思と見られる言動がなされており
『大本営を爆破してても取り返す』などの発言から最低でも既に計画段階までは行われているものと思われます」
「厄介だな……」
「はい、あの子たち自身を考えれば悪い子達ではないのですが……いかんせん提督不在の状況が長く続いてしまった事で非常に強いストレスがかかっているようで……」
「暴動、暴走の可能性……か
『大本営』の名に反して大本営の有する戦力はそう大きくない、日本最高戦力は横須賀第一〜第三の鎮守府に駐在する機動部隊と連合艦隊だ
大本営にも程近いとはいえここは役所、到底戦闘に向くとは言えない
暴走した艦娘が正面から攻めてくるとしたら」
「しかし、横須賀を動かしたら!」
「十中八九全滅、全員轟沈だろうな」
あまりにも自明、普通の艦娘とは次元の違うバケモノ共の巣窟と化している横須賀の艦娘が出てくれば指揮官不在の暴走艦隊などものの数ではない
「アンタだって反逆因子の原因と見做されて処刑、って可能性もあるのよ?」
「……どころか派閥全体に責任を波及させようとするものも多いだろうな
道具派や兵器派は鬼の首を取ったように喚くだろうし」
「どうしましょう……最近は戦線が落ち着いて提督の離職率もガン上がりしてますし
今更大本営も離れられませんよ!」
「だろうな」
「馬にハマる人も増えてるらしいし
末法の時代というやつかしら?」
喧々諤々というわけでもないが
その後も似たような話題が続く
幸にして俺の鎮守府では大した問題は起こってはいないが、それも時間の問題というところだろう
「……まず、中佐は水蓮鎮守府に帰って情報を収集してくれ」「無理ですよ帰ってこれませんよ!?」
600話記念番外編は
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過去編軍学校
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過去編深海勢
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裏山とかの話を
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テンプレ転生者(ヘイト)
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ストーリーを進めよう
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……