戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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バーニングソウル!

歓迎会もそろそろ終わりだ

潜水、海防、駆逐艦の子達は一部を除いて意識が薄れて来ている、軽巡たちもそろそろ眠そうだ

 

重巡や雷巡、戦艦空母達大型艦に分類される艦はまだまだといった様相だが

鳳翔さんも間宮さんも疲れが見える

そろそろお開きで有志で二次会とした方が良さそうだ

 

「じゃあそろそろ解散としようか」

提督ナイスだ

「じゃあ片付けは自分が」

《いやいやいやいや》

みんなで否定しなくてもいいと思うんだ

 

「主賓が片付けとかありえないでしょ」

「流石にそれはないと思うぜ」

「僕もそれは無いと思うよ」

 

「えー?ダメ?」

 

《ダメ》

 

あららー、、ダメかぁ、、

「じゃあ俺は眠そうな子達を寝かしつけに行きますよ」

「うーん、、それもグレーなんだけど、、」

「本人がこうも働く意欲に溢れてちゃあ、、ねぇ?」

 

「じゃあ行って来ます」

 

「僕も手伝うよ、それなら問題ないでしょう?」

時雨、、ええ子やぁ

 

「よし、頼んだ時雨

まずは陽炎型だ」

「了解だよ」

 

そうして、駆逐艦達を送り届けたあと

数の少ない海防艦と潜水艦をそれぞれの部屋へ送り、悪ノリして来た重巡や戦艦をお姫様抱っこでベッドへ投げ込み

 

絡んで来た空母を正気に叩き返して食堂の片付けをやらせる、、ここまで終わるまでに一時間かかった

 

時刻は夜10時、そろそろ眠るくらいの時間、、だが将棋上がりは易くない、寧ろここから先は書類タイムとして覚醒する時間だ

 

働かなくては、、

「三鷹提督!残っている書類はありますか?」

毎日のようにやってくる山のような書類を捌くための準備を整えた俺は

「いや、ないけど」

という一言で撃沈した

 

「無いんですか?本当に?!」

「うん、、というか君本当にずっと書類まみれだったんだね、表情が鬼気迫ってるよ」

 

「そりゃあもう!頑張ってましたから!」

「取り敢えず今日は書類もないから

明朝7:30から書類の整理を頼もう、よろしく」

 

「了解しました!よろしくお願いします」

 

そして、俺は仕事がないのをいい事に

工廠に潜り込み

 

「んびゃぁー!メンテだー!メンテがゆっくり出来るぞー!」

久しぶりのメンテに沸いていた

 

もちろん頭ごと

 

俺個人で沸いている訳ではないが

そう、隣で

「お手並み拝見です!」

 

と燃えている明石、夕張がいるのだった

修理を得意とする工作艦ならまだしも、兵装実験艦である軽巡級の夕張はそろそろキツイだろうに

 

「明日起きろよ?」

「もちろんです!」

「ならよーし!」

 

うん、俺の頭も大概ぶっ飛んでるな

一旦頭を冷やそう、、、

よしOK

 

頭も十分に冷えた、計画も練った

十分だと俺の直感(偽):Aが囁いている

 

「見せて貰いますよ!大本営の技師の実略とやらを!」

「それは赤い人のセリフ」

「私赤いですから!」

 

「いや君は明石であって赤い訳じゃないから!」

「じゃあ私はメロンですか?」

 

「うるさい、君は少し前のライダーのごとく弟に裏切られたいのか?」

「私に弟なんて居ませーん!」

 

ひたすらに言い合っているが、、なんだか内容が不安だ

「なんか変な方向に進んでますし

さっさと本題に戻りましょう」

「そうですね!じゃあよろしくお願いします」

 

おまえらは全く、、なぜそんな時だけ思考を噛み合わせる

 

 

「まぁいいか」

俺は座り込み、半径1メートル半ほどの円を指定する

「俺が作業中に質問をしない、この中には入らない、良いな、コレが俺の出す条件だ」

 

「わかりました!」

「はいっ!夕張にお任せください!」

 

威勢十分な返事と同時に

俺は息をつく

 

「ふぅ、、はぁ、、よし!」

 

空工展開

 

一級艤装技師の基礎技能とされているが

二級でも上位の人しか保持しないとされる技能

 

「すごい、、」

「コレが艤装技師、、」

 

ふふっ、、すごいだろう?カッコいいだろう?

笑いながら俺は艤装に手をつける

 

第1段階、分解だ

 

ビス、ボルト、溶接ビード

さまざまな接続を解除して、時に物理的に破壊して

艤装を開く、そもそも溶接はビードを削らないと外れないので、そこは仕方がない

 

バラバラにしたパーツを

サイズや位置などで細別し、識別標識をつける

そして、

識別標識をつけたあと、

めぼしいものを測定する

 

うん、、前長よし、重量過少、、?

しかしパーツは公差内、、まさか!

 

「このパーツは破棄だ!」

兵装構造設計図(ユニットメイク)にマーカーで印をつける、、もちろんコピーだぞ?

 

「何故ですか?今のパーツはみたところ問題は無かったようですが」

 

「サイズはな、、」

「では何故」「ボイドだ、、」

 

ボイド、それは金属の鋳造時にどうしても発生する材料不良の一つで、金属内部に空洞ができてしまう

当然質量も密度もガタ落ちするため

図面表示より強度が落ちる

 

そんなパーツを使わせられるか

「でも交換パーツないよね?」

「作る」

 

「「はっ?」」

 

二人して驚いている、、?

何故驚くのかな?

「無ければ作る、当然の事だろ?」

 

 

「いやいやいや、、やっぱり技師さんは考える事が違いますわー」

「今のボイドに測定で気づくのがまずおかしいのに、、作るって、」

 

そんなおかしいかな?

 

俺は空工展開を解除して

パーツを作るための準備を始めた

 

メンテそのものはパーツ測定まで終わらせたが、組み立てができないため

一旦バラバラな状態で放置となる

すまんな、、今は許せ

 

脳内で呟く俺に応じるように

陽炎の艤装が、少し輝いたような気がした




陽炎のメンテでした!
のちにこの二人とは仲良くなるので!先行登場となりました!

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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