戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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デストロイストライカー

「ただいま帰りました」

「はい、おかえりなさい、提督」

 

普段なら逆なのだが、今回はこれで正しい

俺自身は出撃していないからだ

 

三鷹提督の帰還を見届けた俺は、即座に提督の椅子から降りて、三鷹提督を座らせながら、耳打ちした

「戦艦レ級、駆逐古姫率いる艦隊の襲撃を受け、残存メンバーがこれを迎撃、撃破せしめました、またレ級を捕獲しております」

 

「えっ?、、はぁ

君たちってのはなんでこうも規格外なのかな?普通レ級を捕獲なんて考えないよ」

 

表情は軽く、淡いが

口が開いているだけで笑っていない

 

大丈夫だろうか?

 

「いや問題はないんだけどね?

それより駆逐古姫から出てきたっていう彼女の方の話を聞こうじゃないか」

「おやおや、もうそっちの話ですか?」

 

レ級の尻尾にはぐはぐされていた彼女の事である、どうも彼女は駆逐古姫のドロップ艦らしい

 

え?この世界にはドロップがあるのかって?あるんだよ

しかもなんか理由までそれなりについてる、これが艤装に関係することだから、

技師科では習うんだ

 

 

曰く、以前沈んだ艦娘のなかでも生存している個体がいる、それが怨念の塊に汚染されて魂を穢された結果、深海棲艦になるんだそうだ

 

ちなみに、深海棲艦の能力は依り代と元によって上下するといわれる

依り代はなんでもいい

海底にある水や土の様な自然物以外の物ならなんでも、そこらへんの鉄の棒でもよし、艦娘の亡骸でもよしだ

元は怨念や悔恨、マイナスの感情

これは俺も実感した話だが、憎悪や憤怒の様な強い他者に向かう感情があればあるほど良い、

 

この総合的な質が深海棲艦の能力や級に大きく関与するわけだ

が、まれに艦娘の遺体に、その艦娘と同型の艦の怨念が宿ったり、極めて強い念を持つ魂が自身の艦娘としての亡骸に宿ったりして、超強力な艦として復活することがある、姫級や鬼級と呼ばれる者がこれに当たる

 

だいたい単独の念が同型艦に宿ることで生まれるため、その念を祓う事が出来れば深海棲艦から艦娘をサルベージ出来るんだ

それがドロップ艦、

 

まぁ深海勢の情報を聞き出したりは魂の汚染がどうこうで出来ないらしいが、それでも、要は姫級、鬼級を倒せばドロップする、つまり戦力が増やせるのは歓迎された

 

 

まぁそこまで戦力が払底しているって訳でもあるんだが

 

「おーい?聞いているかい?」

「あっ、すみません」

「いや、良いけどね、彼女を呼んでくれるかい?」

 

笑顔が怖いですこの提督

 

「大丈夫かな?、まぁ入渠も終わってるし、いいか、、

来なさい、神風!」

 

「司令官、私を呼んだ?準備は出来てるわ。」

「よし、入って」

 

入室許可を出す、

一応俺が呼ぶんだからな

「待たせたわね、司令官。

神風型駆逐艦、一番艦、神風。

推参です!みんな、いい?ついていらっしゃい!」

 

元気のあるいい挨拶だ、

「って、、あら?

私の司令官はどちらなのかしら?」

 

混乱してしまった様だ

「三鷹」「神巫」「「提督だよ」」

 

かぶってしまった、、

「「いやそちらでしょう」」

おや、まただ

「鎮守府着任時のルールは

サルベージした艦隊の所属する鎮守府の艦娘とする事になっていたはずですよ三鷹提督」

「撃破したのは貴官の指揮する艦隊、なら貴官に帰属するのでは無いのかな?神巫提督」

 

「ええっと、、」

「あっ、ごめんよ、さっき君が来た時は俺が提督候補として代理で指揮を執っていたんだ、本来の鎮守府提督はこちらの三鷹少佐」

 

俺はなんとか三鷹提督の方に誘導しようとすると、

「艦隊指揮を執る事ができるのはそこに着任している提督だけだ、だから間違いなく彼は先ほど、舞鶴の提督だったんだ

なら君の属するべきは神巫少佐の方だよ」

 

「しかし!自分は鎮守府を持っていません!屋根もない野山にこの少女を放り出すわけには行きません!なんとかここで引き取っていただきたい!」

 

神風の背中を押し出して三鷹提督に向ける

「それはその子自身が判断する事だよ

貴官は艦娘自身の決断を軽視するような人物ではないだろう?」

 

「ぐっ、、」

 

そして、

「あ、あのっ!」

オロオロしていた少女に、決断は委ねられた

 

「私は、神巫少佐について行きます!」

 

「ええっ?!」

「うん」

 

こうして、彼のお付きの艦は二隻に増えたのだった

 

「どうしてこうなる、、」

「鼎先生の方にも話をしておくから、問題はないよ、安心して行きなさい」

「はいっ!」

 

このイケメンと幼女は!

「ぬぉ、ぉぉ、、」

ガッ○ュのような呻きを上げながら、これからを計算する俺

 

夜のバイトもできない、ゲーム倒しも出来ない、酒飲みどもの制止もできない

 

経済が、、メンテに必要な経済が、環境が、、回せない

 

いやしかしこの子を放り出す訳にはいかない、クソッ!せめて俺に家があればこの子を連れ込むくらいはできのに!

 

鎮守府こそ俺の家スタイルを続けていた弊害か!?

[ねぇ?その言葉についてはすごく犯罪臭を感じるんだけど?]

[ごめん川内今は静かにしてて]

頭の中を高速で走り回る思考をなんとかまとめる、

 

どうする?どうすれば良い?

隼鷹ならまだ良いだろう

最終的には自分でなんとかできる技能もあるし、雨風の凌ぎ方くらい知っているし、そこらの居酒屋や何屋かでバイトでもできるだろう

なにせ彼女は空母艦、大学生くらいの外見である

 

そこへ行くと少、中学生くらいの神風はそうもいかない、駆逐艦ゆえの力不足はどうしてもあり得る、バイトだってそう簡単に受け入れてはくれない

 

俺が養う?どうやって?訓練期間の残り三ヶ月ならともかく着任までの空白時間は?

 

考えろ、考えるんだ、、

 

そうか!

 

「呉鎮守府で泊めてもらえばいいや」

そして、俺は考えることをやめた

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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