戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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リアルタイムでパラドックス

呉第一鎮守府に着任した俺は、恒例の提督挨拶終えて工廠巡りに来た所だった

 

「失礼しまーす」

「ん。?どなたかか

いらっしゃいましたか?」

 

初春型と思しき艤装を分解している技師がいた

みたところ三〜二級の腕前のようだが

 

なかなか以上だな、、

単純な技量のみならず、メンテされる側の艤装が喜ぶというなかなか難しい条件を満たしている

 

これなら使う艦娘も本来以上の技能を発揮できるだろう

(ていとくさん!はじめまして)

(おひさしぶりです、さっそくですが)

(じちょうをおぼえるのです)

 

妖精が騒がしいな、、

ってかおまえ酢昆布妖精か!?

大本営にいたんじゃないのか!?

(いどうしました)

 

ナチュラルに心を読むなよ…

(こーでぃねいたーですから)

お前はいつから目がおかしくなったんだ?

光の粒子を撒き散らす宿命を持った連中になるなんて…

正直ラクスよりフレイ派

 

(ふれいはしんでこそ)

(わたしのためにたたかって)

(しぬがよい!)

 

一人違うだろそれ

あと微妙にセリフ改変に繋がってるからな?意訳みたいなことするな

 

「まぁ、メンテ中に入ってしまってすまない

出直すよ」

 

「いえ大丈夫です、もう終わりますので」

 

ガチャガチャとボルトを締め終えた青年はこちらは向き直った

「はじめまして、鯉住龍太です」

「おぉ、はじめまして神巫蒼羅と申します」

 

お辞儀された、、最近俺が頭下げる方が多かったからちょっと新鮮だ

 

「鯉住さんか、、よろしく」

「ええ、よろしくお願いします」

 

頭を下げあったあとで、二人して座り

鯉住君は子日の艤装を分解し、俺は初春の艤装を分解する…おっとこの子改二発現してるな?

 

うっかり削らないようにしなきゃ

 

同型の艤装ゆえに工程も似通うのだが、俺よりも鯉住君の方が遅い……が

彼は凄まじい、なんというか

本来艦娘自身の意志の蓄積でしか増えない『力』が彼のメンテでは凄まじく活性化している

 

機械本体は変わらないがOSをバージョンアップしたような状態だ、稼働率は格段に向上しているだろう

 

彼も俺の方を見て驚いているようだ

俺はパーツ精度が異常に高いから設計上想定の通りの動きができるんだよなぁ…本来は時速35ノットで走れる快速艦でも実際は重量とか積載とかで速度は落ちるし

普通に走らせても機関の調子とかで左右されるから28〜32くらいじゃないかな?

 

そこを俺は本当に35ノットで走れるようにするわけだ、本来の力を出せるように詰まりを取ってるだけで、ブーストしてるわけでも改造してるわけでもないのだが

一段上の力が出るのは事実だ

 

まぁ結果俺がメンテした艤装じゃないと調子が出ないとか言い出す艦が出てしまうデメリットもあるが

ハマってしまう艦には事前に確認を取っているのが殆どだ

 

まぁ問題はないだろう

 

メンテを終えて、しばし待つ

彼は作業の精密性に優れているようだ

乱雑に置き散らかすでもなく、正確に同じ場所に工具を置いて、取ってまた置いている

 

挨拶から一時間程度でメンテは終わった

 

どうも妖精は彼にも見えているようで

時折彼の仕事を手伝っていた

はい、はいでコミュニケーションが済んでいたあたり、適合率は高いようだ

 

彼にも、もしかしたら艦娘の適合もあるかもしれない

もともと身内に艦娘がいたりしてれば適合する可能性は高いんだが

 

「「お疲れ様でした」」

(おつかれー)

[夜戦マダー]

(乙カレー)

(カツカレー)

 

何自然に混ざり込んでるんだ川内

お前の精神年齢妖精並みか?

 

[ひっどーい!]

[至極当然の反応だと思う]

 

その後、妖精にたかられて食堂に連行される鯉住君と川内に騒がれて困る俺という奇妙な二人組みが結成されるのだった

 

「側から見ては完全に

『互いに噛み合わない独り言を言ってる二人』ですからね」

 

と笑いあったのはいいが

その後、また活性化した艦娘と妖精にせっつかれてカツカレーを食おうとしてカツを食われる

唐揚げ定食を食べるはずが唐揚げがなくなる、となかなか悲惨なことになってしまった

 

まぁ楽しかったからいいか

その後は協力してあるだけの艤装をメンテしながら互いのメンテ技術を教え合い

互いの技術が再現不能である事を確認した

 

やっぱり鯉住君おかしい

なんで力の活性化が高まってるのか

理解できない、まるで理解できない

オラクル細胞でもないのに

どうやって活性化してるんだ

 

俺の方もおかしいと言われたが

何がおかしいだようか?たかが10000分の1ミリ程度の精度でパーツを組んでいるだけじゃないか

力が活性化なんてしないのに

 

んーん、、どうも方向性が違うようだな

 

鯉住君のメンテは

ボールの弾みが良くなる

俺のメンテはボールの掴み具合が良くなると言った所だろうか

どちらも遠くに届くようになるが

跳ねて長く飛ぶのと、

一投での飛距離が上がるのは違う

 

さて、互いのメンテの出来栄えは素晴らしいが、彼の技は余人に再現できない技能と言えるだろう

 

そんな技能があるなら俺も欲しかった

 

「俺は技師だったんだが

提督にならないかって強制されてな?全く人員が払底しているわけでもないのに専門外徴用とかやめてほしいんだが、、多分君も言われるぞ?」

 

「えぇ、もう言われてます」

 

「そうか、苦労したなぁ」

夜になって、初春と神風が呼びにくるまで

終始こんな感じで互いの技師提督トークが続くのだった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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