戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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インザフェイク

大本営にいた鹿島さんはおとなしかったのに

この鹿島、通称『姦』は

悪魔なのだ、正確には鹿島は大体いい子だが、中身がアレなせいでガワに影響が来ているというか

そういうことである

 

世にも珍しい記憶と思考を保ったまま適合している艦娘だ

それだけ魂が強かったということか

 

そんなベジータ(純粋な悪)みたいな事で意思を保つとは思わなかったし、外見は完全に鹿島だから他の鹿島との区別は口調でしかつかない

 

逆になぜ鹿島に適合したのかわからない

とりあえずどうにかしてくれ

 

side change

 

お久しぶりですね、先輩

 

もしかして忘れてしまったり?なんて考えてたわたしがバカみたい、

先輩がわたしのこと忘れるなんてあり得ない

だって先輩はわたしの先輩だもの

 

ごめんなさいね、先輩

最初にあった時、目があったあの日からずっと好きでした

 

他の女に取られたくなくって

ちょっと無理を言ったりしちゃったけど、先輩を女嫌いにする計画は成功したからいいですよね

 

技師として着任する予定だった先輩は、

わたしより一年早く卒業してしまうからわたしはついて行くこともできない

 

だからわたしは計画を立てた

悪い女に引っ掛けられれば女嫌いになる、女嫌いになれば

女だらけの鎮守府で孤立する

鎮守府で孤立する先輩を、外見も性格も変わったわたしが擁護する、桑崎エリカとしてのわたしは悪魔として振る舞い、鹿島としてのわたしは天使になればいい

 

わたし(桑嶋エリカ)が忌み嫌われても

わたし(鹿島)は提督を愛せる

 

先輩を傷つけるのは心苦しいけど、一年後にちゃんと追いかけて癒してあげるから、許してください

そう思っていた

 

艦娘に適合した時は驚いた

わたし自身の外見が可愛くなったのも、肌が驚くほど白くてすべすべなのも驚いたけど

思考が広がる感覚が一番驚いた

 

本当の鹿島がわたしに力を貸してくれた

愛する人を守るために、

愛する人を手に入れるために

わたしに力を貸してくれた、まぁ口調とかは、ちょっと意識して作った癖が出てしまったけど

ちゃんと会えたからには天使として、鹿島として振る舞おう

 

「先輩、これからよろしくお願いしますね?」

「だから黙れカシマ」

 

あぁん、随分嫌われちゃったみたい

 

見抜かれるなんて、どころか自分で正体を晒してしまうなんて失敗だった

 

でも、もうこれからは

意識して作った悪魔ムーブはもう終わり

ちゃんと私自身として、鹿島として

先輩に接しますから

 

これから(末長く)よろしくお願いしますね(大好きな)せ ん ぱ い♪

 

「うふふっ」

 

 

side end

 

「うおぅ、、ゾッとした」

 

謎の微笑みを浮かべた姦を見た瞬間に背筋が何かに舐められるようにぞっとした

 

相変わらずこいつは、、

 

[こいつが提督を 傷ツケタ女ネ]

 

ん?川内声変わってないか?底冷えするような冷たい声になってるんだけど

いつものお前のあったかい

落ち着く声はどこ言ったよ、?

 

[提督 カラダヲ代ッテ、、アイツヲ殺スカラ」

 

[殺すな殺すな、落ち着けとりあえず、ほら深呼吸深呼吸]

[ヒッヒッフゥー ヒッひッふぅー]

[いやそれラマーズ法]

[イイじゃん提督!それくらいやらせてよ!]

 

あっ声が戻った

 

「ん?なんだかいけすかない気配が…」

[こっちこそ殺意が湧く気配ガ…]

 

ちょっと待てぇ!」お前ら暴走しすぎ!

あと川内また声が変わってる!

 

[あっ、、ごめんなさい]

「ぅっ」

 

「まず姦、お前何?気配とか言い出して

どうした?」

 

「だって先輩から女の気配が漂ってきて」

「俺はメンテ技師だぞ?女(艦娘)の気配が染み付かなきゃおかしいだろうが」

 

艤装に四六時中接してるわけだし

その艦娘の気配がついてもおかしくない

むしろついてないとおかしいのだ

 

「先輩……ひどいです」

泣き目になるなお前、どうせ嘘だろ

知ってんだよ

女の涙にはろくな成分が入ってないってはっきり分かってんだよ!

 

[それ私に言ってる?!]

[お前も似たようなことしやがっただろうが!]

 

激論を交わす中

不意に左手が強く痛む

 

「っ?! なんだ?」

 

腕が引かれるような感覚

「どうしたの?」

[どうか…してるねこりゃ]

 

腕が引かれる、強く

 

海へ、深海へ、羽美へ

 

 

悪意が、呪詛が、声が聞こえる

 

『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』

『私と共に』『死ね』『死ね』

 

『海の底へ』

 

 

「これ は ヤバイ 」

 

そう、これは深海の呪詛

深海棲艦達の呪いにして讃歌

 

深海珠華の原初の音色

沈没した艦から発される死者の声

 

それは新たなる姫の誕生を祝い

人の終わりを寿ぎ

激動の引き金を引く天使の声

 

『六重ノ連謡ココニ成レリ』

『戦姫二、新ナル歌媛二祝福ヲ』

 

 

深海から、声が響く

俺の意思を塗り潰そうとする

深海の意思、間違いない

これは深海棲艦の思考そのものだ

 

「ぅ、、がぁ、!

俺の中に、、入ってくるなっ!」

 

自我が溶ける

昏い意思が俺の中に侵入して

意識という結晶を齧り潰して削っていく

 

[蒼羅!]

 

一瞬 姉さんの 声が 聞こえた気がした




時系列は空母棲姫覚醒の瞬間とリンクしてます

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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