。ケ咲イ狂テウ狂リルク   作:サボテンダーイオウ

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35『loverboy』

ファイside

 

なんとか建物の中に入らせて、休めるところも貸してもらえることになった。

天姫ちゃんの怪我に気付いた時には、一瞬くらっとめまいがしたけどそこはサクラちゃんも抱えているので何とか踏ん張った。でも、治療するときは少しキツめに包帯を巻いたから天姫ちゃんが涙目になったけど、戒めとしてオレは手を緩めなかった。

天姫ちゃんはオレが怒っていると感じとって「怒ってる?絶対怒ってるよね?」と繰り返し聞いてきたから「ううん、全然」とそっけなく返すと、しょんぼりと悲しそうな顔して、思わず抱きしめたい衝動に駆られたけどまたまた踏ん張ったオレ。

 

うん、色々な意味で疲れた。

 

色々騒ぎはあったけど、今のところオレたちには関係ないようなので気にしないでおこうと思う。でも、まー、色々と油断できないような場所だけどね。

 

「寝るとこ貸してもらえてよかったね、サクラちゃんも目を覚まさないし、小狼君も体調悪いみたいだし。……天姫ちゃんも無理しちゃったから」

「無理に抜くからだろ、バカ娘のくせして暴走一歩手前にまでなりやがって…」

 

あてがわれた部屋でオレたちはしばし休息することに。

サクラちゃんと天姫ちゃん、はそろって同じベッドに寝かせ、小狼君も疲れが出たのか、サクラちゃんに寄り添うようにベッドもたれかかって寝ている。モコナも天姫ちゃんの顔近くで寄り添うように寝ている。

 

眠る前の小狼君からことの顛末は聞いた。

天姫ちゃんの両目が紅くなって人が変わったかのように好戦的になったと。

あの神威君はできればお相手したくないタイプ。黒鋼でさえ手を焼いた相手だ。今頃天姫ちゃんと戦闘にでもなっていたらと思うとぞっとする。

オレは静かに眠る天姫ちゃんのおでこにそっと触れた。微量だけれど怪我が化膿しかけた所為で熱を帯びていた。

 

「……熱、あるね。治療できないのにまた傷作ってさ。ホント、お人よしだね」

 

別に黒鋼に同意を求めたわけじゃないけど、彼は律儀だからちゃんと返事を返してくれた。外はあの酸性雨が降り続けていて、ガラスに滴り落ちる液体が目に映る。

アレが人体に悪影響を与えるモノだなんて、眺めるだけじゃそうは思わないよね。

床に直接腰を下ろして壁に背を預けておとーさん座りしている黒鋼の視線は険しいものだ。

 

「…避けまくってる癖にしっかりとみてるじゃねーか。テメェ」

「…黒様は意地悪だねー」

 

オレは苦笑して天姫ちゃんのおでこから手を離した。今日は徹夜だね。

代わりに黒鋼に寝ててもらわないと…、と口に出そうとしたら

 

「お前は変わった。こいつらを見逃せないほどにな。それに、あのバカ娘にもだ」

 

と今まで逃げまくっていた確信を突く話をしてきた。

今逃げることもできた。けど黒鋼の追及するような視線からは逃げられないと感じたから、オレは顔を俯かせて吐露した。

 

「オレは、もう誰とも関わりたくないんだ。オレの所為で誰かが傷つくのをみるのは、もう嫌だから。誰も不幸にしたくない…」

 

サクラちゃんも、小狼君も、モコナも、黒鋼も、そして天姫ちゃんも、大切だから。

大切だからこそ、この関係を断ち切りたいと思っちゃう。

けど、黒鋼はオレの考えを一蹴した。

 

「勘違いすんな」

「え?」

 

オレは反射的に俯かせていた顔を上げて黒鋼に視線を向けた。

黒鋼は弱気なオレを叱咤するように、言った。

 

「お前の所為じゃない。こいつらが自分たちで選びとった結果だ。履き違いするんじゃねぇ。不幸云々なんてしょせん思い込みだ。オメェが本人になったわけでもなしにどうしてそれが不幸だと言い切れる?オメェは確実に変わってんだよ、こいつらと同じでな」

 

どこか諦めきったオレに黒鋼は諭すようにこうも続けた。

 

「手放しちまうと後悔するぞ、無くなった後でな」

 

あえて、その名を出さないのは黒鋼なりの優しさかな。

 

ズバリ、見事な図星なわけで、オレはふいっと顔を背け、

 

「後悔なら、とっくにしてるさ」

 

と自嘲的に笑った。

 

その後、都庁のメンバーである草薙さんが話があると部屋にやってきて、黒鋼が代表して話をすることになった。去り際に、「いい加減今の自分に腹括りやがれ」と最大限のおせっかいな言葉残していってさ。

 

一人静まり返った部屋に取り残されたオレは、黒鋼の捨て台詞に悶々とした。

 

今のオレを受け入れる。

それができたならどんなにすごいことか。

 

でも、できない理由がオレを縛る。

 

あの時、あからさまに拒絶をしてしまった。

オレの身を案じて手を伸ばしてくれたのに、オレが弾いた手の持ち主は、行き場を失って迷子みたいな顔して立ち尽くしてた。

 

小狼君が連れてきてくれて実はほっとしてたんだよ。

天姫ちゃんは知らないけどね。

 

オレは天姫ちゃんを傷つけた。

直接的っていうのもあるけど、彼女のもろい心に確実に傷を負わせた。それは今も続いていると思う。

 

オレは天姫ちゃんのベッド近くまで歩き、眠る彼女を見下ろしてぎゅっと拳を握った。

 

「天姫ちゃん、オレは卑怯者なんだよ?」

 

あの人が来てくれなかったら、天姫ちゃんはあの時死んでいた。

オレは何もできずに見ているだけ。

結局は自分優先な男で、

 

「オレは君に相応しくない」

 

そうだよ。相応しいとかそんなレベルじゃない。

つりあいすらしない少女だ。

 

綺麗だと思った。彼女の吸い込まれそうな瞳が。

可愛いと思った。オレの言葉に子供みたいに拗ねて頬膨らませる様子が。

抱きしめてあげたいと思った。決して明かそうとはしない深い悲しみを抱えていたから。

愛しいと思った。夜魔ノ国で彼女が目を覚ましてオレを見つめた時。

溢れる想いに突き動かされるように、抗えないようにオレは、言葉にした。

 

「オレは、……君が」

 

奪い去りたいくらい、手放したくないくらい、心がかき乱されて、オレがオレじゃなくなるくらいに、

 

「好きなんだ」

 

伸ばせば触れられる距離にいるオレと君。

でもオレは君に触れられない。オレの手は、君を汚してしまう。

たくさんの【死】が付きまとうオレじゃ、いつか君を殺してしまうかもしれないから。

 

【心が惹きつけられてやまない、彼女に】

 

◇◇◇

 

 

どうしてこんな小さな体?おまけに見た目が銀髪っでどういうこと。

外国人にでも変身したのかしら、元日本人だと言いたいところだけど、記憶も曖昧な状態じゃ確証はないわね。でも拾ってもらえたのはラッキーだったかもしれない。餓鬼一人で生きていけるほどのこの国の治安はあまり良くないみたいだし。でも彼がボスであるおかげか、この地域一帯はちゃんと統括管理されているからほかのマフィアが介入してくることもないし、来たとしてもキャッバローネとしてボスである彼が睨みをきかせているので早々抗争になることはない。私を拾った時は、たまたま運が悪かったようだ。

幼児である私には血なまぐさい話はしたくないらしく、これは側近でありキャッバローネの幹部でもあるダンディな彼にお願いしてお願いしてそれでも駄目だから泣き落とし作戦でようやく聞き出した貴重な情報源。この手は結構有効かもしれない。他の相手でも通用するか試すべき価値はある。

それにしても私を引き取って義理の妹として、家族として迎え入れてくれた彼には感謝の言葉をいくつ捧げてもたりない。彼の権力のお陰か、それとゴリ押ししたのかは知らないが、ちゃんと私の戸籍を作ってくれて、正式に彼の妹として自分の名(彼につけてもらった名前だけど)、が戸籍謄本に加えられているのを見せられた時は、あんぐりと口を開けて間抜けな顔になってしまった。

出会ってそう間もないというのに、素性も知れぬ餓鬼を自分の家族と認める。ましてや戸籍をいじったのかどうは知らないが、彼には躊躇うことはなかったらしいその潔い決断力。もはや脱帽するしかない。

軽い気持ちではなく本気で私を慈しんで愛情を注ごうと決めてくれた彼に、私は一体どうやって恩返しすれはいいのだろう…。正直、私は戸惑っている。自分のことさえわからないのに、彼は私を『―――』と躊躇いもなく呼ぶ。彼がつけてくれた偽名なのに、あたかもそれが本当の私の名前のように違和感なく受け入れてしまえているのだ。

本当に、『―――』でいいのだろうか?

 

もう少しすれば、このざわつく気持ちも落ち着くのかもしれない。

 

あ、彼が呼んでいる。そういえば今日は偉い人の所へ挨拶に行く日だった。

私は愛猫、シロを抱っこして急いで部屋を出た。

 

私は本当の自分を取り戻した。

 

と言っても、名前とか年齢自分のやるべきことだけなんだけど。それよりも私ってほとほとマフィアと縁が繋がっているらしい。ヴァリアーのボスである彼が私の為に独断でボンゴレに見切りをつけ反旗を翻した。私には彼を止めることができなかった。誰かを救いたい、何がなんでも。その想いも私は同じく抱いていたからだ。彼を氷の檻から救うために日本にやってきた。ボンゴレ十代目ならばなんとかしてくれるのではないかと勘違いしたから。でも彼は平平凡凡な中学生だった。とことん争いごとを嫌い自分から立ち向かおうとすることに懸念を示し、いつも口癖は「なんで俺が!?」ばっかり。私だって同じこと言いたいさ。なんで私がアンタの婚約者なんだよ。なんで私が好きでもないどうでもいい男の言いなりになり人生全てを捧げなくてはいけない。断れるもんなら蹴とばしてたくらいだ。でもできなかった。私の大切な人、キャッバローネのボスである彼は、ボンゴレ九代目と同盟関係にあるが、事実上上下関係がはっきりしている。だからその九代目の命には絶対逆らえない。私は人質も同然だったのだ。

彼が苦しんでいるのを見ていられなくて、理由づけて日本に来たのも事実。

すんなり受け入れられるなんて甘ちゃんなこと考えてなかった。でも予想してたよりも酷い現実に自己嫌悪に陥ったくらいだ。私はなんて軽はずみな決断をしてしまったんだ、と。ぬるみ切った平穏に、彼に吐き気すらして、憎むようになった。

 

その俺は何も知りませんって横っ面を引っ叩いてやりたい衝動に何度かられたことか。

両手じゃ数えきれないほどで、そのうち私はこの少年を恨むようになった。

全てはこいつが元凶で私が日本に来たことも、氷漬けされた彼が反逆を起こしてしまったことも、義兄が苦しんでいることも、ボンゴレ十代目という男が存在しなければ発生しなかったシナリオ。どうせ伝説化したありもしない力に固執するマフィアなど滅べばいい。

そう、だから彼がボンゴレに反旗を翻した時だって、本当はしがらみから解放されるって喜ぶ自分がいた。これでアイツとも決別できるってね。

 

なのに、なのに。アイツは指輪争奪戦に参加の意思を示した。マフィアなんか興味ないって叫んでた情けない男が、マフィアの抗争に自ら顔を突っ込むなんて、誰が予想できる?しかもその理由が捕らわれの身となった私を助けるですって!?どんな正義の味方かと思えばただの思い込みの激しい正義感突っ走っただけの少年。

自分の物事だけを見聞きして真実を知ろうともしない哀れな少年。ただ私を助けたいですって?私はそこ【ボンゴレの檻】から抜け出したいだけなのに、アンタが出しゃばった真似しなければ私はただボンゴレマフィアというものが解体され、しがらみから解放され、愛しい義兄の元に帰り親しい仲間たちとイタリアで平和に穏やかに暮らせると思ったのに、そういう手筈だったのに。

全てはアイツの偽善でおじゃんだ。

 

無駄な争いが始まって流さなくてもいい血が流れた。

誰の責任ですって?私?掌返したみたいに餓鬼の演技取り払い冷たく接する私に勝手の失望した挙句、私が怖いですって?何考えてるかわからないですって?

そっくりそのまま返してやるわよ!アンタのほうこそ何考えてんのよ!

私の大切な人達を傷つけてる自覚もないくせに一端の顔しやがって何様のつもりよ。

ボンゴレ十代目にならないって言ったじゃない!?

そんなもの嫌だって家庭教師にダダこねてたじゃない!

それがどういうことよ、ただの興味本位?こっちのほうが将来的に安泰で金に困らないから?

くだらない、そんなくらだない理由で戦いは継続されたわけ?

私、知ってるのよ。アンタが家庭教師に私をイタリアに帰そうとしたのを。

それって聞くだけ聞けば私のためって思うじゃない?でも違うのよね、アンタは自分の好きな人にあらぬ誤解を与えたくないがための発言をしたということを。結局は自分のためよね。どこまで私はアンタに振りまわれる運命にあるのかしら。

でもそんなもの、叩き切ってやるわ。

アンタに振りまわれるのはもうお断り。

私は私の為に大切な人のためにだけ行動する。

ふらついた足取りばかりな奴に後れを取ったりしないわ。

 

この手を汚してでも、大切な領域は守る。

全ての元凶、ボンゴレから。

 

 

好きだ、愛しているといわれた。

愛してる、なんて私の存在理由を消す言葉なのに、彼は私に告げるのね。

伝えるほうはいいわよね、今までもやもやしていたものが吐き出せてすっきりするんだから。でも受けるほうの身にもなったことはある?ようやっと今まで閉ざしていた視界が開けた途端、愛する者との決別を何とか受け入れようともがいている時に、愛してる、ずっと好きだった!ですもの。正直、また背負わなくてはいけないのかと疎ましいとも思った。受け入れるつもりはない。今の私に不必要な存在などいらない。

今のままで十分だもの。…きっと自分など選ばなくても彼らに相応しい人がいるはずだ。私はこの世界と別れる日が来るのはわかりきっているし、もし仮に別の世界で生きることを選ぶとしたら、それは【あの子】以外を選んだということだ。あの子を捨て、別の存在に依存する。そう、私は依存することでしか生きられない。

私が愛してもらうのではない。私が愛するのだ。

そうでなくては、そうじゃなきゃ、一方通行な愛でしか私は満たされないもの。

 

 

操られることに抵抗しようとは思わない。だって必要ないだもの。

 

思えば、最初の出会いから疑うべきだったのかもしれないわ。

神様、なんて存在私は信じてなかったのにね。もしかしたら、ドコかで終わることを望む私が隠れていたのかしら。

 

私が始めてしまった、狂った物語からあの子を解放する術を。

探していたのか。

 

今までの出会いも、変わることがないと思っていた自分が彼らのお陰で少し変われたのも、全てはこの瞬間の為じゃなかったのかなって思えるから。あの子を救うため。結局は、後々害でしかない私を消せるのはワタシだけなんだ。少しバランスを崩しただけで私はオカシクなったりする。その時に、大切な誰かを自分の手で失くすことが一番怖い。

 

ああ、愛しいあの子が恐怖に身を震わせている。

私が、君を殺してしまう、そう怯えているのね…。

大丈夫、大丈夫よ。おねーちゃんは君を決して死なせはしないから。

貴方を失うくらいなら潔く去るわ。

そして、貴方の幸せを祈って祈って眠ろうと思うの。

 

私とワタシ一緒に。永遠に。

そうすれば、お互いに寂しくないし、ずっと一緒にいられるもの。

 

私は、あの子に振りかざそうとした刀をワタシの力で押しとどめた。殺させようとする力に何とか抗いながら、ぎゅっと瞼を瞑って怯えるあの子を見つめて、「―――」と呟いた。

 

大丈夫、大丈夫だから。

 

片方の手で柄を握り、刀の切っ先を自分の胸部分へと持ってこさせ、刀身をもう片方で握った。掌の皮膚が避け肉が切れて、血がじわりと浮かんで血がぽたぽたと流れていく。

だが痛みよりも、悲しさよりも、嬉しさが私を満たすのだ。

 

この子を守れるのは、私だけ。

 

そのために、私は消えるのだから。

 

愛してるよ、―――。

 

私は自分の胸に切っ先を勢いよく斬り込んだ。

 

『グシャ、どシュっ、べとっ』

 

ああ、結構、イタイナ。

 

 

間違った選択肢によって私は死ぬ。

 

そう、死ぬしかないのよ!

彼がその選択肢を選んだ理由は一重に私の為、私が嘘を嫌うため、私に嘘をつきたくないため、全て私の為。

愛しているといった彼が私に死を叩きつける。

現実を壊し、私が今まで築き上げてきた過去をぶっ壊し、命よりも大切だった絆をぶった切った。これも私を愛しているから?

 

そうね、そうよね。だって彼は必死に叫んだもの。

 

『―――、俺は君に嘘つきたくないから。だから!』

 

だから、受け入れろ、と?

 

今までの自分を捨て、新たな自分に可能性を見いだせと?

そんな身勝手が許されるのね、私が知りたいとも言葉にしていないのに?

 

この死が貴方に対する返事よ!

刻み付けてあげるわ、私の貴方に対する『愛』を。

一生貴方を縛り続ける私の愛は決して貴方を許しはしない。

苦しんで苦しんで死ぬまで私の死に囚われ続けなさい!

 

私は涙をとめどなく流しながら、狂ったように笑い続けた。

 

「あははははははははっははははっはははっはっはははははっははははははははっははっはっはははっははっははははっははははっははははっはは」

 

この男の愛が私を苦しめる、追い詰める。要因だったなんて。

結局愛なんて飾りだ、偽物だ、本物なんてない。

 

自分の刀に手を伸ばした私に、彼は目を見張り止めさせようと駆けだした。

 

でも遅いわ。

もう全部手遅れなのよ。

 

貴方が私を愛してしまったことこそが、この必然を産み出したのだから!

 

喉元に刃を当て、私は思いっきり横にかききった。

 

鮮血が私の喉元から舞って、綺麗な円を描くように真っ赤な血が飛び出た。

 

誰かの悲鳴が聞こえる。

 

痛みよりも、薄れゆく意識に死を感じても。

何よりも解放される喜びに勝るものはないわ。

 

私がいなくなった後、彼はボンゴレ十代目を名乗るのかしら?

そうでなくてはつまらない。

 

私の人生を狂わせたのだから、その咎を受けるべきよ。

争いを嫌う彼が争いの元であるマフィアに一生縛られるづける、なんて滑稽な結末かしら。でも貴方にピッタリよ。

死ぬまでその責を全うしなさい。

私を愛したのだから、貴方には簡単にできることでしょう。

 

ねぇ、ボンゴレ十代目?

 

【死に顔は笑みで満たされる】

 

 

天姫が眠っている間に、物語は急速的な流れで進んでいた。

ファイと小狼そしてモコナは、この都庁で滞在する代わりとして外での食料調達にメンバーと共に出かけ、黒鋼は眠りから目を覚まさないサクラと天姫の護衛として部屋にとどまっていたが、突如眠るサクラの異変にいち早く気づいた黒鋼。

 

「おい、姫!?姫!……息、してねぇぞ…、バカ娘も起きねぇし!」

 

動揺する黒鋼の元に、牙暁がやって来てこう告げた。

 

「異世界からきたであろう来た貴方たちのことは夢で見ています。その子(サクラ)は生きています。ですが、魂が眠ってしまっているのです」

「魂?」

 

黒鋼が警戒は緩めずにそう聞き返していると、牙暁は何かを感じったように、

 

「結界が、…消えた…」

 

と呟く。黒鋼はその呟きを聞き逃さず、訝しんだ。

 

「結界?」

 

だが牙暁はそれ以上答えることはせず、何かに狼狽えているようだった。そこに眠っていた天姫が目を覚ます。だが何かに怯えて恐怖のあまり目を覚ましたといった感じだった。

 

「……っ!?」

「ようやっと起きたか、バカ娘……?……なんで怯えてんだよ…」

 

黒鋼は天姫の異変に目を見張り、牙暁は天姫の恐れをなす理由に気が付いた。

 

「……異世界の神子…、貴方も感じたのですね。…」

「コイツが神子、だと…?」

 

牙暁の発言に黒鋼は驚愕した。

バカ娘と呼んではいたが、まさかそれほど尊い存在だとは微塵も思っていなかった。

だが天姫には二人の声は届いていなかった。

それよりも迫りくる危機に警鐘を告げる。

 

「なんか、ヤバイ……。ヤバイの!」

「おい!?」

「やばいやばいやばい!壊れる、何かが壊れる!黒鋼、急いで!急がなきゃ!下、下よ。動き出した、封印が解けたっ!」

 

天姫は取り乱した様子で黒鋼にベッドから身を乗り出して迫る。

 

「何言って」

「行かなきゃ!二人が危ないっ!」

 

急かすように叫ぶ天姫のただらない様子、そして

天姫が訴える二人というキーワードにピンときた黒鋼は、サクラを抱き上げてすぐに立ち上がった。そして天姫に視線をやりながら、

 

「歩けるか」

 

と確認を取ると天姫はすぐに頷き返した。

 

「ええ!」

 

天姫はすぐベッドから飛び降りて黒鋼により先に駆け出した。黒鋼はその後を追う。次いで牙暁も駆けだした。

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