転生したら分霊箱だった件   作:@ゆずぽん@

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最近暑くなってきましたね。
皆さんも「あれ」にはお気を付け下さい。
熱湯や洗剤なんかが有効らしいですね。後はオカンの素手とか。


Page 12 「いざ往かんホグワーツ、の前準備!(後編)」

 ―――プリペット通り四番地、ダーズリー家階段下の物置。

 

 その中から、ガサゴソガタガタという、控え目な物音に加え、音量を抑えた会話が絶えず聴こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ローブ一着無いよ。リストだと三着だったろ?』

 

 「あっそうだった!ちょっと待って、どこやったっけ…」

 

 『ほら、大鍋もトランクに入ってない。……「幻の動物とその生息地」が見当たらないけど?読んだ後その辺に散らかしたんじゃないの?』

 

 「ああっ!昨日読みながら寝落ちしちゃって、そのまんまだ!どっどうしよう、見付かんないぃぃ」

 

 『落ち着きなさいって。ざっと見て無いんなら、布団の中に紛れてるか、枕の下にでも行っちゃったんだろ?』

 

 「う、うわあ~、あった!ありがとう」

 

 『全く、先が思いやられる…。杖まで無くしてないよね?』

 

 「あっ、それは大丈夫だよ。この一か月間、毎日確認してきたから……ほら!」

 

 『「柊と不死鳥の羽根、28センチ」、ね。絶対無くしちゃダメだよ』

 

 「はーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 9月1日、早朝6時を過ぎた頃。

 

 

 

 

 

 ハリーは物置の中で、魔法使いが通う学校、『ホグワーツ』出発への準備をいそいそとしていた。

 といっても、必要な学用品はとっくに買い揃えており、準備といっても、忘れ物が無いかの最終確認ぐらいしかやる事が無かったが。

 それでも、やっておかなくてはならない大事な事だった。ただでさえ魔法学校なんて行くのは初めてなのだ、素人準備で、最初から全て上手くいくとは思えない。

 

 入念に、準備する物が書かれたリストと、実際にトランクに収められた物品が存在するか目視でチェック。

 初めて目にする物ばかりなので、どれがどれだか分からなくなる。その度に、『友達』にも一緒に確認してもらっていた。

 

 「大鍋って何に使うんだろうね」

 

 『そりゃあ、薬品の調合さ。ホグワーツは魔法だけじゃない。魔法薬の調合まで習うんだ。理科の授業だって、座学だけじゃなくて実験もやっただろう?』

 

 「そうだけど…。実験は、あんまり良い思い出が無いなぁ…。僕がやったら、絶対何か起きたんだもの。プレパラートにヒビが入ったり、点火してないアルコールランプが独りでに燃え上がったり……。皆が見てない所で、こっそり隠したけど」

 

 『それ、ヤバイやつじゃん…。器物損壊罪になるだろ…。間違ってもダーズリー家に言わない方が良い。一生墓まで持っていくのをオススメ』

 

 「そうする。()()()()()()()の授業、どうだった?」

 

 『…()()()()()で?ま…まあ、主席だったよ、一応…。"前"の学校もそうだったし…

 

 「えぇっ、主席なの!すごいっ、天才じゃん。僕なんか、自分が魔法使いだなんてちっぽけも知らなかったし、トムみたいになれるかなぁ……」

 

 『誰だってスタート地点は同じだよ。進むスピードが、ちょっと速い奴がチラホラ居るだけだ。そんなに気にすると禿るよ』

 

 「うう…でも、やっぱり不安だよ。クラスでビリ欠になったらどうしよう?やっとこの家から出られるのに、ホグワーツでも虐められたら、僕やっていけないよ…」

 

 『ホントにこの子はもう、心配性だなぁ。ま、緊張するなと言う方が無理か。ほら、こっちおいで』

 

 「うん?何?」

 

 トムに手招きされて、素直に向かえば前触れ無しにがしがしと頭を撫でられた。

 

 「うわぁっ、いきなり何々?」

 

 『こうすれば精神安定作用が起きるって、昔読んだ本に書いてあったんだ!』

 

 「あぁ、そうなん……ちょ、ちょっとそんなワシャワシャしないで……あだだぁッ!?」

 

 『ハリーッ!?』

 

 いきなりだった。触れられてもいない場所にある、額の傷。稲妻状のそれが、唐突に痛みを発した。反射的に傷跡を抑える。

 この10年間、いや11年間……ずっと何とも無かったのに。

 まさかこんな急に痛むなんて、思いもしなかった。

 

 『傷が痛むの!?「くっ右腕が疼くぜ」ってやつと同じ感じ?はあ~、ハリーも厨二病を発症するなんて……やっぱりお年頃なんだなぁ……う~む……』

 

 「ちょ…ちょっと、急に哀れみの目で見ないでよ…。その病名は知らないけど、何かスゴイ失礼な言葉だってのは伝わってくるんだけど…」

 

 手を離されると同時に急速に痛みも遠のいていく。一体今のは何だったんだろう?

 というか、可哀想な子を見る目をやめて欲しい。不良が捨てられた子猫を見る目だよ、これ…。

 

 『大丈夫、年頃の男の子は皆通る道だから。ましてや魔法使いって自覚したんだものな。絶対発症するよこれ』

 

 「だからそのチュウなんとか病になった覚え、無いってば…。ちょっと傷が痛んだだけだよ」

 

 『あぁ、やっぱその傷だよね?古傷が疼くのって最高の厨二要素だと思うんだ、うん』

 

 「だから違うってば!チュウニ要素って何?」

 

 『そりゃ、自分が他人と比べて特別だとか勘違いしたり、傷とか印とかそういうのに憧れたり、漫画やゲームの長ったらしい詠唱文を一字一句違わず全て覚えたり、独自設定なんかをノートに書き綴り始めたりしたら、それが厨二病の始まりだよ』

 

 「そんな事、してないんだけど…」

 

 『まーこれからしないとも限らないし?恥ずかしい物は大人になる前に全部燃やすのをオススメする』

 

 「も、燃やすの?」

 

 『僕も昔そうした。なんかタイミング悪くて、放火魔と勘違いされて家族と余計に不仲になってしまった事がある』

 

 「壮絶!!」

 

 『大丈夫、良くある事だって』

 

 「全く無いと思うなぁ…」

 

 『それ以来学習して、陰で色々やるのが上手くなったから、今となっては良い経験さ。失敗が人を強くするんだよ?』

 

 「変なとこでポジティブ思考だよね、トムって」

 

 『そういう切り替え能力を習得しないとやってらんなかったんだよ、ホントに』

 

 雑談に興じながら、トランクに粗方必要な物を詰め終わる。「やっと終わりはったんか、あんさん」と言わんばかりに、物置を根城にしている蜘蛛がワシャワシャと部屋の隅から姿を現す。

 あぁ、ある意味同居人とも言える彼らとも、しばしのお別れか。

 長年付き合ってきた虫達も、今ではすっかり愛着が沸いてしまって、素手で触るのもお得意になってしまった。別れの挨拶代わりに、這い出てきた子蜘蛛の一匹をちょんと突く。

 

 『まぁよくも平然と触れるねぇ、虫に』

 

 「そりゃあ、僕と一緒に長い時間を共にした生き物って、この子達ぐらいだもん。触るのなんて平気だよ」

 

 『おおっ、怖っ!幽霊の類は何とも無いけど、虫だけはダメだ』

 

 「え、意外。虫ダメなんだ?」

 

 『ある程度の年齢になるとね、人は虫への接触耐性を失うんだよ……特に、あのクッソムカつく黒い害虫は無理無理。「あれ」は優先的殺害対象ね』

 

 「あ、それ『ヤツ』の事?それならたまーに出るよ?ここ狭いしゴチャゴチャしてるし、格好の巣穴だったりして…」

 

 『アーッ!!』

 

 多分初めて聞く友達の絶叫に、己は勿論子蜘蛛達も刹那の間、完全に時間停止現象を喰らった。

 今は早朝だ。そんな大声を出されたら、一家を起こして怒りを買いかねない。慌ててなんとか硬直を解き、飛び付いて彼の口を塞いだ。

 

 「ちょっとトム…!急に叫ばないで…!おじさん達に聞こえちゃう…っ」

 

 『ヒェッ、ヒェッ……「あれ」はダメだって……無理だって……!』

 

 「怪奇現象とかはへっちゃらなのに、『あれ』は無理なの?殺害対象とか言ってなかった?」

 

 『無理ッ無理ぃッ!ちょっと、帰るッ!日記帳に戻って良い?!』

 

 「あっ待ってよ!確認が終わるまで一緒に居てよ!」

 

 ただでさえ初めてのホグワーツ出発でこちらも不安でいっぱいなのだ。途中で姿を消されると本当に心が折れそう。

 涙目と全身の震えを隠さず、日記帳の中へ帰ろうとするトムに全力でしがみついて阻止する。

 

 「ほらぁ、今は『あれ』、いないじゃん。大丈夫だから、急に消えようとしないでよ、お願いだからホントに」

 

 『む、むむぅ……。一応、こうして実体化してるだけでも、地味に魔力減ってくんだけど』

 

 「……でもさ、やっぱ改めて思うと……不思議だよね」

 

 『何が?』

 

 改めて、トムの姿を視界全体に留める。

 

 スラリとした長身に、無駄な肉付きのない細見。癖毛の一つも見当たらない黒髪に、宝石の様な深紅の瞳が輝く、端正な顔。

 全身を覆う真っ黒なローブが、余計に美麗さを引き立てている。

 

 「こうしてトムと顔を合わせて喋って、触れたりするんだもん……『魔法』って、ホント不思議」

 

 『まぁ、ハリーに触れられるのは、こっちも驚きの事実なんだけどね』

 

 そう言いながら、トムは物置内に置かれたトランクをつついた。―――実際には、その指はトランクをすり抜けてしまっていたが。

 

 

 

 

 この事実が判明したのは、およそ一時間前。

 

 

 

 

 ホグワーツ入学にあたって、その前準備として必要な教材を買い揃えた後。

 

 入学日までの一か月間は、興奮、期待、不愉快さが交じり合った日々を過ごしていた。

 

 ダーズリー一家は魔法学校への入学が決まってからは、以前より明確に自分の扱いを変えてきた。

 ダドリーなんかは、こちらの姿を目にした途端、幽霊に遭遇したかのような恐怖の表情を浮かべ、しゅぱっと姿を消すし。

 多少妙な事が起きても、おじさんとおばさんは怒鳴ったり物置に閉じ込めるなんてお仕置きはしてこないし、そもそも言葉すら交わす事もなくなった。

 この扱いの方が自分にとっては好都合だったが、やはり良い気分に浸れるものじゃない。

 

 最初は、これが一か月続くかと思うと気が滅入りそうだと思った。

 それでも、トムとの筆談や買って来た教材の確認なんかで、沈んだ気分はすぐに晴らせたし、決して落ち込んでばかりの時間ではなかった。

 

 予習と称した暇潰しのつもりで教科書を読み耽ったり、ホグワーツはこんなものだという、トムの説明に心を踊らされたり。

 生まれて初めての誕生日プレゼントである、ペットの梟。雪の様な白く美しい羽根を持つ、彼女の名前はヘドウィグに決めた―――を、世話したり撫でたり。

 基本は部屋に閉じこもって、随分と充実した引き籠り生活を送っていた。

 

 

 

 

 ……のだが。

 

 事が起きたのは、入学日当日。つまりは今日、9月1日の早朝5時頃だった。

 

 その時は興奮の余り目が冴えてしまって、しょうがないから二度寝はやめて準備をしようとベッドから這い出した。

 持っていかなくてはいけない物は予めトランクに入れておいたのだが、やはり忘れ物はしてはならないと、入念に事前チェックを行っていた時である。

 

 普通の学校じゃ使わないような学用品ばかりで、そのチェックも容易には進んでいなかったのだ。

 おまけに、教科書を度々引っ張り出していた為、全部揃っているかをリストと照らし合わせるのも中々苦労していた。

 何しろすっかり浮かれていたものだから、取り出した本をきちんと整理する事を疎かにしてしまっていたのだ。慌てて物置内を捜索するも、日が昇り切っておらず暗闇を湛える部屋では、それも難航状態だった。

 

 その事を、焦りを隠して冗談交じりでトムに告げると―――

 

 "仕方無いなぁ。手伝ってあげる。少しだけだからね?"

 

 『手伝う?手伝うって、どうやって―――』

 

 返事は最後まで書けなかった。

 

 何故なら―――突然日記帳がぼんやりと薄く発光を始めたからだ。

 唐突過ぎて反応が出来ず、びしりと固まってしまった体を何とか動かそうとした時。

 

 蛹が孵り、蝶が羽化するかの如く―――開いたままの日記帳から、一人の青年がその姿を現した。

 輪郭はくっきりとしているものの、時折ノイズが走るかの様に、ジジッとその身が一瞬だけ透明に変わっている。

 いきなりの超常現象に、茫然としたまま思考を巡らせて、何となく彼が『トム』で、これは『生身』では無いという事だけは理解出来た。

 

 答え合わせのつもりで、恐る恐る声を掛けてみる。

 

 「と………トム。トム…なの?」

 

 『突然の事だったと思うけど、良く分かったね。そう、正解だよ、ハリー。こんにちは……いや、おはようかな?』

 

 青年は薄暗い物置内をぐるりと見回した後、腰を抜かしているこちらに向かって微笑んだ。かと思えば、視線を外して少し表情を顰めている。

 

 『……思っていたよりも、随分窮屈で暗い場所に追いやられていたんだな。子供が寝起きする場所じゃないよ。児童虐待で訴えられるんじゃないか、これ?』

 

 ブツブツと、こちらが強いられていた環境に対し不満を並べている。

 全部は聞き取れなかったけれど、中には少し背筋の寒くなる様な物騒な単語が飛び交っていて、思わず身震いした。それでも、こちらの事を想って怒ってくれているんだと分かって、こんな状況でも嬉しくなった。

 

 「ほ、ホントにトムなんだよね…?どうやって……日記帳から?そういえば最初に言ってたけど……もう、人間に戻れるの?」

 

 『あぁ…うん。いつかは明かそうと思ってたんだけど、タイミングを計り損ねててね……。そうなんだ。完全じゃないんだけど、こうやって人の姿を取って出て来れるんだよ。もちろん、ちゃんとした実体化を果たすにはまだ色々足りないんだけど』

 

 ほうほうと素直に頷くこちらを見て、トムは意外そうな表情を浮かべる。

 

 『…なんか、思ったより反応が淡泊だね。いや、騒がれるよりは有り難いけど』

 

 「いやぁ、それほどでも。なんかさ、日記帳から返事が返ってくるだけでも、十分スゴイ現象だし…。その日記から人が出てきても、今更って感じで」

 

 彼が来る前から、色々と不思議な現象を目の当たりにして暮らしてきたし。最早こういう不可思議な出来事は、すっかり日常の一部である。

 自分でも驚く程あっさりと、この状況を受け入れていた。

 …まあ、これで姿を見せたのがムキムキのマッチョ男とかだったら、流石にビビって叫んでいたかもしれないが。

 

 『いつの間にか耐性が付いてたって事ね…。まあいいや。とりあえず…、改めて、よろしくでもしとく?』

 

 「あ、あぁ、うん。よ…よろしく?」

 

 反射的に、片手を差し出す。それを見て向こうは一瞬難しい顔になったが、すぐに同じように片手を出した。

 

 握手をする形で、互いの手が―――触れ合った。

 心臓がびくりと跳ね上がる。彼の手は、体温という概念が無いかの様に、酷く冷たいものだったからだ。

 向こうも向こうで驚愕を隠さず、触れ合った手を凝視している。

 

 『あっ……!?』

 

 「えっ、えっ、どうしたの?」

 

 もしかして、自分の手も冷たかったのだろうか。いや、冷え症でも無いし、そもそも今は夏だし……。

 彼はというと、もう片方の手も出してモギュモギュとこちらの手を揉んでくる。

 

 『なっ、何で触れるんだ……???今まで人には、触れられなかった筈……』

 

 どうやら、触れられたという事実に驚いているらしい。

 そういえば確かに、彼の身は時々透けてる様に見えるし……今は幽霊に近い存在なのかもしれない。じゃあ何で、お互い触れるのだろうか。

 

 

 

 

 しばらく頭や腕をぺたぺたとダイレクトタッチされていたが、こちらがきょとんとしていると咳払いをした後、元の態勢に戻った。

 

 『え、ええっとねぇ……。なんか、ハリーとは触れ合える…みたいだね。こんなの初めてでびっくりしたけど、まあいつでも例外はあるって事で。とにかく、これからもよろしく』

 

 何でも、彼は「魔力を通す物品、もしくは生物」でないと直接触る事が出来ないらしい。

 魔法族の人間は、己だけの魔力を生まれつき内包している為、他者の魔力を通す余地が無いのでどう足掻いても触れられないのだとか。

 ただ、僕だけは……理由は不明だが、例外のようだ。

 こちらとしては、こうして彼と触れ合えるならそれだけで嬉しいし、理由なんて何でもいいが。

 

 『じゃっ、説明も終わった事だし。早速準備に入ろうか。見た事無い物ばっかで、苦労してるんだろ?』

 

 「あっそうだった。教科書が見付からなくって……。ね、薬瓶ってクリスタル製で良かったのかな?」

 

 『ちょっとお高いけどそうだねぇ。7年間使うんだから、そういう先行投資は大事だよ……ケチって安いのにすると、大抵は早い内に壊れて、結局新しいのを買う羽目になるんだ』

 

 雑談も交えながら、トランクに入ってない教材を確認し捜索する。

 暗くてどうしようと呟くと、トムはどこからともなく杖を取り出し、《ルーモス》と唱えて杖先に灯りを点してくれた。教科書の『基本呪文集』にあった魔法だ。ちゃんとした魔法を目にするのは、これが初めてかもしれない。

 

 『覚えておいた方が良い。僕は厳密には人間じゃないから、こうやって魔法は使い放題だけど…。ホグワーツの生徒は、学外で魔法を使うと下手したら退学になるからね』

 

 「うそっ、退学!?ぼ、僕、今までも多分、魔法使っちゃってたよ?」

 

 『まだ生徒じゃないから、感知されてなかったんだと思うよ。今日からは頭に入れて置くように。僕だって、君が退学になるところなんか見たくないし』

 

 「き、気を付けます…」

 

 『魔法の制御方法を学ぶ為にも、ホグワーツで頑張るんだね』

 

 とりあえず、これからは無意識でも魔法は使わないようにと己を戒めつつ、トムと協力して準備を進めていった。

 

 こうして教材を確認していると、自然とあの日の出来事を思い出す。

 自分がホグワーツへ入学する資格を持つという認識を、改めてはっきりさせられたあの日。

 

 

 

 

 『先生』に連れられ、学用品の購入の為に『ダイアゴン横丁』へ足を運んだ、一か月前の日を―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 7月31日の誕生日を迎えた深夜0時過ぎ。物置でトムと筆談していた時だった。

 

 コンコンコン!と、何の前触れも足音も無く、いきなり物置の扉をノック音が襲った。

 音の感じと叩き方から考えて、ダーズリー家の誰でもなさそうだ。

 

 「ま、まさか、不法侵入…」

 

 さっきのトムとの筆談で、否が応でも不穏な予想を立ててしまう。

 そうでないと信じたいが、念の為身を守る武器か何かを……と思っても、しかし残念ながら、そんな物騒な物は置いてない!

 ダーズリー家の事だ、ハリーに反撃を考えさせるような道具を、物置と共に放り込む訳がなかった。

 

 不安と恐怖から震える手を必死に抑えつつ、しゅばばっと素早く日記帳へペンを走らせる。

 扉の様子を見る限り、すぐにはこじ開けて来ないみたいだが、油断は出来ない。

 

 『トム!今、扉を誰かがノックしてるんだけど、どうしよう?音で分かるんだ、おじさん達じゃない!』

 

 "ナ、ナンダッテー!!"

 

 『あ…開けた方が良いかな?もしかしたら、おじさん達のお客さんかも…』

 

 "バカ、本当に客だったら物置の扉なんかノックしないだろ!しかも今の時刻、深夜だぞ。こんな時間に呼び鈴も鳴らさず、人が入って来る訳ないじゃないか"

 

 『どっどうしよう。怖い。どうしたら……』

 

 "落ち着けハリー。今日は……誕生日だって言ったね。だったら今物置の前に居るのは、ただの不審者じゃない……どこでもいい、日記帳を隠すんだ。そして、扉を開けてみて"

 

 『えっ、僕の誕生日と不審者に何の関係があるの?トムを隠すって、どうして?』

 

 "いいから、早く!間を空けたら、きっと閉じ込められてるって勘違いして、(原作みたいに)扉を破壊されかねないぞ!"

 

 『わっ分かったよ』

 

 文字だけだが、有無を言わさぬ圧力に素直に従う事にした。正直彼から距離を置くのは不安でしょうがないが、誰かに日記帳を見られる訳にもいかない。日記を閉じ、布団をバサリと掛けて、とりあえずは隠蔽する。

 そして、今しがたノックされた物置の扉へ向かう。

 

 「…………ど、どちら様ですかー…?」

 

 一応声を掛けながら、ノブを回して恐る恐る扉を開けてみた。

 本当の不審者ならば、わざわざノックするなんてお上品な真似はしないだろう……相手の良心に掛けて、こちらも覚悟を決める。

 開いた扉の向こうに立っていた人物は、しかしながら真面な格好をしていなかった。視界に入った途端目が点になるのが、自分でも良く分かる。

 

 「夜分遅くに失礼しますよ。こんばんは―――ハリー・ポッター」

 

 エメラルド色のローブを着こなしている、長身の老婆―――とでも表現すればよろしいのだろうか。

 ローブは……ファッションの一部と言われれば、まだ理解出来る。しかし全身緑色とは、これ如何に。

 ただ、その顔からはとても厳格な人だという事が見て取れる。決してふざけてこの格好をしている訳ではないと、なんとなく直感で気付く。

 ご丁寧にもノックと、それに加え夜のご挨拶までしてくれたのだ。例え身元の不明なお方でも、礼儀は尽くさないといけない。

 もつれそうになる口を必死に稼働させ、老婆へ挨拶を返す。

 

 「こ―――こんばんは。あの……どうして、僕の名前を……知っているんでしょうか」

 

 「あぁ、礼節はしっかりしているようですね。安心しましたよ。この様な家で育てられ、とても苦労したのではないですか?」

 

 老婆はこちらを安心させる様ににっこりと柔和な笑みを浮かべ、次にこちらの背後にある薄暗く窮屈な物置を見て、僅かに眉を寄せた。

 その言葉と態度を見て、確信出来た。この人は、良い人だ。少なくとも、ダドリーを襲ったかもしれない(襲われたかどうかも定かではないが)不審者とは、全く無関係の人だろう。

 

 「貴方の事は、ハリー。10年前から知っていましたよ。この家に預けられると分かった時は、それはそれは不安でした…。()()とは、とてもかけ離れた夫婦でしたからね…」

 

 「じゅ、10年も前に…ですか?」

 

 「ええ。申し遅れましたね。私の名前はミネルバ・マクゴナガル。今晩は改めて、貴方にこちらをお届けしに来たのですよ」

 

 そう言いながら、老婆はいつの間に手にしていたのか、黄色味がかった封筒を渡してきた。

 見覚えがある。つい最近、これと似た―――いや、全く同じ物を、郵便受けから取得した。

 おじさん達にバレてはいけないとトムに釘を刺され、今は物置の隅っこに隠しているが。

 

 手紙の内容は知っている―――魔法学校への入学案内だ。何よりも、実際にその学校へ通っていた友達の説明を、事前にあれこれ受けていた。

 それでも。やはり何度手紙に目を通しても、説明に耳を傾けても、いまいちピンと来なかったのだ。

 

 トムもその気になれば魔法を使えるらしいが、今はまだ日記帳の状態だし、手紙が来たからといって、魔法使いが家を訪れる事も無かったしで。

 自分が魔法使いの血を引いていて、魔力を持っていて、魔法学校に通う資格があるとしても。

 実際に己の目でちゃんとした魔法や、魔法学校の教員を見なければ正しく理解出来ない。未だに心の一部分は、魔法の存在を疑っているのだ。

 まあ……返事の帰って来る日記帳が存在する時点で、疑うもクソも無かったかもしれないが。

 

 自然と緊張で強張る手を動かし、受け取った封筒を開き、中の手紙を取り出して内容を読み上げた。

 

 

 

 

 親愛なるポッター殿

 

 この度ホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申しげます。

 教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。

 新学期は九月一日に始まります。七月三十一日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。

 

 

 

 

 「『副校長 ミネルバ・マクゴナガル』―――って、えぇっ!?副校長なんですか、えっと…ミネルバ、副校長先生?」

 

 「『先生』で良いですよ、ハリー。確かに私は副校長ですが、同時に生徒達に授業を教える立場でもあります。他の教員達と遜色はありません。特別な呼び方は必要無いのです」

 

 「分かりました……あの、先生。これって……本当に魔法学校からの、ちゃんとした手紙なんですよね?」

 

 「その通りですよ。貴方は既に一度受け取っているのですよね?ここの夫婦から、何か教えられていないのですか?」

 

 『魔法』に関する事を口に出せば、間違いなくその日から物置収監コースがスタートする。そんな環境で、あの二人から魔法学校の情報なんて聞き出せる筈もない。

 トムの存在は本人からの要望もあって、他人には絶対口にするなと念を押されているし。

 何とか情報源であったトムの事を伏せつつ、自然な回答になるように正直に告げる。

 

 「ええと……その。おじさん達は、こういうの見ると没収しそうだと思って……あの手紙、誰にも見せてないんです。おじさん達からも、魔法の事とか、何も教えられてなくて」

 

 「なんだと!!!?」

 

 と、不意にマクゴナガルのものではない、野太い男性の声が屋内に響いた。

 驚きの余り身を縮め周囲を警戒していると、マクゴナガルの背後から、毛むくじゃらの大男が姿を見せた。間違いなくさっきの声の主だ。

 

 「なんてこった!!あのハリー・ポッターが魔法の事を、知らんとは!」

 

 「ハグリッド、お静かになさい!周辺のマグルに聞かれたらどうするおつもりですか!」

 

 大声でわめき続ける男、ハグリッドを、マクゴナガルがぴしゃりと窘める。彼は途端に、借りてきた猫の如く縮こまった―――ような様子だったが、その巨大過ぎる体は、ちっとも小さくなってない。

 

 「で、でもよう、マクゴナガル先生。いくら何でもあんまりだ。ダーズリーの奴め、ダンブルドア先生の手紙に書いてあった事を、なーんにもこの子に教えてねぇんだ!」

 

 「過ぎた事をぼやいても仕方の無い事でしょう。貴方が喚いたところで、この子の10年は巻き戻らない。だからこそ、我々が今晩ここに来たのです」

 

 「うう……くそ、しょうがねぇ。こうして無事に再会出来たんだ、水に流すとしよう。おぉ、ハリー!逢いたかったぞ。俺はルビウス・ハグリッドだ!学校で森番をしとる。お前さんが赤子の時に一度逢っとるんだが、まあ覚えてはおらんだろうなぁ」

 

 ハグリッドが巨大な手で握手を求めてきたので、とりあえずそれに応じる。外見は威圧的だが、中身は気さくでフランクな性格みたいだ。こちらも、まあ悪い人物では無いだろう。

 

 「こ、こんばんは、ハグリッド…さん?」

 

 「ハグリッドでええぞ。皆そう呼ぶんだ。さあて、手紙は受け取っていたんだったか……でも、ホグワーツの事はどうも信じられねぇ。そんなところか?」

 

 「そうです、そうなんです…。待っていれば、いつか誰かが説明しに来てくれるかと思って、ずっといつも通りに生活してました」

 

 「おー、待っててくれたんか!すまんなぁ、こんな事なら、もうちょい早くに来ても良かったかもしれん」

 

 「ハグリッド、再会に喜ぶのもよろしいですが、次はこの一家へきちんと説明をしなくてはなりませんよ」

 

 そう言うと、マクゴナガルは二人に背を向け、リビングの方でこちらの様子を窺っている人物に声を掛ける。

 

 「―――という事で、お聞きになりましたよね?ずっと見ていたのでしょう、バーノン・ダーズリー?」

 

 いきなりフルネームと聞き耳を立てていた事実を暴露され、廊下の奥からダーズリーが引き攣った表情のまま、それでもどしどしと強がった足取りでやって来る。扉の影にはペチュニアが怯えた様子で、こちらを黙って見ていた。

 ダーズリーの顔は真っ赤に膨らんでいて、今にも破裂しそうである。マクゴナガルとハグリッドを指差して、ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てた。

 

 「なっ、何なんだお前達は!!今すぐお引き取り願おう、家宅侵入罪で警察のお世話になりたくなかったらな!!」

 

 「おっおじさん、この人達は僕の―――」

 

 冗談じゃない。折角わざわざホグワーツへの案内に来てくれた人達を、警察に突き出すなんて!

 慌てて口を挟もうとしたが、そんな事で止まる程彼はヤワではない。

 

 「お前は黙っとれハリー!!!お前達の話、聞かせてもらえば一体何なんだ!魔法学校だと?そんな所にハリーを行かせると思っているのか!頭のおかしい連中が通う場所に?ふざけるな、わしはそんなのに、一切金は払わんぞ!!!」

 

 怒声で一気に捲し立てたダーズリーに、ハグリッドは怒りを抑え切れず掴み掛ろうとした。しかしマクゴナガルがそれを許さなかった。懐から杖を取り出し、一振り。

 するとどうだろう。ハグリッドはビシリと、その場でリモコンの一時停止ボタンを押されてしまったかの様に、固まってしまった。

 

 「全く、確かに今の暴言は見過ごせませんが、貴方の浅慮さも同レベルです!こんな所で騒ぎを起こして、その後どうなるか予想がつかないのですか!?今はハリーもいるのです。弁えなさい、ハグリッド!」

 

 彼女の迫力に、固まって動けないハグリッドも、魔法を目にし形容し難い表情になっているダーズリーも、声にならない唸り声を上げて縮んだ。

 一度に二人の男性を圧倒した手際の良さに、ハリーはすっかり惚れ惚れしていた。初対面の印象は間違っていなかったらしい。

 

 「ダーズリー、この子の入学は生まれる前から決まっているのです。ハリーが望めば、貴方であろうとも止める事は出来ません。それに、貴方がお金を払う必要は無いのですよ、ご心配なく。この子の両親は、ちゃんと魔法使いとしての財産を遺しております。さあ、これでもまだ、ハリーの入学を拒むと言うのでしょうか?」

 

 マクゴナガルが、凛とした視線をダーズリーへ向けて強く尋ねる。彼は相変わらず唸っていたが、反論を述べる事もしなかった。時折ハリーを射殺さんばかりの目で睨みつけては、隣のハグリッド達の圧に押し負け視線を逸らす。

 

 「……では、その沈黙を肯定と受け取りますよ。さあハリー。こんな時間に連れ出すのは、こちらも気が進みませんが……朝を待つのも、彼の様子から考えて悪手でしょう。今から、ホグワーツで必要な物を買い揃えに行きましょう」

 

 「買い揃える?それって、教科書とかですか?」

 

 「ええ、その通り。大丈夫です、先程も言ったように、貴方の両親が遺してくれた魔法使いのお金があります。その資金で、学用品を購入しますよ」

 

 「父さんと母さんが?僕、知らなかった……。僕、二人が魔法使いだって事も、最近まで……」

 

 それを聞いて、またもハグリッドが憤怒の表情を浮かべたので、途中で言葉が詰まった。

 

 「…ハグリッド。これからこの子を連れてダイアゴン横丁まで行きます。貴方も固まったままでいたくないのなら、その怒り癖を何とかしなさい」

 

 静かな怒りを湛えた声で命令され、ハグリッドは器用にも固まった状態でぎこちない笑みを浮かべた。

 それを認めて、ようやく魔法が解かれ、彼に自由が戻る。

 

 「おーう、先生の凍結呪文には参ったもんだ……すまんすまん。もうなんにもしねぇから、俺も連れて行っとくれ!」

 

 「では行きますよ。さ、ハリー、私の腕に掴まりなさい」

 

 「あっ、ちょっとだけ待って下さい!」

 

 彼女の腕に触れる直前、思い出した様にハリーは物置に引っ込んだ。

 布団の中に隠していた日記帳を引っ張り、慌ててペンを走らせ、文字が乱雑になるのも構わず最低限の報告を伝えた。

 

 『―――トム、色々あって、今から出掛ける事になった。なんとか横丁?に行ってきます』

 

 本当はこのまま持ち出したいところであるが、彼自身が他者の目に触れるのを禁じている。日記帳は、名残惜しいが今は置いていくしかないだろう。

 するとこちらのもどかしい心情を理解したのか、予め答えを用意していたかの如く、ぱっとすぐさま返事が浮かんできた。

 

 "あぁ―――行ってらっしゃい。今は僕よりも、『案内人』に頼る方が良い。帰って来るのを大人しく待ってるよ"

 

 その返事を目にしっかりと焼き付け、再び日記帳を布団の中に隠す。

 足早に物置から出て、ハグリッドと共に待ってくれていたマクゴナガルの腕をそっと掴んだ。

 

 「もう大丈夫です。じゃあ、先生……お願いします」

 

 「行きますよ。しっかり掴まっていて」

 

 ハリーは最後に、魔法を掛けられた訳でもないのに、ずっと凍り付いているダーズリーと、ペチュニアの方を見た。

 どの道ここに戻って来る事になるだろうが、このまま無視して去るという考えには、どうしてもなれなかった。

 歪んではいても、10年間育ててくれた人達だ。苛立たせるだけかもしれないが、一応会釈をして別れの言葉を言った。

 

 「お、おじさん……おばさん、行ってきます」

 

 そう告げた途端、バチンという音がしてハリーの視界はぶつりと途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぐらぐらりんと、全身が洗濯機に入れられたような独特な重力感を味わった後。

 再びバチンという音が聴こえたかと思えば、いつの間にか両の足はしっかりと地面を踏み締めていた。

 

 不鮮明になっていた視界がくっきり晴れ、次に目にした光景は、異様な街並みだった。

 石畳に、通りに並ぶ煉瓦造りの建物……それだけならば、ロンドンの街と何ら変わりはない。

 ただ、四方八方を行きかう人間の格好と、あちこちに点在するお店にぶら下がっている看板を見れば、普通の街ではないと子供でも気付ける場所であった。

 

 夜の闇を追い払う様に点された灯りの下は、こんな時間帯でもそこそこの賑わいを見せている。

 三角帽を被ったローブ姿の人達が、次々と通りを歩いている。買い物客達が入って行くお店の看板は、『鍋屋』だの『ふくろう百貨店』だの、普通の商店街では目にしない様な内容が描かれていた。

 

 少々痺れを訴える脳髄の、何とも言えぬ不快感に耐えつつその様子を眺めていると、隣に立っていたマクゴナガルが説明を始めた。

 

 「ここがダイアゴン横丁です。本来なら『もれ鍋』というパブの入口から来るのですが、今回は夜も遅いので『姿現し』です。後で正規の入場方法を教えるので、次からはそちらの手段で来るように。良いですね?」

 

 「は…はい!えと……今のは、テレポートってやつですか?」

 

 「マグルの言葉ではその様な言い方をするのですね…。魔法使いの間では『姿現し』と呼びます。かなり高度な業ですから、試験に合格した者以外は使用出来ないように定められています」

 

 「うわぁ……スゴいなぁ。僕も出来るようになりたい……」

 

 「初めての『姿現し』なのに、余裕ですねぇ……大抵は激しく酔うのですが」

 

 「ははは、ハリーは才能があるのかもしれんなぁ!俺は結構きついぞ、先生…」

 

 「具合が悪いのなら休んでいなさい。これからグリンゴッツですよ。トロッコ酔いもプラスで味わいたいのですか?」

 

 「せ、先生……また意地の悪い事を言いなさる……」

 

 ぼやくハグリッドを無視して、マクゴナガルは魔法使いの銀行、グリンゴッツへ足を進める。

 聞き覚えのある単語に、思わず自ら口を開く。

 

 「グリンゴッツって、銀行ですか?魔法使いの財産は、そこにあるんですよね?」

 

 「そうだ。魔法界唯一の銀行で、小鬼(ゴブリン)っちゅう種族が経営しとるんだ」

 

 「鋭いですねハリー。知っていたのですか?」

 

 「えっ、っと……な、何となくそうかなーって思って」

 

 二人からすれば何も知らない子供の筈なのに、危うく魔法界の知識を喋ってしまうところだった。

 あまりこういう事をすると、どこで知ったのかと疑われてしまう。そこからあの日記帳に辿り着かれるのはゴメンだ。

 そんな風に、内心でうんうん唸っているハリーの事など露知らず、二人はハリーをグリンゴッツ銀行へと連れて行った。

 

 高くそびえる真っ白な建物の扉をくぐり、大理石のホールへと入る。

 中にはたくさんのゴブリンが、カウンターで帳簿と向き合っていたり、宝石を鑑定していたり、他の客を案内していたりしている。思ったよりも、普通の銀行とそこまでかけ離れた光景ではなかった。ただやはり、自分よりも頭一つ分小さい生き物が闊歩している様子は、何とも言えない気分にさせられた。

 

 マクゴナガルが手の空いているゴブリンに声を掛け、小さな黄金の鍵を差し出した。

 そしてもう一つ、懐から手紙を取り出すと、それも同時に預ける。

 

 「ハリー・ポッターの金庫の鍵です。それと、ダンブルドア先生からのお手紙もご一緒に。『例の物』を預かりに来ました」

 

 『例の物』とは一体何だろうか……しかし、その単語を口にした瞬間の彼女の表情はとても重々しい様子で、尋ねるのは気が引けた。仕方無いので無言を装って、周囲を観察する事にした。

 その間にもゴブリンは鍵を受け取り、手紙を読んではゆっくり頷く。そして案内人として、別のゴブリンを呼び付けた。

 

 グリップフックと呼ばれたゴブリンが、ホールから外へ続く無数の扉の内一つを開き、そちらへ案内してくれる。

 中は線路が床を走っている通路だった。急に様変わりした光景にびっくらこいたが、「これぐらいは普通だぞ」とハグリッドに言われてしまう。

 驚いている暇もなく、グリップフックの口笛を合図に、独りでにやって来たトロッコへ乗せられた。

 

 4人を乗せたトロッコはビュンビュンと風を切って走り、やがて小さな扉の前で止まった。

 途中で何度も曲がったり下ったりしたので、先程から具合の悪そうだったハグリッドはますます顔色を青褪めている。

 

 「これが貴方の両親が遺した物ですよ」

 

 役に立たないハグリッドの代わりに、扉の中にあった財産に対してマクゴナガルが説明してくれた。

 金貨、銀貨、銅貨の山を前にして、しばらく開いた口が塞がらなかった。ここまでの量だなんて全くの予想外である。

 今は亡き、顔も覚えていない両親に心の中で感謝の念を捧げ、ハリーはバッグの中にお金を、今学期分に必要な量だけせっせと詰め込んだ。

 

 本来ならばそこで地上へ帰還する予定なのだが、マクゴナガルが預かりに来た『例の物』を取りに行く為、トロッコは再びハリー達を乗せて爆走した。

 トロッコに乗るなんて体験は滅多に無いので、折角だからこの機会を大いに楽しむ事にしよう。

 そんな様子を、マクゴナガルは微笑ましく見つめ、ハグリッドは呻き声を上げつつも、ハリーが身を乗り出し過ぎないようにと襟首を掴んでいた。

 

 「こちらが七一三番金庫でございます」

 

 グリップフックの案内の元、辿り着いた『例の物』が保管されている金庫へ近付いていく。

 鍵穴が見当たらないが、彼が指でそっと撫でると扉は消失した。成程、この仕組みなら鍵は要らずだ。

 

 「これです……間違いはありません。確かにお預かり致します」

 

 金庫の中にあった、茶色の紙でくるまれた小さな包みをそっと拾い、マクゴナガルは踵を返した。

 厳重な警備の割には、入っているのはあの包み一つ……中身は、一体何だというのだろうか。

 物言いたげなこちらの視線に気付くと、彼女は少し困った様な表情になった。

 

 「興味が沸くのも当然の事ですが、他言は出来ないのですよ。忘れなさい…ハリー」

 

 

 

 

 それから、正真正銘最後のトロッコ運送で地上に戻ると、怒涛の買い物ラッシュだった。

 

 

 

 

 まずは『マダム・マルキンの洋装店』。ホグワーツの制服を販売しているお店だ。

 愛想の良い魔女の採寸を受けている間、トロッコですっかりやられたハグリッドの回復を待った。彼は巨体の割に、酔いへの耐性値が低いようだ。

 

 次は筆記用具―――といっても、魔法界に置けるそれは、羽根ペンやインクであったのだが。

 ボールペンやサインペンの方が便利だと漏らすと、ハグリッドに小突かれてしまった。「お前さんは魔法使いなんだから、こっちの道具を使う事になるんだぞ」と突っ込みも入れられる。

 何だか不便そうだが、「郷に入っては郷に従え」というやつだと、無理やり納得する事にした。

 

 『フローリシュ・アンド・ブロッツ書店』では、教科書を買った。

 学校から指定された教科書だけでなく、気になった書物も何冊か貰っていく事にした。ホグワーツに入学するまでは、魔法界の知識を得られる手段は、トム以外にこれしかないのである。

 余りに買い過ぎようとして、本の雪崩に襲われたのはここだけの話だ。

 

 他にも錫の鍋を買ったし、魔法薬の材料を計るはかりに、真鍮製の折り畳み式望遠鏡等々、実に魔法学校らしい道具を買い揃えていった。

 

 後は杖だけだというところで、二人が唐突に無関係の店へとハリーを連れて行った。

 

 「今日はハリー、貴方の誕生日でしょう。折角なので、私達から誕生祝いを」

 

 「おお、そうだそうだ!あの一家を見てりゃー分かる。今まで、まともにプレゼントなんて貰ってはおるまい?」

 

 生まれて初めて、生身の人間から掛けられた優しい言葉に、ハリーがすっかり顔が真っ赤になってしまった。

 お言葉に甘えて、ハリーは『イーロップふくろう百貨店』から、一羽の真っ白な梟を誕生日プレゼントとして頂いた。

 魔法界ではこういった梟を飛ばして、郵便物を届け合うらしい。実益と愛らしさを兼ね備えた、とても素晴らしきペットである。

 

 そして、いよいよ最後は魔法の杖だ。

 

 高級杖メーカーで有名な『オリバンダーの店』へ入り、店の奥で店主が現れるのを待っていると、

 

 「いらっしゃいませ」

 

 いきなりの発声だった為、跳び上がりそうになった。顔を上げると、白髪の老人が目の前に立っていた。いつの間に来たんだと喉まで出掛かったが、ぐっと呑み込む。

 

 「こっこんにちは」

 

 なるべく平静さを保ちながら挨拶する。老人はハリーを、瞬きの一つもせず見つめている。

 

 「ようやくお目に掛かれましたな、ハリー・ポッターさん。お母さんと同じ目をしていなさる……。あの子があなたと同じ様に、ここに来て杖を買っていったのが昨日の事のようじゃ…」

 

 「母さんを知っているのですか?」

 

 「わしは自分の売った杖を全て覚えておる。誰に何の杖を売ったのかも……全部じゃ。お母さんは妖精の呪文にぴったりの、柳の杖じゃった」

 

 そこでオリバンダーと名乗った老人は、ハリーの後ろに控えている二人を見て声を上げた。

 

 「おお、ハグリッドに……マクゴナガル先生じゃな!こうして逢えるとは、喜ばしい事じゃ。随分と久しいの」

 

 「えぇ、お久しぶりです。今夜はこの子の為に付き添いをしておりますの」

 

 「じいさま、こんな夜遅くにすまねぇですだ。今日はいっちょ、ハリーに合う最高の杖を、よろしく頼みます」

 

 「勿論だとも。さて、では―――ポッターさん、拝見させて頂きましょうか。杖腕はどちらですかな?」

 

 「杖腕……?えっと、僕、右利きで…」

 

 「右ですね。では失礼」

 

 それからは、巻き尺で寸法を採られた。どう考えても杖には関係なさそうな、頭の周りとか、膝から脇の下とか、色々な部分までしっかりばっちり測られてしまった。

 作業中、オリバンダーはこの店の杖を実に解り易く説明してくれた。

 

 杖の芯には魔力を持った物を使用しており、それぞれ一角獣(ユニコーン)のたてがみ、不死鳥の尾の羽根、ドラゴンの心臓の琴線の三つである事。

 オリバンダーの杖には一つとして同じ物は存在せず、また、魔法使いではなく、杖が魔法使いを選ぶのだという事も。

 

 一通り測り終えると、今度は色々な杖を手に握らされた。

 

 振ってごらんなさい、と言われたので、手元に来た杖を片っ端から振っていく。しかしどれも、振り終わった後にオリバンダーにもぎ取られていった。何でもハリーに合わない杖だから、合うまでは他の杖を試さないといけないらしい。

 少ししんどいシステムだなぁと思いつつも、ちゃんと個人に合う杖を吟味してくれるのだから、むしろ有り難いのかもしれない。そう考えて、ひたすら無心で杖を振り続けた。

 

 やがて、「柊と不死鳥の羽根、28センチ」と説明された杖の番が来た。

 手に取ると、温かい感覚が指先に集まってくる。続いて杖を振ると、杖先から火花が迸り、光の玉が空気中に踊り出した。

 マクゴナガルはほっと息を吐き、ハグリッドは歓声を上げ、オリバンダーは「ブラボー!」と叫んだ。

 

 どうやら、反応からしてこれが自分に合う杖らしい。やっと見付かって胸を撫で下ろす。このままずっと杖を振り続けるのも、疲れてきていたからだ。

 しかしそんなこちらの様子とは対照的に、オリバンダーはブツブツと何やら呟いているようだった。

 

 「不思議じゃ……こんな不思議な事もあるとは……」

 

 「何が不思議なんですか?」

 

 「ううむ……。実はな、あなたが今握った杖……あれの芯となっている不死鳥の羽根は、同じ個体の不死鳥が、もう一枚だけ尾羽を提供した時の物なのじゃ。最初の一枚目を芯とした兄弟杖を、わしは過去に売った事がある」

 

 「……二枚目の羽根が、僕の杖に?」

 

 「左様。一枚目を芯に使ったあれは……イチイの木じゃった。34センチの……。不思議な事じゃ、あの杖こそが、あなたにその傷を負わせたのに……」

 

 「え……ッ?」

 

 「じ、じいさま、ハリーは何も知らねぇんだ!」

 

 突然ハグリッドが遮った。黙って聞いていたマクゴナガルも、表情が強張っている。

 

 「ちょいと特別な環境で育ってな……まだこの子は、なーんにも知らねぇ!『例のあの人』の事も、この傷の事もだ!」

 

 固まっているハリーの肩を、ハグリッドの巨大な手が優しく撫でた。オリバンダーはそれを見てそっと眉を伏せ、箱にしまった柊の杖をハリーの方へ差し出した。

 

 「これは、無神経な事をしてしまいましたかな……。さあ……、こちらがあなたの杖です、どうぞ」

 

 オリバンダーはそれ以上、ハリーの傷について語る事は無かった。ハリーは黙って杖の代金を支払い、二人と共に店から退出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ホグワーツ行きへの切符です」

 

 マクゴナガルが封筒を渡してくれる。場所はダイアゴン横丁をとっくに離れ、ダーズリー家の玄関前に移っていた。

 

 「入学日当日はキングズ・クロス駅で、必要な物を持ってホグワーツ行きの汽車に乗りなさい。場所は九と四分の三番線から、11時に出発します」

 

 その他にも、何をどうすれば九と四分の三番線に行けるかなど、具体的な説明を受けながらハリーは別の考えに囚われていた。

 

 ―――この傷は、自動車事故の時に出来たものじゃない。

 

 ―――『例のあの人』と呼ばれる、一人の魔法使いの杖によって付けられた傷。

 

 ―――その兄弟杖が、自分を持ち主に選んだ。

 

 オリバンダーに言われた事が、ぐるぐると脳内を駆け巡る。

 実を言うと、この真実は今日初めて知った訳じゃない。それをぶっちゃけてしまうと、二人の疑惑を買いかねないのでハリーはずっと固まっていたのだ。

 それを、二人は「衝撃の真実を知らされて、ショックを受けている子供」と捉えたのか、終始こちらを気遣う様な態度で接してくれていた。

 

 「……ハリーよう、本当に大丈夫か?」

 

 すっかり大人しくなってしまったハリーに、ハグリッドが巨体を屈ませて顔を覗き込んで来る。

 これ以上変に心配させるのもあれだったので、精一杯の笑顔で応える。

 

 「うん、大丈夫。ちょっと色々考えていただけだもん。魔法界って、とっても不思議な物ばっかりだったから。心配しないで」

 

 「う……ううむ。そうか……」

 

 「それよりも、二人共ありがとうございます。誕生日プレゼントまで貰って……。今日は本当に、最高の誕生日でした!」

 

 まだ何か言おうとしたハグリッドを遮る様に、ぺこりと頭を下げて大量の荷物と共に玄関へ向かう。

 

 二人はハリーを不安にさせまいと、今まで『例のあの人』の事を口に出さなかったのだろう。

 それでも、恐らくはこちらが尋ねれば、きっと丁寧に詳しく説明をしてくれたのだとも思う。

 だけど……二人には申し訳ないけれど、その真実を、自分はもう粗方知ってしまっているのだ。

 あの恐ろしい出来事を、優しい二人の口からわざわざ説明させるなんて、そんな気にならなかった。だからこそ、こうして気にしていないフリをして、二人に別れを告げる。

 

 「また、今度はホグワーツで……。おやすみなさい」

 

 「……えぇ、おやすみなさい、ハリー・ポッター」

 

 「じゃあな……ハリー。何かされたら、ふくろうに手紙を持たせて寄越しな」

 

 扉を開ける前に、振り向いてみる。

 さっきまでそこに居ておやすみを言ってくれた二人は、煙の様に消えていた。『姿現し』というやつだろう。

 こうしていると、まるでさっきまでの出来事が夢の様だ。それでも、手元にある荷物が現実である事を証明してくれている。

 

 

 

 

 一度大きく息を吸い込んで、ハリーは玄関の扉を開いた―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ハリー、出発の前にちょっとだけ、調べて欲しいんだけど』

 

 時間は進んで、ホグワーツ入学日当日。

 

 荷物の最終確認が終了し、出発時間まで、物置で待機するだけになった時だった。

 書物の中から一つ、『純血一族一覧』というタイトルの本を指差し、トムが言った。

 彼はただの物に触れないので、ハリーが本を開き調べ物を代行する。

 

 『ハリー、「純血一族一覧」の中に……「マールヴォロ」か、「リドル」の名前は載ってない?』

 

 「うーん?ちょっと待ってね……まずマ行は……………っと。うーん?」

 

 『…やっぱり無い?』

 

 「う……ん……。あれっ、これって……?」

 

 『どうした?』

 

 「いや……探そうとしたんだけど、途中のページにさ……『ゴーント家』ってのが載ってて。そこに、"マールヴォロ・ゴーント"って名前が」

 

 『ゴーントだって?ちょっと見せて…』

 

 見開き状態のまま差し出すと、彼はそこに載っていた文章を読み上げる。

 

 『ゴーント家……聖28一族の一つ……()の血筋は、偉大なるサラザール・スリザ……』

 

 そこまで読んで、トムはこちらの存在を思い出した様に音読をぴたりと止めてしまった。

 無言で離れていき、厄介事を発見してしまった様な表情で、片手で額を抑えている。

 

 『はぁ~………………』

 

 「トム?急にどうしたのさ?ゴーントって家の人が、どうかしたの?」

 

 『いや……別に何でもないよ……。何で名前が平凡なのに血筋だけは特別なんだよ……マジ無いわ~……

 

 「ホントに大丈夫?顔色悪いよ」

 

 『あぁ、それは自覚出来る。なんか…気分悪くなってきたから、とりあえず日記に戻るね…。無事駅に着いたら、また報告して』

 

 ドブの底から無理やり捻り出した様な、覇気の無い声で告げた後、トムの身体は霧を纏うかの如く姿を消してしまった。

 

 その場に残されたハリーは、しばらくポカンと『ゴーント家』のページを眺めていた。

 

 

 

 

 「……スリザリン?スリザリンって、誰だろ」

 

 その名が意味する物を知らぬ少年は、特に重大さを感じ取る訳もなくただ首を傾げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はああぁぁぁ~~~……。

 

 転写された『記憶』で解っていたけど、改めて自分の目で確認すると、心底ヘコむわ……。

 

 【あの事実に、どうしてそこまで落ち込んでいるのか解せないんだけど?】

 

 黙れ。お前いつかしばくからな。

 

 【また野蛮な事を言う。偉大な血筋なんだろう?それに恥じない生き方をするのはどうかな】

 

 うるせーボケが。表情が見えなくても、面白がってんのが台詞の端々から滲んでんだよ、この野郎。

 

 【50年も共に過ごした仲なんだから、少しは態度が軟化してきても良いんじゃないかと思うんだけど】

 

 気色悪っ。永遠にくたばっとけ。

 

 【君はこちらが相手だと、本当に口が悪いよね…】

 

 『対人モード』じゃ慎んでるんだから、こまけぇこたぁいいんだよ。

 

 【そうやって自分を取り繕うのも得意だ】

 

 得意なスキルなんてたくさんあって損はないだろうが。あ?

 

 【いちいち喧嘩腰になるのはやめてもらいたいんだけどなぁ…】

 

 喧嘩腰にさせないような努力をするんだな、クソが。

 

 【やれやれ……閉心術も此処まで来ると、ある意味芸術の域だね】

 

 

 

 

 

 

 

 ―――ゴーント家。それと、リドル家。

 

 ……この家系の事も、いずれ詳しく調べなければならないだろう。

 

 何故ならば、切っても切り離せない『ある事情』が存在するからだ。

 

 ヴォルデモートの記憶を閲覧すれば、容易に手に入る情報ではある。しかし、それは『彼』の過去に直接手を出す事を意味する。

 

 前に誓ったのだ。余程追い詰められない限りは、過去に関する記憶の引き出しを開けないと。

 

 手が届く範囲ならば、自力で調査するしかあるまい。

 

 だが今は保留である。目下、『賢者の石』を狙うヴォルデモートを何とかする方が最優先事項なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……やらなきゃいけない事多くて、日記状態でも頭痛くなってきた……。

 

 

 

 

 魔法界にも頭痛薬ってあるかなぁ……。

 

 

 

 

 やっとホグワーツ入学日まで来たっていうのに、縁起の悪い物見ちゃったよ……。

 

  

 

 

 は~……。まぁ、気合入れて頑張りますか……。

 

 

 

 

 

 




原作と違って、手紙をちゃんと受け取ったバタフライエフェクトにより、マクゴナガル先生が同伴しました。深夜に出掛けた為、原作のようにクィレル先生に逢わず、マール描いてフォイにも逢わず。
ちょいちょい本来の流れとズレつつあります。

ゴーント家とリドル家を調査するお話は、またいずれ。
多分この辺が原作と異なる長編展開になります。まだ先の話ですが。
転生先が特別な血筋なんて、嬉しくもなんともないんですよ、彼は。
そもそもスリザリンの継承者だからこそ、原作の日記帳があの事件を起こしたので。良い気分になれる訳がありません。
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