バッシングを受けるかなって思ってたんですが予想とは違い高評価でビックリしています。
もっと面白い作品を書いていけるように頑張ります。
「聞くだけ聞いてやる」その言葉を聞いて少し緊張してしまう。それもそうだ。今さっきまで彼は他の子に対して厳しく当たっていた。その雰囲気は未だに消えない。彼の声も心無しか冷たい。逃げ出したい気持ちが出てくるが、顔を両手でパシンッと叩き気合を入れる。
「貴方のプランBの内容は、艦娘に厳しく当たること。命令を聞かない艦娘が多いという事もあってどうやったら命令を聞いてもらえるか…1つは『報酬で釣る』だけどこれは前の提督がやって失敗した。もう1つは『艦娘からの圧倒的な信頼』これの理由は最初と一緒。最後に『命令を逆らわない方がいい』と思わせる事。これはあんたのやってることよね…命令に逆らえばあんたの場合言葉で容赦なく責める。」
「艦娘は私含め全員甘やかされて生活してた。だから怒られる…って程ではないけど…それでも注意されただけで怖いのよね。あんだけ言われるんだったらしっかり命令を聞こうって気持ちになる。今のところ合ってるかしら?」
「あぁ大体」
ふぅ…第一関門突破ね。
「だけどあんたが私達をあそこまで言い負かす必要は無いの。だってただでさえ注意をされただけでもビビっちゃうくらい甘やかされてたから。だけどあえてあんたはボロクソに言いまくった」
「結果艦娘達が泣いたり、落ち込んだりした。あんたに会うだけで怖いって言って泣くほどのトラウマを植え付けられた子もいた。そこだけ見れば殴られても仕方が無い程クズね。でも得られたものは確かにあった。艦娘同士の絆ね。泣いていた艦娘がいた時他の子が慰める。前はそんなもの無かったわ。その事からあんたはワザと泣かせて同情させるように仕向けた。艦娘達の優しい世界の完成ってわけね」
「お、おう…」
「だけどその優しい世界にあんたは居ない。だってあんたはこの鎮守府の悪だから…。っという感じで悪役を演じてると私は推測したの」
「霞…お前それなんて言うか知ってるか?‘ 深読み’と言われてるんだぜ?」
「な!?」
何かこの部屋が熱く感じる。いいや自分の顔が熱く茹でダコのように真っ赤になってるからそう感じるだけだ。…恥ずかしいわね…
「それは今年の文化祭の話」
「あっ…経験済みでしたか…」
「まぁ…ヘイトは集める気だったけど泣くとは思ってなかった…と言うのが真相な。いや〜艦娘って打たれ弱すぎて最初は動揺したぞ。だからといって甘やかしてみろ。あいつらは海の厳しさしか知らん。社会の厳しさも教えてやらんとな。俺は高校生で、専業主婦志望だから知らんけど。」
「は?え?…」
何こいつ…え?逆になんでこいつを司令官にしたの?絶対こいつ司令官向きの性格じゃないでしょ。いや良い奴だと思うけど、良い奴だけど…別のベクトルでクズじゃない!いやいやいや…社会不適合者予備軍とか洒落にならないわよ本当。
「期待して損した!ありがとうございました!このクズ!」
「まぁ待て。ぶっちゃけた話、気楽に行けたらどれだけ楽か…こちとらお前らの命を借りて戦ってるんだ。半端な気持ちでやれるか」
ピタッとさっき動かしたはずの足が止まる。嫌な予感がする。この先を聞くと多分私は司令官を本当のクズとして見てしまう…やっとマトモな司令官が来たと内心ではスキップするほど喜んでいたはずなのに…
「それに俺は臨時提督で新しい提督かある海域を制圧するかで提督生活が終わって、今までの高校生活に戻る。愛着を湧かれるのは困る。俺に信頼されたら迷惑なんだ。だからお前がこうして仕事でも無いのに質問に付き合わされたのも迷惑なんだ。こうやって変に勘ぐってくる奴が出てくるから…お前にもハッキリと言っておく、お前「やめて!」あっおい!」
そのあと私は部屋を出た。多分涙を流している。私は彼の頑張りを間近で見ていた。作戦を考える時は、過去の文書を漁って…帝国軍時代まで遡って漁った事もある。
「戦後処理で焼かれたかと思ったが有るもんだな」
「うわぁ…旧字体だらけじゃねぇか」
作戦を考えた時だって…
「霞…この作戦何だが」
「お前だったら何処を改善した方がいいか分かるか?俺は素人だからよく分からんから助言を言ってもらえれば助かる」
「艦娘の100%を出す必要は無い。相手の勝ち筋を一つ一つ潰してリスクなく勝つ事が大事だと思うんだが…どうだろうか?」
「キツく言わないとまた同じ事をする」
しばらく走る…数分後体力が切れ息切れを起こし始め、更に数分後に足が止まる。ふと廊下の窓を覗くと、そこから広がる青空と艦娘達が外で運動しているのが見える。だけども泣いている自分がうっすらと反射して見えてた。その時の顔は疲れているのはもちろんの事だが、複雑な事に悩んでいるような顔つきで泣いていた。
更にその奥に面白そうに笑顔で話している姉妹艦が見える。司令官が取り戻してくれたあの絆…私は本当は感謝の言葉を言うべきだった。
頭ではわかってた。だけど感謝の言葉が出せなかった。
「今の提督さん全く褒めてくれないっぽい!」
「まぁまぁ…前の提督が帰ってくるまで我慢さ。帰ってきたら、いっぱい褒めてもらおう」
呑気な奴ら…とでも今までの私は言っていたかもしれない。だけど今の司令官は人を褒めたところは見たことが無い。不覚にも少しでも良いから褒めて欲しい…認められたいという欲求が出てくる。
そうだ。それだ…きっと私は司令官に褒められたかったんだ…相手の考えなんて分かるはずも無いのに相手をわかった気になって、自分だけは味方だぞ…って言う意志を見せて認められたかった…褒められたかったんだ。結局私の心はあいつらと変わらない汚い心の持ち主だったってことがよく理解できた。
「謝らないと…」
執務室をこっそり覗いてみると、古い本…過去の資料であろう物がさっき話していたスペースの机に何冊も綺麗に重なり山になっている。司令官はホワイトボードにA4サイズの地図を磁石で貼り付け「うーん」と悩んでいた。
「やっぱり機動力重視した方がいいか?この場合…だったら」
「あぁ…ここは軽空母と海防艦の編成が無難じゃない?」
「そうだな…だがそれだと砲雷撃戦が不安でな…てか霞頭冷やしてきたか?」
「えぇ…冷やしすぎて頭が冴え渡るわ。ついでに砲雷撃戦だったら高速戦艦も一つの手よ」
「いや…ルートがこうなれば…この海域頭だけを取ることが出来る。そのあと残党狩りで別部隊を出せば…混乱した敵を一方的に殴れる」
「あんたにしては結構リスクのある作戦じゃない」
「あぁ…だが指示系統を潰すと言うのは1番手っ取り早い。この海域だったらそれが出来る」
「話変わるけど。さっき聞いて疑問に思ったんだけど、あんたって司令官やめたいの?」
「最初からやる気が無かった。俺よりこの仕事が向いている奴を知っているけども…そいつらは将来有望だからな。俺は落ちこぼれで使い捨てという理由でこの職に着いたわけだ」
落ちこぼれ…使い捨て。提督の適正を持つ人間はあまりいない。だけどもそれは軍だけの話であり1億いる中には溢れかえるほど…とは行かないが供給量的には多いとは聞いている。
「それに高校生は新生活や仕事に慣れやすいだとか言う理由で高校生で俺が選ばれたわけ…まぁ貧乏くじは慣れてるから大丈夫だけどな」
「…司令官」
「なんだ?また同情か?」
さっきの話は同情されたと思ってたのね。…いや合ってる。だから悪いのは私ね。
「いいえ、さっきの話の途中で逃げ出した事を謝りたかっただけよ」
「謝罪は要らん。その代わり数週間で仕事の大まかな事に慣れるはずだ。その時まで秘書艦としてサポートしてくれ」
「それは前に約束したでしょ?でも期限がついたわね。あんた新しい秘書艦目星つけてるの?」
「いや、秘書艦は無しで仕事をする」
「なんで?」
「一人の方がやっぱ落ち着くわ」
「まぁ、それならいいわよ。仕事のやり方は強制するものじゃないし」
私はこの司令官の考えている事はさっぱりわかんない。
「俺が早く高校生に戻るためにお前にも協力してもらう」
でもしっかりとした目標があり、何がなんでも実行させるという考えだけは理解出来た。
「えぇ、良いわ。ただし!しっかり仕事はするのよ!」
「分かってる」
司令官がそう返事をしたのと同時に彼のズボンのポケットが震える。彼は「すまない」と言いながら部屋を出てスマホを開き会話をしていた。
「雪ノ下か…あーうん……いや待て。俺はリスクリターンの計算がよく出来るって男だぞ。……え?いやいや来ないで。様子見とか要らないからね?」
「葉山も行きたいって?アイツが提督になるんだったら考えてやる」
「…真面目な話をするが鎮守府に来るのは辞めとけ。ここは敵の攻撃目標でもあるんだ、危険な所に『いいよ!入って入って!』なんて言えない」
「理解してもらえて助かる。戸塚が心配してた?マジかよさっさと提督の仕事終わらせないと」
「あぁ、春には高校生活に戻れるよう努力する」
…誰と話してたんだろう。だけど高校で慕われている人間が居るんだったら早く帰してあげないと…それなら心を鬼にして仕事を教えてあげないと。目指すは神通さん顔負けの指導ね。
「何かどこかで死刑宣告を受けた気がする…」
死刑宣告とは失礼だけども、あながち間違えてはいない。だから否定はせずに黙って置くことにした。
「ふと思ったがお前ってどんな艦だ?」
「そういばあの時しっかりした自己紹介がまだだったわね。私は駆逐艦霞よ歴戦の主力駆逐艦として奮戦したわ。最後は戦艦大和と共に坊ノ岬沖海戦で米艦載機の猛攻と戦ったの。」
「よろしくね。司令官」
司令官は「短い付き合いになるようによろしく頼む」と言い仕事を始めるのだった。
ヒロインって必要無いですよね。
あと八幡のやり方に気づいて〜って八幡側だと同情だと思いますので撃退。
…おかしい…時系列的にはマラソン大会過ぎなのに性格的に文化祭前位まで尖ってる。