ガールズバンドが人気な時代ですが、男も頑張ってみます。 作:怜哉
彼は不思議な男の子だ。
これを本人に言ったら「いや、お前にだけは絶対言われたくない」と心底嫌そうな顔で言われるけど。
「むぅ...むむぅ.....」
「なぁ、俺早く帰りたいんだけど。いつも通ってるのに何をそんなに迷ってんだよ」
「ヴァイツェンブロートにするか...カルツォーネにするか...」
「ゔぁい...かるつ.....? なんて?」
「も〜。パンの名前一つ覚えられなくてどうするの〜?」
「えぇ...」
困惑したような、呆れたような。
そんな顔をしながら、彼はスマホを取り出した。
「ヴァイツェンブロート...ドイツの小麦粉パン? へぇ。んじゃ、えと...カルツォーネ...」
ぶつぶつ呟きながら、彼はパンを調べる。
こういうところだ、と思う。特に深い興味があるわけでもないのに、律儀にもあたしと話を合わせられるようにする。漫画だってそうだ。あたしが勧めたものは必ず読んで感想を言ってくれる。パンも漫画も、あんまり話せる人がいないから、あたしにとってはすごく嬉しいことだ。
「ピザと同じ材料で作られるのが特徴...三日月型のパン...へぇ、美味しそうじゃん」
「そうなんだよ〜。むむむぅ...どっちも捨て難い...」
「いつも通り、欲しいのは全部買えばいいんじゃねぇの?」
「うーん。そうしたいのは山々なのですが〜、あたしってばドジっ子属性が付与されたみたいで〜...実はお金が足りなくて一つしか買えないのだ」
「のだ、てお前。先週給料日だったんじゃねぇのかよ。もう使い切ったのか?」
「ちっちっち〜、甘いねぇ、考えが。この薄皮こしあんパンより甘々」
「あ゙?」
おー、ちょっと怒った〜。
「そのお給料をおろすのを忘れたんだなぁ、これが」
「あっそ」
ため息ついでに漏らした言葉を残し、彼はあたしから目をそらす。
あたしの代わりに彼の視界に入ったのは、カルツォーネだ。
「んじゃこっちは俺が食う。ずっとパンの匂い嗅いでたから腹減ったし。半分やるからそっちの小麦粉パン半分くれ」
そう言った彼は、トングで三日月型のパンを掴み、袋に詰めてレジへと向かう。
慌ててあたしもパンを一つ取ってレジへと駆けた。種類はもちろん、ヴァイツェンブロート。
「いいの〜? パンより米派じゃなかったっけ〜?」
「ピザみたいなのを食いたい気分なんだよ」
レジで清算してくれた店長兼知り合いのお父さんに二人してペコリと頭を下げながら、あたし達はパン屋さんを後にした。
「ん。うめぇ」
「でしょ〜? ふぉっふぉっふぉ、おぬしもパン派に目覚めたかね?」
「バカ野郎俺は生涯米派だ」
こんなやり取りをしながら、赤く彩られた商店街を二人で歩く。
彼は否定するけれど、彼は不思議な魅力で溢れている。
彼は、あたしや、あたし達の心を掴んで離さない、とても不思議な男の子だ。
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
「なぁ関口、ちょっと今空いてるか」
「むぁ?」
文化祭が終わって翌々日。
一日の振替休日を挟んだ今日、いつものメンバー(俺、須田、ポピパ五人)で飯を食っている最中。
香澄から死守したミートボールを頬張る俺に、一人の男子が話しかけてきた。茶髪のベリーショートで、しかもツーブロック。肌は小麦色に染まっており、加えてとてもガタイの良い男だ。
「まぁ暇っちゃ暇だけど...どしたん」
ミートボールの代わりにアスパラガスのベーコン巻きを香澄の弁当箱に放り込み、代価として卵焼きを一切れ頂戴する。ほんのり甘くて好きなんだわ、香澄ん
「あ、香澄ずるい。私も海のベーコン巻き欲しい」
「じゃあおたえも代わりのおかず出して」
「ん〜.....じゃあこのブロッコリーで」
「ふざけろ。肉よこせ」
「こ、こいつら...あの伝説の『おかず交換』を易々と...!」
「あはは〜。有咲、私と何か交換する? 私ハンバーグ出すよ」
「! 沙綾のハンバーグ、私も欲しい」
「なっ...!? おたえは関口からベーコン巻き貰うだろ! ハンバーグは私が貰うからな!?」
おたえの弁当箱から一口サイズにカットされたハムカツをかっさらいつつ、俺は再度隣に視線を向けた。
「で?」
「.....お前の周りはいっつも賑やかだな」
俺に声をかけてきた男───
「いや、ちょっと話あってさ。須田にも」
「ん? おへ?」
箸先を咥えながら振り向いた須田は、不思議そうに五十嵐を見る。
てかパン派の須田には珍しく今日は弁当なんだな。なんかピンクの弁当箱持ってるし。
「文化祭一日目のさ、お前らのライブのやつ。観たよ。高校の文化祭でブラ〇キー選曲するあたり、お前ら本当に高校生か? って思ったけど」
「あー...
「まぁ少なくとも俺と関口は楽しかったしいいだろ」
「それな」
盛り上がるに越したことはないけど、結局は自分達が楽しめるかどうかだろ。文化祭のライブとかなると特に。
つか五十嵐のやつ、んなこと言いにきたのか? だったらいつも通りさっさと
「彼女持ちは去れ。関口、テメェもだ」
「なんでだよ。五十嵐はともかくなんで俺も。つか今の今まで一緒に飯食ってたろ」
「ハンッ! 自分の胸に手ぇ当てて考えろ! 同罪だクソ野郎!」
「え何怖。須田、お前急にどしたん...?」
「そんでこの前のライブでさー、お前らドラマー募集してたじゃん?」
「五十嵐は五十嵐でなんでどこ吹く風なんだお前」
「まーまー。それでさー、その話、俺に詳しくおせーて」
「「よし来た! まぁ座れよ兄弟!!」」
「ははっ、お前らのそういうとこ好きだわ〜」
ドラマー が 仲間 に なった !(話を聞きにきただけ)
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
五日後。日曜日の昼。
外の蒸しっとした気温とはうって変わり、ここCiRCLE内のカフェスペースはとても快適な気温となっていた。嗚呼、エアコン...文明の利器よ...俺ァお前に一生着いてくぜ...。
「海兄〜! 今夜りんりんとイベントクエスト回るんだけど、海兄も一緒にやろ〜!」
「んー? おー、いいぞー。いつもの時間に噴水前な」
「やったー!!」
今日のRoseliaの練習も終わり、俺達はカフェスペースでゆっくりしていた。
今では見慣れてしまったこの光景も、最初の頃はなかなか人が集まらなかったものだ。主に友希那さんとか、氷川さんとか。俺? リサさんの手作りお菓子が食えるので用事がない限り毎回参加してます(餌付け)
「そう言えば海。先週のライブ、素晴らしかったわ」
注文したブラックコーヒーに角砂糖をドバドバと入れながら、友希那さんがそう言う。いやだから、それ絶対体に悪いですって。大人しくココアでも頼んどいてください。
「私は風紀委員の仕事があって見れていないのですが...そうなんですか?」
「うんっ☆ ライブ中の海くん、すっごくかっこよかったよ〜☆ それにあのベースの子、確か初心者って言ってたよね?」
「そうっすね。あいつ、まだベース始めて三ヶ月くらいなんすよ。スゴいっすよね〜」
先週の文化祭、氷川さん以外のメンバーは俺達のライブを見に来てくれていた。白金さんなんて人混みがあんなに苦手なのに来てくれて...嬉しい限りだ。
友希那さんやリサさんの感想通り、俺も先週のライブは結構上手くいったと思っている。唯一選曲的なものをミスった気がしないでもないが、まぁ知ってる人は知ってるからな、ブラ〇キー。
「それで、ドラマーの件だけれど...見つかりそうなの?」
心配そうに、というわけではなく。
ただただ疑問を持って、友希那さんが聞いてくる。
それに対し、俺は少しだけ口元を緩めた。
「それが見つかったんすよ!! ドラマー! 今日これからそいつと須田...えと、ベースのやつがここに来て、初めての合わせしてみる予定で」
少し興奮していると自覚しつつ、それを抑えることなく友希那さんにぶつける。
「おー。海くん、いつになくテンション高いね〜☆」
俺の勢いに押され(引き)気味だった友希那さんに代わり、リサさんがそう返してきた。
いやだって、むりやん? こんなの抑えきれないやん? オラわくわくすっぞ案件っていうか?
「なんてったって初めてのバンドですからね。この前のとは違って、全パート揃っての。そりゃテンションの一つや二つ上がるってもんですって」
「確かに、合わせって楽しいもんね〜☆」
「? 海兄、そんなにバンドやりたかったならあこに言ってくれれば良かったのに! あこ、ハードロックも叩けるよ! ツーバス踏めるし!」
「中学生でツーバス踏んでるの意味分かんないんだよなあ。あとね、あこちゃん。気持ちはすげー嬉しいんだけど、そうじゃないんだよね。なんて言うかこう、『自分達のバンド感』ってのかな? なんかそういうのがいいんだよね」
「ふーん。分かんない!」
「そっかー」
そんなやりとりをしていると、ふいに俺のスマホが鳴った。
見れば、須田からのメッセージが画面に映し出されている。
誠『五十嵐と合流したから、今から一緒にCiRCLE向かうなー』
誠『あと三十分くらい』
須田からのメッセージに『おけ』とだけ返してスマホを机に置く。
今から三十分だと、スタジオを予約した時間の十分前くらいか。バンドマンのくせにちゃんと時間が守れて偉いなあいつら(偏見)
「ねぇねぇ海くん。今日って何時からスタジオ入るの?」
「だいたい四十分後くらいです」
「そっかー。アタシ今日バイト無くてさ、ちょこっとでいいから見学してみてもいい?」
「え? まぁ俺はいっすけど」
「やたっ☆ みんなも見てかない? 紗夜はこの前見れてないし」
「...そうですね。私もこの後特に用事があるわけでもないですし、見させてもらおうかしら」
「はーい!! あこもあこも! あこも海兄達のライブみる!!」
「ライブじゃないけどね」
その後結局Roselia全員が見学していくことになった。
けどまぁ、丁度いいっちゃ丁度いい。俺がRoseliaの練習をみているように、第三者から見られることはそれだけで練習になる。多少は緊張感が嵩増しするからな。
それにRoseliaは技術的にはプロといっても過言じゃないレベルのバンドだ。そんな人達に見てもらえる機会なんてほとんどない。バンドは集団競技。いくら個人技がすごかろうが、それだけじゃ成り立たない。自分達では気付けないところも、第三者からなら良く見えたりするものだ。
「さて。んじゃ一回まりなさんに広めのスタジオ借りれないか相談を.....ん?」
よくお世話になるCiRCLEのスタッフ、まりなさんに相談しようと席を立った俺を引き止める音が一つ。
さっき机に置いた俺のスマホが、再度鳴り出したのだ。しかも今回は単なるメッセージではない。電話だ。相手は.....ひまり?
「もしもし?」
『あ、海? 今暇?』
「暇じゃない。じゃあな」
『待って! 待って!! あのさ、私達今日の夕方くらいからCiRCLEで練習しようと思ってるんだけど、よかったら海に練習見てほしいな〜って思って!』
「あ? あー、なら多分大丈夫。俺今CiRCLEいるし、夕方までには用事終わるから」
『あ、そうなんだ。Roseliaの練習とか?』
「うんにゃ? 俺のバンド練」
『行く!!!!!』
プツリ、と。そこで電話は切れてしまった。
なんだ、ひまりもくるのか? まぁどっちにしろまりなさんに広めのスタジオ借りれますかって聞きに行かなきゃだけどな。
「まりなさん」
「あ、話聞こえてたよ〜。今店長に連絡したら、今日はライブ用のステージが空いてるから使っていいって! じゃあ私準備してくるね〜」
「?????」
なんかまりなさん、手を振りながらどっか行ったんだけど...えっと、つまり...何? どういうことですかね?
え? 話が早いなんてもんじゃなくない??
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
「おい関口、どうしてこうなった」
「...さぁ?」
「さぁ、てお前」
それぞれの機材のチェックをしながら、須田が話しかけてくる。
須田の疑問も分かる。というか俺も現状に疑問しかない。というのも───
「わ〜! ライブだよ有咲っ、海くん達のライブ! 今日CiRCLE来て良かったね!」
「だぁあ!! 分かったからくっつくな! あちぃんだよ!!」
「文化祭の時はあんまりちゃんと見れなかったからね〜。楽しみだなぁ。あ、おたえカメラ持ってきたの?」
「うん。文化祭の時にお父さんから借りたカメラ、まだ返してなかったから。ライブカメラマン...ううん、カメラウーマンに私はなる」
「カメラウーマン...?」
「見て美咲! 海がステージに立ってるわ! ほかの二人は誰かしら?」
「ベースの人は文化祭の時海と一緒にライブしてたでしょ。ドラムの人は知らないけど」
「五十嵐くんだよ! はぐみと同じクラスなんだ〜!」
「良かったぁ、海くん、ドラマー見つけられたんだぁ...」
「ふっ、儚い」
「
わいわいがやがやどったんばったん。
いっぺんに喋んな誰が誰だか分からないだろ、いい加減にしろ(怒)
まりなさんのありがた迷惑気味の厚意でCiRCLE地下のステージを使えることになった俺たち。の前に集まる
なんだなんだ、男女比おかしいぞどうなってんだ。オーディエンス女子しかいねぇんだが。
「なんだかすげーことになってんな、関口、須田」
「ほんとだよ、どうしてこうなった」
「いやお前のせいだろ関口。ほとんどお前の知り合いじゃねぇか」
「RoseliaとAfterglowは否定できない」
「
「牛込さんは須田目当てっていう可能性」
「ま!?!?!?」
「可能性っつってんだろ落ち着け」
ステージの上でもわちゃわちゃしていると、なぜか照明が消えた。
そして真っ暗闇の中、突然俺にライトが当たる。なんでや。いや本当になんでや。
困惑しきって何も言わないでいる俺に、PA卓にいるまりなさんからカンペが出される。なになに...演奏あくしろ? 何言ってんだあの人。
「おい関口、なんか演奏しろって言われてんぞ」
「あの人ライブか何かと勘違いしてませんかねぇ...」
ただの合わせなんだが。
何? 初めての合わせで本番しろってこと? スタジオミュージシャンかよ。
確かに今回合わせる予定の曲は先週俺と須田がやったブラン〇ーの二曲。普通より難易度は低いかもしれないけどさぁ...。
「まーまー、やってみよーぜ二人とも。俺は完璧だからだいじょーぶ。美穂にいいとこ見せなきゃだしな」
「爆ぜろリア充」
彼女に手を振る五十嵐に敵意を向ける須田。んー、なんだかんだで緊張とかはしてないっぽいんだよなー、こいつら。
まぁいっか。用意されたもんは仕方がない。予定より少し...いやかなり多いけど、文化祭ほどじゃない。気楽にやろう。
「んじゃまずは『ガソリン〇揺れ方』からやっか」
一旦観客のことは忘れて、須田と五十嵐と目を合わせてからそう言う。
須田は真顔で、五十嵐は口角を緩めて、二人とも頷いた。
文化祭では俺が取ったカウントを、今回は五十嵐がスティックを叩いて取る。そして────
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
海の...ううん、海たちの演奏はすごかった。
BLA〇KEY J〇T C〇TYはあたしも知ってる。というか、海が好きだって言うから聴いた。
だからこそ言える。
今も昔も、海はあたし達の憧れだ。
「今日のパンは〜、あずきクリームコロッケ〜、スフォリアテッラ〜、クロナッツに〜、それからぁ〜...」
トングとトレーを持って、あたしは店内を徘徊する。
目当ての
「すふぉり...なんて?」
「も〜、スフォリアテッラだよ〜。イギリスのパンで〜、生地の中にはチーズやクリームが入ってる、すっごく美味しいパン〜」
「はえぇ...」
あたしの日課であるパンの買い食い&買い溜めに付き合っているのは、今日は海一人だけ。いつもは蘭たちもいるんだけど、今日はみんなそれぞれ用事があるって言って、練習が終わったらすぐに帰っていってしまった。
「おっ、カルツォーネ。これ美味いんだよな」
「あ〜、それも美味しいよね〜。そのパン、あたしが海に布教したパンじゃないっけ〜?」
「多分そうだろ。俺が山吹ベーカリーでパン買うようになったの自体がモカのせいだしな」
「えっへん」
こうして海と二人きりになるのは、そういえば随分と久しぶりな気がする。高校になってからは会う頻度そのものが減った気もするし。ま、海はあたしのバイト先のコンビニの常連さんだし、週に二回は会ってるけど〜。
「それにしても、良かったね〜、海。ちゃんとメンバーが集まってさ〜」
「バンドの話? ああ、それはホントにな。一年くらいは軽く覚悟してたもん、俺」
まだ必要最低限の人数が集まっただけとはいえ、あれは立派なスリーピースバンドだった。ドラムやベースのことはあんまり詳しくは分かんないけど、ともちんやひーちゃんが言うには結構レベルが高いらしい。特にドラムの彼。名前は...なんだったかな。とにかく、ドラマーの彼のことは、あの場にいたドラマー全員が褒めてたし、相当上手いんだと思う。素人目にもすごいって思った。...素人目より玄人目の方が絶対肥えてるじゃん? なんで素人目? って話、昔海としたっけな〜。
「ん? モカ、今日それだけでいいの? いつもよりちょっと少なくね?」
「ん〜、今日はお昼も買ってるから〜。控えめにね〜」
「え、昼も買っててそれなら多すぎじゃね...? お前、高校になって食う量増えたか?」
「このカロリーは全部ひーちゃんに行くのだった...頑張れひーちゃん、負けるなひーちゃん。キミの明日は輝いているぞ〜! 完」
「終わらせんな」
実際、あの胸に行ってる説はあると思うんだよね〜。ひーちゃんったら、ここ一年で急に大きくなってきちゃって...。海の視線も釘付けだもんね。
ちょっとだけ恨めしく思いながら、あたしは会計を済ませる。
おじさんからポイントカードにスタンプを押して貰って、あたしは店の外に出た。
外はもうすっかり暗くなってて、空を見上げればぽつぽつと光の粒が散らばっている。
「最近は日が長くなったけど、さすがに八時回ると暗いな」
「だね〜。はむ」
早速、さっき買ったばかりのあずきクリームコロッケを頬張る。ん〜、サクサクあま〜。
「そういや
「あたひたひもらいひゅうきゃわ〜」
「まずは飲み込め」
「ふぁーい」
もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ、もぐ。
「ごちそーさまんもす〜」
「...ホント、よくそれで晩飯が入るよな。胃袋どうなってんだ」
「ひーちゃんの体に転移しているのだよ〜。も〜、さっきも言ったじゃ〜ん。...あ、ひーちゃんで思い出した。ひーちゃん、今年もみんなで遊びに行きたいって言ってたよ〜? 海も一緒に〜って」
「聞いてる。一応ひまりや巴とは休みが被るようにシフト出したから、モカと蘭がその日大丈夫なら行けんだろ。多分」
「そっか〜。さてさて〜? 今年は氷海かな? 古跡かな? 未知の樹海かな?」
「...もしかしてモン〇ンの話してる?」
「アイ〇ボーン、楽しみだね〜」
「俺がP〇4持ってないの知ってて言ってるよな? 喧嘩か?」
えへへ〜、と笑って誤魔化す。
高校生になってから、海と過ごす時間は確かに減った。けど、彼は何も変わらない。相も変わらずあたしを惹き付ける。むしろ会う時間が減った分、よりそれが強くなっている気がする。
つぐはよく、海のことを「お兄ちゃんみたい」っていう。あたしもそう思う。海といることで得られる安心感...包容力、みたいなものがある。そういうところがおにーちゃんみたい。
でも、だからこそ。あたしは海の隣には立てない。
あたしの見えない場所に、海は立っている。あたしより速い速度で歩き続けてる。一生懸命追いかけても、影すら掴めない。中学校の時にそれに気付いて、勝手に諦めてた。
そこから少しだけ海との距離感が分かんなくなって、ちょっとぎこちなくなった時。海から心配されて、全てを吐き出したことがある。
────なんだそんなことか、と彼は笑い飛ばした。
『お前がどこにいようが、俺がどんなに速く歩こうが、そんなもんに何の意味もない。お前が俺を呼べばすぐに行く。俺が呼んだら来てくれよ。それが俺たちだろ』
くっさいセリフだと思う。海もそう思ったのか、言った直後に顔を真っ赤に染め上げてた。けど、その言葉はあたしを励ますには十分すぎるもので。...まぁ、俺たちっていうのは多分《あたしと海》じゃなくて《あたし
それはともかくとして。
あたしは海に追い付くことはない。そんなことをする必要はないんだと教えられたから。
あたしは海の隣には立たない。そんなことをしなくても繋がりは消えないと知ったから。
「ねぇ海〜。またさぁ、昔みたいにあたしにギター教えてよ〜」
「お前十分上手いだろ」
「そんなことないもーん。今日もいっぱい失敗したし〜?」
こんな弱音を吐くのは、海にだけ。蘭に言えないことだって、海になら言える。あたしが心配をかけていいと思ってるひと。
彼は不思議な魅力で満ちている。
あたしが誰よりも惹かれた、あたしたちの一等星。
なんか上手くまとまらなかった()
あとオリ主のバンドのメンバーが(一応最低限の人数)揃ったので、とりあえずオリキャラ達のプロフィールを軽く書いときます。
関口 海(せきぐち かい)
花咲川学園高等部1年A組5番。
11月11日生まれ 身長:178cm/体重:61kg
ギタボ・リード担当。黒髪だが若干焼けて茶色がかっており、耳や目にかかるほど長い。色白。人見知りというほどではないが、見知らぬ人間とすすんで関わろうとはしない。人に慣れつつある野良猫のよう、とはひまりの談。内弁慶気味。毎朝KAG〇MEの野菜〇活を飲むのが日課。週3で筋トレをしてみたりと、わりと健康志向。
好きな食べ物は肉じゃが、嫌いな食べ物はセロリ。趣味は多々あるが、ほとんどのジャンルで広く浅く、たまに大渓谷。「人生、いかに時間を無駄遣いするか」という謎の信条を持っている。
父、母、姉の4人家族。父は九州へ単身赴任中。
須田 誠(すだ まこと)
花咲川学園高等部1年A組4番。
1月25日生まれ 身長:170cm/体重:65kg
ベース担当。黒髪スポ刈り。人懐っこく、誰とでも分け隔てなく話す。「リア充は爆ぜろ」と口では言うが、最近では自分がその仲間入りを果たそうとしているとかなんとか。元サッカー部。女好きな一面も。ベースは初心者だが、才能があるのかその上達は異常の一言。本人曰く、弾いてみた動画とか見て真似したら出来た、とのこと。
好きなものはビーフシチュー。嫌いなものはナス。サッカーは今でも好きで、たまに母校の小学校のサッカーチームにコーチとして顔を出している。
父、母、妹の4人家族。
五十嵐 裕太(いがらし ゆうた)
花咲川学園高等部1年A組1番。
3月9日生まれ 身長:175cm/体重:80kg
ドラム担当。茶髪のベリーショートツーブロック。筋トレが趣味で、流行りの細マッチョではなく普通にマッチョ。中学生に上がった頃から父親の影響でドラムを始める。演奏スタイルはその体型に見劣ることのないパワー型。音圧それどうなってんの? バスドラ破れるんじゃね? とは海と誠(須田)の談。これに対抗心を燃やした海と音で殴り合うのを誠が止めることもしばしば。
好きなものは鶏のささみ、嫌いなものは生クリーム。
父、母との3人家族。ちなみに彼女の澤田 美穂(さわだ みほ)は家が隣同士の幼馴染み。
専門用語とかマイナーすぎるバンド名とかについて。
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伏字で出されても分かんねぇわ!辞めろ!
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好きにやってええんやで(菩薩)
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全然分かるけど辞めな
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分かるからそのまま続けて、どうぞ。